有床診、2018年1月末で7194施設・9万8111床に減少―医療施設動態調査(2018年1月)
2018.3.26.(月)
昨年末(2017年12月末)から今年(2018年)1月末にかけて、病院の病床数は294床とわずかに増加しているが、有床診療所は、277床減少し、7194施設・9万8111床となった。このペースが続けば、今年(2018年)8月には7000施設を切り、2020年2月には9万床を割ってしまう―。
このような状況が、厚生労働省が3月23日に公表した医療施設動態調査(2018年1月末概数)から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。
有床診、「月28施設弱」のペースで減少、2018年8月には7000施設を切る見通し
厚生労働省は、毎月末における全国の病院・診療所数の増減を「医療施設動態調査」として公表しています(前月末の状況はこちら、前々月末の状況はこちら、さらにその前の月末の状況はこちら)。
今年(2018年)1月末の状況を見ると、全国の医療施設は計17万9029施設で、昨年末から142施設減少しました。このうち病院の施設数は、前月末から3施設減少して8401施設となりました。病院の種類別に見ると、▼一般病院:7344施設(前月比3施設減)▼精神科病院:1057施設(同増減なし)—という状況です。一般病院のうち、「療養病床を有する病院」は3785施設で前月末から2施設減少、「地域医療支援病院」は560施設で前月末から3施設増加しました。
一方、医科の診療所は10万1837施設で前月から66施設減少しました。このうち有床診療所は、前月から24施設減少し、7194施設となっています。
なお、昨年暮れから無床の医科診療所(2017年11月末から12月末にかけて60施設減、その後、2018年1月末にかえて42施設減少)、歯科診療所(同じく58施設減、73施設減)が減少している点も気になります。
有床診療所は、2年前(2016年1月末)には7834施設施設(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2017年1月末)には7532施設(厚労省のサイトはこちら)であったので、2016年1月末から17年1月末までの1年間で302施設、さらに今年(2018年)1月末までの次の1年間で338施設減少しています。有床診療所の施設数は、2017年1月末以降、次のように推移しています。
▼2017年1月末:7523施設
↓(38施設減)
▼2017年2月末:7485施設
↓(21施設減)
▼2017年3月末:7464施設
↓(38施設減)
▼2017年4月末:7426施設
↓(29施設減)
▼2017年5月末:7397施設
↓(17施設減)
▼2017年6月末:7380施設
↓(17施設減)
▼2017年7月末:7363施設
↓(21施設減)
▼2017年8月末:7342施設
↓(25施設減)
▼2017年9月末:7317施設
↓(56施設減)
▼2017年10月末:7261施設
↓(25施設減)
▼2017年11月末:7236施設
↓(18施設減)
▼2017年12月末:7218施設
↓(24施設減)
▼2018年1月末:7194施設
この1年間は、1か月当たり28施設強のペースで減少が続いています。このペースで進めば、今年(2018年)8月末には7000施設を切る計算になります。
有床診病床のベッド数は1か月に336床減少、2020年2月には9万床切るペース
医療施設の病床数(ベッド数)に目を移してみましょう。
医療施設全体では今年(2018年)1月末で165万3561床となり、昨年末から17床と微増しました。このうち病院の病床数は155万5386床で、昨年末から294床増加しています。病床種類別に見ると、▼一般病床:89万1548床(前月比404床増)▼療養病床:32万5222床(同151床減)▼精神病床:33万1603床(同75床増)—などという状況です。
一方、有床診療所の病床数は昨年末から277床減少し、9万8111床となりました。2年前(2016年1月末)には10万5940床(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2017年1月末)には10万2145床(厚労省のサイトはこちら)であったことから、2017年1月末までの1年間で3795床、今年(2018年)1月末までの次の1年間で4034床減少しています。2017年1月末以降、有床診のベッド数は次のように推移しています。
▼2017年1月末:10万2145床
↓(448床減)
▼2017年2月末:10万1697床
↓(335床減)
▼2017年3月末:10万1362床
↓(489床減)
▼2017年4月末:10万873床
↓(407床減)
▼2017年5月末:10万466床
↓(226床減)
▼2017年6月末:10万240床
↓(221床減)
▼2017年7月末:10万19床
↓(282床減)
▼2017年8月末:9万9737床
↓(206床減)
▼2017年9月末:9万9531床
↓(688床減)
▼2017年10月末:9万8843床
↓(306床減)
▼2017年11月末:9万8537床
↓(149床減)
▼2017年12月末:9万8388床
↓(277床減)
▼2018年1月末:9万8111床
この1年間は、1か月当たり336床程度のペースで減少が続いています。仮にこのペースが継続するとなれば、今年(2018年)11月には9万5000床を切り、2020年2月には9万床を割る計算となります。病院と有床診療所では機能も大きくことなりますが、ベッド数のみに着目して「毎月、1施設ずつ300床規模の病院が閉鎖している」と考えると、どれほどのスピードで減少しているのか、実感することができるのではないでしょうか。
有床診療所減少の減少にはさまざまな理由(後継者不足や患者減など)がありますが、厚労省は、地域包括ケアシステムの中で、「在宅医療の拠点」「在宅・介護施設への受け渡し」「終末期医療提供」といった重要な役割を果たす有床診の経営を下支えするために、2018年度の診療報酬・介護報酬で、例えば次のような見直しを行っています。
▼介護サービスを提供する有床診療所では、高い報酬である入院基本料1-3までの要件を緩和し、要介護者の入院受け入れを、新たに【介護連携加算】として評価する(診療報酬、関連記事はこちら)
▼利用者専用病床を1床確保すれば、看護小規模多機能型居宅介護の「宿泊室」の設備基準を満たしているとみなす(介護報酬、関連記事はこちら)
また、医療計画の中でも、地域包括ケアシステムの中で重要な役割を果たす有床診は、病床過剰地域においても例外的に新設可能となる規定が緩和・拡大されます(関連記事はこちら)。
これらの見直しは今年(2018年)4月以降に適用されるため、効果が現れるには、もうしばらくかかりますが、今後の動向をしっかりと注視する必要があります。
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