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2019年10月に医療事故が35件報告され、累計1535件に―日本医療安全調査機構

2019.11.13.(水)

今年(2019年)10月に医療事故調査・支援センター(以下、センター)に報告された医療事故は35件。2015年10月の医療事故調査制度発足から累計1535件の医療事故が報告され、このうち77.9%の1196件で院内調査が完了している。一般国民へも制度が浸透してきているが、やはり「正しい理解」が重要課題と考えられる―。

日本で唯一のセンターである「日本医療安全調査機構」が11月9日に公表した「医療事故調査制度の現況報告(10月)」から、こうした状況を明らかになりました(機構のサイトはこちら)。

2019年10月の医療事故報告件数、内科や循環器内科で5件、外科や精神科で4件

2015年10月から、全医療機関等(病院、診療所、助産所)に対し、院長などの管理者が予期しなかった「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡・死産」のすべてをセンターに報告する義務が課せられました【医療事故調査制度】。事故の原因・背景を調査・分析して「再発防止策」を構築して医療現場に広く共有し、医療安全を確保することを目指す制度です。

医療事故調査制度の概要は、次のように整理できます。
▼医療事故の発生を確認した管理者(院長など)は、速やかにセンターへ事故発生を報告する

▼事故が発生した医療機関で、自ら事故原因を調査【院内調査】し、調査結果をセンターに報告する

▼当該医療機関は、調査結果に基づいて事故の内容や原因を遺族に説明する(調査結果報告書の提示までは義務付けられていない)

▼センターで事故事例を集積、分析し具体的な再発防止策などを練る

医療事故調査制度の概要



センターでは重大事故について詳細を分析した結果を、これまでに以下の9つの提言としてまとめています。
(1)中心静脈穿刺合併症に係る死亡の分析―第1報―
(2)急性肺血栓塞栓症に係る死亡の分析
(3)注射剤によるアナフィラキシーに係る死亡事例の分析
(4)気管切開術後早期の気管切開チューブ逸脱・迷入に係る死亡事例の分析
(5)腹腔鏡下胆嚢摘出術に係る死亡事例の分析
(6)栄養剤投与目的に行われた胃管挿入に係る死亡事例の分析
(7)一般・療養病棟における非侵襲的陽圧換気(NPPV)及び気管切開下陽圧換気(TPPV)に係る死亡事例の分析
(8)救急医療における画像診断に係る死亡事例の分析
(9)入院中に発生した転倒・転落による頭部外傷に係る死亡事例の分析(関連記事はこちら



さらに、我が国唯一のセンターである日本医療安全調査機構は、毎月、医療事故報告の状況を公表しています(前月の状況はこちら、前々月の状況はこちら)。今年(2019年)10月には、新たに35件の医療事故が報告され、制度発足からの累計報告件数は1535件となりました。

今年(2019年)10月に新たに報告された医療事故35件の内訳は、病院から34件、診療所から1件でした。制度発足からの累計では、病院から1449件(事故全体の94.4%)、診療所から86件(同5.6%)となっています。

今年(2019年)10月に新たに報告された事故を診療科別に見ると、▼内科:5件▼循環器内科:5件▼外科:4件▼精神科:4件―などで多くなっています。制度発足からの累計を見ると、▼外科:253件(同16.5%)▼内科:194件(同12.6%)▼整形外科:125件(同8.1%)▼循環器内科:123件(同8.0%)▼消化器科:121件(同7.9%)―などで多くなっています。循環器内科と消化器科の順位が入れ替わりました。

最近の医療事故報告の概要(医療事故の現況(2019年10月)1 191108)

センターへの相談件数は累計7923件、一般国民の正しい理解が重要

センターへの報告が義務付けられている医療事故は、医療機関内で生じたすべての死亡・死産事例ではありません。前述のとおり、死亡・死産事例のうち「院長などの管理者が、▼予期せず▼医療に起因し、または起因すると疑われる—もの」に限定されます。

例えば、火災に巻き込まれ、重度の熱傷を負った被害者が救急搬送され、適切な治療の甲斐もなく死亡してしまったケースなどでは、一般に「死亡が予期」されることから、センターへの報告は必要ないでしょう。ただし、そうしたケースでも、明らかな処置上のミスなどがあり通常の経過とは異なるプロセスで死亡した場合には、「予期しなかった」医療事故としてセンターへの報告が必要となってきます。

もちろん、どこまでが「予期された」医療事故なのかの判断は難しいところがあり、医療現場では「患者が死亡したが報告すべき医療事故に該当するのだろうか?」という疑問、また「初めての医療事故で、センターへどのように報告すればよいのか分からない」といったケースも生じることがあると思われます。

一方、遺族の中には「家族が医療機関で死亡したが、医療事故として報告されていないようだ。事故を隠蔽しようとしているのではないか?」との疑念をもつ方もいらっしゃるでしょう。

こうした疑問・疑念を放置することは許されないため、センターでは相談対応も行っています。今年(2019年)10月には、新たに172件の相談がセンターに寄せられ、制度発足からの累計では7923件となりました。

今年(2019年)10月に新たに寄せられた相談の内訳は、▼医療機関から:80件▼遺族などから:77件▼その他・不明:15件―でした。

医療機関からの相談内容を見ると、最も多いのは「報告の手続き」に関するもので53件(医療機関からの相談全体の58.2%)。次いで「報告すべき医療事故か否かの判断」14件(同15.4%)、「院内調査に関するもの」12件(同13.2%)などとなっています。医療現場において制度が正しく浸透していることが伺えますが、やや「判断」に関する相談が多くなっている点が気になります。

一方、遺族などからの相談内容を見てみると、「医療事故に該当するか否かの判断」が73件(遺族などからの相談全体の89.0%)と圧倒的多数を占めています。ただし、「制度開始前の事故事例」「生存事例」など、そもそも報告対象とならないものに関する相談も含まれており、一般国民の「正しい理解」は依然として重要な課題のままです。

最近の医療事故相談件数の概要(医療事故の現況(2019年10月)3 191108)

センターへの調査依頼は新たに遺族から3件

前述のとおり、医療事故調査制度の目的は「再発防止」にあります。効果的な再発防止のためには、事故が生じた医療機関等自らが事故の内容や背景を調査し、自院の体制・手続き・ルールなどに問題がなかったかを検証する中で「自院の課題」を発見し、そこから防止策構築に繋げることが重要と考えられています。このため、「まず事故が発生した医療機関が自ら原因究明に向けた調査【院内調査】を行う」ことが求められています。

今年(2019年)10月に新たに院内調査が完了した事例は28件で、制度発足からの累計では1196件となりました。これまでに報告された全1535件の医療事故のうち77.9%(前月から増減なし)で院内調査が完了しています。

なお、遺族側には「院内調査結果に納得がいかない」「院内調査が遅すぎる。何かを隠しているのではないか」との思いが生じることがあるかもしれません。一方で、診療所や助産所などの小規模施設では、「自前で院内調査を実施することが難しい」ケースもあると思われます(医師会や病院団体などの支援団体によるサポート体制あり)。

そこでセンターでは、「遺族や医療機関等からの調査依頼を受け付ける」体制を整備しています。ただし「センターが最初から調査する」のではなく、「院内調査が時期・内容ともに適切に実施されたのか」という観点で調査を行うことになります。

今年(2019年)10月に、センターに寄せられた調査依頼はすべて遺族等からの3件でした。制度発足からの累計調査依頼件数は108件(遺族から88件・81.5%、医療機関から20件・18.5%)となり、またセンター調査の進捗状況を見ると30件で調査が終了しています(前月から2件増加)。

最近の院内調査結果報告の概要(医療事故の現況(2019年10月)2 191108)

 
 

 

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