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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

介護保険制度の「給付と負担の見直し」、利用控えを招かないようにすべき―老施協

2019.12.24.(火)

全国老人福祉施設協議会が12月17日に「令和を拓く介護保険制度への意見」をまとめ、公表しました(老施協のサイトはこちら)。

介護人材の確保策の強化を求めるとともに、「給付と負担の見直し」に関しては「利用控えを招かないようにすべき」との見解を強調しています。

介護人材確保、引き続き予算・基金での対応を継続せよ

介護保険制度は、3年を1期とした介護保険事業(支援)計画に基づいて運営されます(市町村が介護保険事業計画を、都道府県が介護保険事業支援計画を作成)。地域におけるサービス整備量を計画に定め、それを賄うための保険料設定し、3年ごとに見直すというイメージです。

2021年度から新たに「第8期計画」(2021-23年度計画)がスタートするために、▼2019年に制度改正等の内容を固める▼2020年の通常国会に介護保険法等改正案を提出し、成立を待つ▼改正法等を受け、2020年度に市町村等で計画を作成する―というスケジュールが立てられ、現在、介護保険部会で介護保険制度改正論議が大詰めを迎えています。

そうした中で老施協では、(1)介護予防・健康づくりの延伸(2)保険者機能の強化(3)地域包括ケアシステムの推進(4)認知症「共生」「予防」の推進(5)持続可能な制度の再構築・介護現場の革新―の5本の柱を立て、それぞれに提言を行っています。この5本柱は介護保険部会の報告書案と同じ構成ですが、老施協では「制度の持続可能性」とともに「事業者の持続可能性」担保にも注目すべきと訴えています。

注目される(5)の「持続可能な制度の再構築・介護現場の革新」に関しては、まず「介護人材確保」を重要項目として掲げています。2022年度から、いわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度に全員が75歳以上に到達することから、今後、急速に介護ニーズが増加していくと予想されます。その後、2040年度にかけて高齢者の増加ペース自体は鈍化するものの、支え手である現役世代人口が急速に減少していくことが分かっています。このように「少なくなる一方の支え手」で「増加を続ける高齢者」を支えなければならないことから、介護保険財政だけでなく、「サービスの担い手」不足が極めて深刻な状況となるのです。

こうした状況を踏まえて老施協では、介護人材の確保に向け▼引き続き、予算措置および地域医療介護総合確保基金での対応を進める▼有料職業紹介や労働者派遣のあり方も検討する▼ 介護福祉士養成施設卒業生に対する国家資格義務付けについて、当面の間延長し、適切な対応を検討する―ことを求めています。



また、給付と負担の見直しに関しては、▼利用控え等の実態が生じないよう留意する▼補足給付については、恒久的な保険制度として堅持する―ことを強く求めました。

介護保険部会では、厚生労働省から▼補足給付の見直し(第3段階を2分し、比較的所得の高い層では自己負担を引き上げる)▼高所得者における高額介護サービス費の見直し(自己負担上限を医療保険の高額療養費に合わせて引き上げる)―方向が検討されています(介護保険部会の論議に関する記事はこちら)。

一方で「ケアマネジメントにおける自己負担の導入」や「軽度者の介護サービスについての、市町村事業への移管」については、「引き続きの検討課題」に位置付けられましたが、費用負担サイドからは「2022年に向けて、積極的に検討すべき」との意見も根強くあります。老施協の提言は、こうした意見を牽制するものと言えます。



介護保険部会は年内に意見をまとめる予定で、これを受けて厚生労働省が必要な制度改正内容を詰めていきます。老施協の提言が介護保険部会の意見にどう影響するのか、今後の動向に引き続き注意を払う必要があります。



ところで、12月18日の中医協総会では、電話再診について「かかりつけ医が電話で救急医療機関受診を指示することがあり、その際に、かかりつけ医が救急医療機関に情報提供した場合に、【診療情報提供料】の算定を可能とする」ことも認められました。

電話再診においても、一定のケースで診療情報提供料算定を認める(中医協総会(2)8 191218)

 
 
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