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診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

血圧降下薬の服用割合や心臓病罹患割合など、年齢とともに増加することなど再確認―健保連

2021.10.20.(水)

血圧降下薬の服用割合は年齢が上がるにつれて高くなる。糖尿病治療薬の服用等割合もその傾向があるが、上昇・増加の度合いは小さい―。

健康保険組合連合会(健保連)が10月11日に公表した2019年度の「特定健診の『問診回答』に関する調査」から、こういった状況が浮かび上がってきました(健保連のサイトはこちら)。

傷病や症状などの特性を踏まえた保健指導などの重要性を再確認

主に大企業で働くサラリーマンとその家族が加入する健康保険組合(健保組合)の連合組織である健康保険組合連合会(健保連)は、かねてからデータヘルスに積極的に取り組んでいます。具体的には、保有するレセプト情報をさまざまな角度から分析し、加入者に対して「自分自身で生活習慣や医療機関受診行動を変容させる」ような情報提供を行っています。

今般、2019年度に特定健診を受診した457万947名のデータをもとに、受診者の状況を分析しています。

特定健診は、40歳以上74歳以下の人を対象に行われる、いわゆる「メタボ健診」です。そこで「生活習慣病リスクあり」と判断された人は特定保健指導につなげられ、生活習慣改善を目指すことになります。こうした取り組みが進むことで「生活習慣病患者」やその予備群が減り、結果として「医療費の適正化」はもちろん、健康寿命の延伸といった効果が期待されます(ただし「効果がない」との研究がある点にも留意)。

分析結果は膨大であり、本稿では主に(1)血圧を下げる薬(2)インスリン注射・血糖を下げる薬▼コレステロールや中性脂肪を下げる薬―の使用状況に焦点を絞ります。



まず(1)の「血圧を下げる薬」を服用しているのは、特定健診受診者全体のうち男性18.6%、女性10.1%ですが、年齢が上がるにつれてその割合は高くなり、70-74歳では、男性で46.8%、女性で35.1%が服用しています。

血圧降下薬の服用割合(健保連調査3 211011)



また(2)の「インスリン注射・血糖を下げる薬」については、特定健診受診者全体のうち男性5.9%、女性2.2%が服用しています。また、年齢が上がるにつれて服用割合が高くなることそのものは、(1)の血圧降下薬と同じですが、増加割合などは小さく、70-74歳でも、男性で13.7%、女性で7.1%にとどまっています。

糖尿病治療薬などの服用等割合(健保連調査2 211011)



一方、(3)の「コレステロールや中性脂肪を下げる薬」については、特定健診受診者全体のうち男性11.1%、女性8.3%が服用しています。また、年齢が上がるにつれて服用割合が高くなる傾向は同じですが、70-74歳において、男性では25.6%、女性で31.4%となっています。

「コレステロールや中性脂肪を下げる薬」については、60歳を過ぎると、女性のほうが男性よりも「服用割合が高くなる」点が注目されます。

コレステロール治療薬などの服用割合(健保連調査3 211011)



さらに、次のような状況も明らかとなりました。

▼医師から「脳卒中(脳出血、脳梗塞等)」にかかっていると言われたり、治療を受けたことがある者の割合は、特定健診受診者全体のうち男性1.4%、女性0.8%。年齢が上がるにつれて割合も増加し、70-74歳においては、男性で4.1%、女性で2.4%となる

医師から「脳卒中」と言われた人の割合(健保連調査4 211011)



▼医師から「心臓病(狭心症、心筋梗塞等)」にかかっていると言われたり、治療を受けたことがある者の割合は、特定健診受診者全体のうち男性3.1%、女性1.3%。年齢が上がるにつれて割合も増加し、70-74歳においては、男性で10.7%、女性で4.3%となる

医師から「心臓病」と言われた人の割合(健保連調査5 211011)



▼医師から「慢性腎臓病や腎不全」にかかっていると言われたり、治療を受けたことがある者の割合は、特定健診受診者全体のうち男性0.5%、女性0.3%。年齢との関係は、それほど明確ではなく、70-74歳においても、男性で1.1%、女性で0.5%にとどまる

医師から「慢性腎臓病」等と言われた人の割合(健保連調査6 211011)



▼医師から「貧血」と言われたことがある者の割合は、特定健診受診者全体のうち男性3.0%、女性22.8%。男性では、年齢との関係はそれほど明確でないが、女性では50代前半がピークである(26.1%)

医師から「貧血」と言われた人の割合(健保連調査7 211011)



このように、傷病・症状により「医薬品等の服用割合」などは大きくことなっています。特性を踏まえた保健指導や医療機関の受診勧奨を検討していくことが重要です。



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