Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 新制度シミュレーションリリース

協会けんぽの「後発品割合」、2021年1月末に「80%達成」をクリアできている可能性―協会けんぽ

2021.2.26.(金)

協会けんぽにおけるジェネリック医薬品(後発品)の使用割合は、昨年(2020年)初めから足踏み状態に陥っていたが、昨年(2020年)9月・10月にはこれを抜け出した。医科・DPC・歯科分を加味した後発品割合について、政府目標の「80%以上」を今年(2021年)1月末でクリアできた可能性が高い―。

こういった状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が2月26日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました(協会のサイトはこちら)。

協会けんぽ全体の後発品割合(調剤分)、「足踏み・踊り場状態」から脱却

医療技術の高度化(例えば脊髄性筋萎縮症の治療薬「ゾルゲンスマ点滴静注」(1億6707万円)白血病等治療薬「キムリア」(3350万円)といった超高額薬剤の保険適用など)が進んでいます。

また少子・高齢化もとどまるところを知りません。2022年度からは、いわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が後期高齢者となります。2025年度から2040年度にかけては、高齢者の増加ペース自体は鈍化するものの、現役世代人口が急速に減少していくことが分かっています。

こういった状況から、我が国の医療保険財政は今後、厳しさを増していくことが確実です。新型コロナウイルス感染症の影響で、医療費は一時的に減少すると見られますが、保険料収入の減少(失業や給与減など)がそれを上回り、さらに「少子化がさらに進行する」ことから(関連記事はこちらこちら)、医療保険財政が厳しさを増す点には変化がないでしょう。

こうした中では、「医療費の伸びを、我々国民が負担可能な水準に抑える」(医療費適正化)ことが欠かせません。政府は、▼平均在院日数の短縮による入院医療費の適正化(入院基本料や特定入院料、DPCの包括点数は「1日当たり」の支払い方式であり、在院日数の短縮が入院医療費の縮減に効果的である)▼後発医薬品(ジェネリック医薬品、後発品)の使用促進による薬剤費の圧縮▼病院の機能分化推進と連携の強化▼地域差(ベッド数、外来受療率、平均在院日数など)の是正▼保健事業の充実による健康寿命の延伸―など、さまざまな角度から医療費適正化に向けて取り組んでいます。

このうち後発品使用促進に関しては、▼2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とする(第1目標)▼2020年9月に80%以上とする(第2目標)―という2段階の目標が設定され、全国で使用推進が行われています。昨年(2020年)9月の後発品割合は日本全国で78.3%にとどまり、第2目標は「未達」に終わっています。



主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する「協会けんぽ」(運営者:全国健康保険協会)では、かねてから積極的に後発品使用促進に取り組んでおり、例えば医療機関を受診し、医薬品を処方された加入者個々人に宛てて「貴方の医薬品を先発品から後発品に切り替えれば、自己負担額が○○円軽減されます」といった通知を発出したり、毎月の後発品使用割合の公表などを行っています。

2月26日に公表された、昨年(2020年)10月末時点の後発品使用割合を見ると、調剤ベースでは82.4%で、前月から0.3ポイント上昇したことが分かりました。昨年(2020年)初めから夏まで続いていた「足踏み状態」「踊り場状態」から抜け出せた、と見ることができるでしょう(前月の関連記事はこちら)。

協会けんぽの後発品割合は、足踏み状態を抜け出せた(協会けんぽの後発品割合(2020年10月)1 210226

今年(2021年)1月に「医科・DPC・歯科を加味した全体」で80%クリアした可能性

調剤分に「医科・DPC・歯科」分を加えた保険診療全体の後発品割合は、▼昨年(2020年)1月:78.6%▼2月:78.7%▼3月:78.7%▼4月:79.0%▼5月:78.7%▼6月:78.9%▼7月:78.5%▼8月:78.9%▼9月:79.2%▼10月:79.6%―となり、こちらも「足踏み状態・踊り場状態から抜け出せた」ように見えますが、第2目標(80%以上)の達成はできていません。

また、都道府県別に見ると依然として大きなバラつさきがあります。「調剤・医科・DPC・歯科」分の後発品割合が最も高いのは沖縄県の88.5%(前月から0.2ポイント上昇)、逆に最も低いのは徳島県で72.3%(同0.8ポイント上昇)となっています。

沖縄県のほか、「調剤・医科・DPC・歯科」分の後発品割合80%以上をクリアできているのは、▼岩手県の85.0%(同0.3ポイント上昇)▼鹿児島県の84.7%(同0.6ポイント上昇)▼山形県の83.4%(同0.4ポイント上昇)▼宮城県の83.3%(同0.5ポイント上昇)▼島根県の82.6%(同増減なし)▼宮崎県の82.5%(同0.6ポイント上昇)▼青森県の82.2%(同0.3ポイント上昇)▼福島県の82.1%(同0.5ポイント上昇)▼秋田県の81.8%(同0.4ポイント上昇)▼佐賀県の81.8%(同0.1ポイント上昇)▼北海道の81.7%(同0.4ポイント上昇)▼新潟県の81.6%(同0.3ポイント上昇)▼長崎県の81.5%(同0.2ポイント上昇)▼熊本県の81.5%(同0.3ポイント上昇)▼鳥取県の81.2%(同0.3ポイント上昇)▼長野県の81.2%(同0.2ポイント上昇)▼山口県の81.1%(同0.5ポイント上昇)▼富山県の81.0%(同0.5ポイント上昇)▼滋賀県の80.6%(同1.1ポイント上昇)▼静岡県の80.5%(同0.6ポイント上昇)▼福岡県の80.5%(同0.4ポイント上昇)▼群馬県の80.4%(同0.4ポイント上昇)▼千葉県の80.0%(同0.2ポイント上昇)―の合計24道県となりました。新たに滋賀県・静岡県・千葉県が新たに80%以上になっています。

80%以上クリアは24道県に再び増加した(協会けんぽの後発品割合(2020年10月)2 210226)



「医科・DPC・歯科」を合わせると、「80%クリア」までには「あと0.4ポイント」の開きがあります。2018年12月末(75.3%)から昨年(2020年)10月末(79.6%)まで、単純計算で「1か月当たり0.20ポイント弱」のペースで後発品割合が上昇している格好です。このペースが続くとすれば、計算上「80%以上クリア」は今年(2021年)1月末となり(前月よりも1か月早いペース)、「すでに80%以上をクリアできている」可能性が高いと考えられます。

今後、新たな目標(後発品使用割合、期限)をどう設定していくのかにも注目する必要があるでしょう。



なお、協会けんぽでは、▼軽減額通知(お薬代の軽減可能額のお知らせ)対象を15歳以上に拡大する▼厚生労働省が定めた重点地域を中心に医療機関・保険薬局への訪問を強化する―という緊急対策を打ち出しており(関連記事はこちら)、これらの効果を検証するとともに、さらなる一手・二手を検討していくことも重要です。



診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

【関連記事】

協会けんぽの「後発品割合」、ようやく足踏みから脱せたか、80%達成は2021年2月末か―協会けんぽ
協会けんぽの「後発品割合」、依然として足踏み状態、80%達成は2021年3月末か―協会けんぽ
協会けんぽの「後発品割合」は足踏み状態から抜け出せず、期限内の目標クリアは厳しい―協会けんぽ
協会けんぽの「後発品割合」使用は完全な足踏み状態、期限内の目標クリアに黄信号灯る―協会けんぽ
協会けんぽの「医科・歯科・DPC・調剤含めた後発品割合」は78.7%で足踏み状態、期限内の目標クリアは可能か―協会けんぽ
協会けんぽの「医科・歯科・DPC・調剤含めた後発品割合」、80%以上達成は2020年8月の見込み―協会けんぽ
協会けんぽの後発品割合、調剤に医科やDPC含めた全体で2020年7月にも8割クリア見込み―協会けんぽ
協会けんぽの後発品割合、調剤ベースでは安定して8割台キープ、医科やDPC含めた全体では2020年8月に8割クリア見込み―協会けんぽ
2019年11月、医科やDPC含めた全体の後発品割合は78.0%、現行ペース続けば80%達成は2020年8月の見込み―協会けんぽ
2019年10月、後発品割合が調剤分でついに80%超えるが、医科やDPC含めた全体では77.4%―協会けんぽ
後発品割合80%達成に向け、医療機関等の訪問説明行い、薬剤費軽減通知対象も拡大―協会けんぽ
2019年9月の後発品割合、調剤に医科やDPC等含めると76.9%、80%クリアは2021年3月見込み―協会けんぽ
2019年8月の後発品割合、医科やDPC等含めると76.6%、期限内の80%達成は依然困難―協会けんぽ
2019年7月の後発品割合、医科やDPC等含めると76.5%、期限内の80%達成は難しい―協会けんぽ
2019年6月の後発品割合、医科やDPC等含めると76.3%、期限内の80%達成は困難―協会けんぽ
2019年5月の後発品割合、医科やDPC等含めると76.3%で「80%達成」には時間かかる―協会けんぽ
2019年4月の後発品割合、数量ベース79.1%、医科等も含めると76.1%、「足踏み」続く―協会けんぽ
2019年3月の後発品割合は78.9%、2019年に入ってからの「足踏み」続く―協会けんぽ
2019年2月の後発品割合は78.9%、前月から0.2ポイント低下―協会けんぽ
2019年1月の後発品割合は79.1%、80%クリアは沖縄・鹿児島など20道県―協会けんぽ
2018年11月の後発品割合は78.1%、80%クリアは沖縄・鹿児島など12県に増加―協会けんぽ
2018年10月の後発品割合は77.5%、80%クリアは沖縄・鹿児島・岩手・宮崎・山形・宮城・佐賀・長野の8県―協会けんぽ
2018年9月の後発品割合は76.9%、80%以上クリアは沖縄・鹿児島・岩手・宮崎・山形・宮城の6県に増加―協会けんぽ
2018年8月の後発品割合は76.5%と再上昇、80%以上クリアは沖縄・鹿児島・岩手で変わらず―協会けんぽ
2018年7月の後発品割合は76.2%に低下、「足踏み」となっていないか、今後の状況を注視―協会けんぽ
2018年6月の後発品割合は76.3%、徳島県のみ「70%」に到達せず―協会けんぽ
2018年5月の後発品割合は76.0%、都道府県別の最高は沖縄の85.9%―協会けんぽ
2018年3月の後発品割合75.0%、80%以上の自治体は沖縄・鹿児島・岩手の3県―協会けんぽ
2018年2月の後発品割合74.6%、都道府県別では沖縄の84.3%が最高―協会けんぽ
2018年1月の後発品割合74.3%、70%未達は徳島、山梨など3県に減少―協会けんぽ
2017年12月の後発品割合72.7%、70%未達は徳島、山梨など4県に減少―協会けんぽ
2017年11月の後発品割合72.0%で前月から大幅増だが、さらなる注視が必要―協会けんぽ
2017年10月の後発品割合71.1%、「伸び悩み」から脱せず―協会けんぽ
2017年9月の後発品割合71.2%、上昇傾向だが「80%以上」に向けて強力な対策必要―協会けんぽ
診療報酬ネットマイナス改定で収支920億円改善―協会けんぽ

2017年7月の後発品割合70.1%、前月から0.8ポイントもダウン―協会けんぽ
2017年6月の後発品割合70.9%、第1目標クリアするも深刻な伸び悩み―協会けんぽ
2017年5月の後発品割合70.7%、第1目標クリアするも、依然伸び悩み―協会けんぽ
2017年4月の後発品割合70.6%だが伸び悩み、第2目標「80%以上」にどう取り組むか―協会けんぽ
2017年2月の後発品割合は前月から0.1ポイント下がり70.5%、頭打ちか―協会けんぽ
2017年1月の後発品割合70.6%、32道県で70%クリア―協会けんぽ
2016年12月の後発品割合69.8%、次のターゲットは「80%以上」の第2目標に―協会けんぽ
2016年11月の後発品割合69.4%、政府目標70%達成はすでに達成か―協会けんぽ
後発品割合68.8%、政府目標の70%までわずか1.2ポイントに迫る―協会けんぽ2016年10月
後発品割合は68.3%に上昇、増加ペースが維持されれば2017年3月に70%超―協会けんぽ2016年9月
後発品割合67.5%に上昇したが、2016改定後に伸び率鈍化―協会けんぽ2016年7月
後発品使用割合67.3%、政府目標の70%まであと一歩―協会けんぽ2016年6月
後発品使用割合64.5%、毎月1ポイント上昇のペース続けば今夏にも70%に―協会けんぽ2016年2月
後発品使用割合61.4%、「17年央に70%」の目標は達成可能か―協会けんぽ15年10月時点
後発品使用割合60%程度で足踏み状態、「17年央に70%」の目標達成に暗雲―協会けんぽ15年9月時点
協会けんぽの後発品使用割合は15年3月時点で60.4%、「17年央に70%以上」の目標値まで約10ポイントの開き

2017年、健保組合全体で後発品割合は70%を概ねクリア—健保連

保湿剤のヒルドイド、一部に「極めて大量に処方される」ケースも―中医協総会(3)
長期収載品から後発品への置き換え促進、新薬創出等加算などとセットで議論すべき—中医協・薬価専門部会
後発品の薬価、現在3区分の価格帯をさらに集約していくべきか—中医協・薬価専門部会
後発品割合80%の目標達成に向け、処方箋の「変更不可」欄は廃止すべきか―中医協総会(2)

地域の保険者協議会と後発品協議会が連携し、後発品の更なる使用促進を―厚労省



脊髄性筋萎縮症の治療薬「ゾルゲンスマ点滴静注」を保険適用、患者1人当たり1億6707万円―中医協総会(2)
画期的な白血病治療薬「キムリア」を保険収載、薬価は3349万円―中医協総会(1)



2018年度の医療費、前年度比0.8%と低水準の伸びだが、改定影響除外すれば例年並み―厚労省



新型コロナによる妊娠届出数の減少が8月以降も続く、少子化に拍車かかること必至—厚労省
新型コロナで妊娠の届け出が激減(5月は17%減)、少子化に拍車の恐れ—厚労省