Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

協会けんぽの「後発品割合」、ようやく足踏みから脱せたか、80%達成は2021年2月末か―協会けんぽ

2021.1.22.(金)

協会けんぽにおけるジェネリック医薬品(後発品)の使用割合は、昨年(2020年)初めから足踏み状態に陥っていたが、昨年(2020年)9月にようやく抜け出せた可能性がある。医科・DPC・歯科分を加味した後発品割合は、現在のペースが続けば、政府目標の「80%以上」達成は2021年2月末になってしまう見込みである―。

こういった状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会がこのほど公表した医薬品使用状況から明らかになりました(協会のサイトはこちら)。

協会けんぽ全体の後発品割合(調剤分)、ついに「足踏み状態」から抜け出したか?

「医療技術の高度化(脊髄性筋萎縮症の治療薬「ゾルゲンスマ点滴静注」(1億6707万円)白血病等治療薬「キムリア」(3350万円)の保険適用など)、「少子・高齢化の進展」(2022年度からは、いわゆる団塊の世代が後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が75歳以上に到達する。2025年度から2040年度にかけて高齢者の増加ペース自体は鈍化するが、現役世代人口が急速に減少していく)などにより、我が国の医療保険財政は今後、厳しくなっていくことが確実です。

新型コロナウイルス感染症の影響で、医療費は一時的に減少すると見られるものの、保険料収入の減少(失業や給与減など)がそれを上回り、さらに「少子化がさらに進行する」ことから(関連記事はこちらこちら)、医療保険財政が厳しさを増す点には変化がないと考えられます。

こうした状況の下では、「医療費の伸びを、我々国民が負担可能な水準に抑える」(医療費適正化)ことが欠かせません。政府は、▼平均在院日数の短縮による入院医療費の適正化(入院基本料や特定入院料、DPCの包括点数は「1日当たり」の支払い方式であり、在院日数の短縮が入院医療費の縮減に効果的である)▼後発医薬品(ジェネリック医薬品、後発品)の使用促進による薬剤費の圧縮▼病院の機能分化推進と連携の強化▼地域差(ベッド数、外来受療率、平均在院日数など)の是正▼保健事業の充実による健康寿命の延伸―など、さまざまな角度から医療費適正化に向けて取り組んでいます。

このうち後発品使用促進に関しては、▼2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とする(第1目標)▼2020年9月に80%以上とする(第2目標)―という2段階の目標が設定され、全国で使用推進が行われています。昨年(2020年)9月の後発品割合は日本全国で78.3%にとどまり「第2目標は未達に終わった」ようです。



主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する「協会けんぽ」(運営者:全国健康保険協会)では、かねてから積極的に後発品使用促進に取り組んでおり、例えば医療機関を受診し、医薬品を処方された加入者個々人に宛てて「貴方の医薬品を先発品から後発品に切り替えれば、自己負担額が○○円軽減されます」といった通知を発出したり、毎月の後発品使用割合の公表などを行っています。

このほど公表された、昨年(2020年)9月末時点の後発品使用割合を見ると、調剤ベースでは82.1%で、前月から0.3ポイント上昇したことが分かりました。

協会けんぽ全体(日本全国)の後発品使用割合(新指標、調剤分)を見ると、▼昨年(2020年)1月:81.6%▼2月:81.6%▼3月:81.6%▼4月:81.7%▼5月:81.6%▼6月:81.8%▼7月:81.4%▼8月:81.8%▼9月:82.1―となり、「足踏み状態から抜け出せた」ようにも思えますが、今後の推移を見ていく必要があります。

2020年9月時点における協会けんぽの後発品割合(その1)

「医科・DPC・歯科を加味した全体」の80%クリアは今年(2021年)2月末の見込み

調剤分に「医科・DPC・歯科」分を加えた保険診療全体の後発品割合は、▼昨年(2020年)1月:78.6%▼2月:78.7%▼3月:78.7%▼4月:79.0%▼5月:78.7%▼6月:78.9%▼7月:78.5%▼8月:78.9%▼9月:79.2%―となり、こちらも「足踏み状態から抜け出せた」ように見えますが、第2目標の達成には至っていないこと確認できます。

また、都道府県別に見ると依然として大きなバラつさきがあり、「調剤・医科・DPC・歯科」分の後発品割合が最も高いのは沖縄県の88.3%(前月から0.2ポイント上昇)、逆に最も低いのは徳島県で71.5%(同0.3ポイント上昇)となっています。

沖縄県のほか、「調剤・医科・DPC・歯科」分の後発品割合80%以上をクリアできているのは、▼岩手県の84.7%(同0.4ポイント上昇)▼鹿児島県の84.1%(同0.2ポイント上昇)▼山形県の83.0%(同0.3ポイント上昇)▼宮城県の82.8%(同0.5ポイント上昇)▼島根県の82.6%(同0.3ポイント上昇)▼宮崎県の81.9%(同0.3ポイント上昇)▼青森県の81.9%(同0.4ポイント上昇)▼佐賀県の81.7%(同0.4ポイント上昇)▼福島県の81.6%(同0.6ポイント上昇)▼秋田県の81.4%(同0.4ポイント上昇)▼北海道の81.3%(同0.4ポイント上昇)▼新潟県の81.3%(同0.3ポイント上昇)▼長崎県の81.3%(同0.3ポイント上昇)▼熊本県の81.2%(同0.1ポイント上昇)▼長野県の81.0%(同0.2ポイント上昇)▼鳥取県の80.9%(同0.4ポイント上昇)▼山口県の80.6%(同0.2ポイント上昇)▼富山県の80.5%(同0.4ポイント上昇)▼福岡県の80.1%(同0.3ポイント上昇)▼群馬県の80.0%(同0.6ポイント上昇)―の合計21道県となりました。新たに福岡県・群馬県が80%以上になっています。

2020年9月時点における協会けんぽの後発品割合(その2)



「医科・DPC・歯科」を合わせると、「80%クリア」までには「依然として0.8ポイントの開き」があります。2018年12月末(75.3%)から昨年(2020年)9月末(79.2%)まで、単純計算で「1か月当たり0.19ポイント」のペースで後発品割合が上昇している格好です。このペースが続くとすれば、計算上「80%以上クリア」は今年(2021年)2月末となります(前月よりも1か月早いペース)。新たな目標(後発品割合、期限)をどう設定していくのか注目が集まります。



協会けんぽでは、▼軽減額通知(お薬代の軽減可能額のお知らせ)対象を15歳以上に拡大する▼厚生労働省が定めた重点地域を中心に医療機関・保険薬局への訪問を強化する―という緊急対策を打ち出しており(関連記事はこちら)、これらの効果を検証するとともに、さらなる一手・二手を検討していく必要があります。



病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

【関連記事】

協会けんぽの「後発品割合」、依然として足踏み状態、80%達成は2021年3月末か―協会けんぽ
協会けんぽの「後発品割合」は足踏み状態から抜け出せず、期限内の目標クリアは厳しい―協会けんぽ
協会けんぽの「後発品割合」使用は完全な足踏み状態、期限内の目標クリアに黄信号灯る―協会けんぽ
協会けんぽの「医科・歯科・DPC・調剤含めた後発品割合」は78.7%で足踏み状態、期限内の目標クリアは可能か―協会けんぽ
協会けんぽの「医科・歯科・DPC・調剤含めた後発品割合」、80%以上達成は2020年8月の見込み―協会けんぽ
協会けんぽの後発品割合、調剤に医科やDPC含めた全体で2020年7月にも8割クリア見込み―協会けんぽ
協会けんぽの後発品割合、調剤ベースでは安定して8割台キープ、医科やDPC含めた全体では2020年8月に8割クリア見込み―協会けんぽ
2019年11月、医科やDPC含めた全体の後発品割合は78.0%、現行ペース続けば80%達成は2020年8月の見込み―協会けんぽ
2019年10月、後発品割合が調剤分でついに80%超えるが、医科やDPC含めた全体では77.4%―協会けんぽ
後発品割合80%達成に向け、医療機関等の訪問説明行い、薬剤費軽減通知対象も拡大―協会けんぽ
2019年9月の後発品割合、調剤に医科やDPC等含めると76.9%、80%クリアは2021年3月見込み―協会けんぽ
2019年8月の後発品割合、医科やDPC等含めると76.6%、期限内の80%達成は依然困難―協会けんぽ
2019年7月の後発品割合、医科やDPC等含めると76.5%、期限内の80%達成は難しい―協会けんぽ
2019年6月の後発品割合、医科やDPC等含めると76.3%、期限内の80%達成は困難―協会けんぽ
2019年5月の後発品割合、医科やDPC等含めると76.3%で「80%達成」には時間かかる―協会けんぽ
2019年4月の後発品割合、数量ベース79.1%、医科等も含めると76.1%、「足踏み」続く―協会けんぽ
2019年3月の後発品割合は78.9%、2019年に入ってからの「足踏み」続く―協会けんぽ
2019年2月の後発品割合は78.9%、前月から0.2ポイント低下―協会けんぽ
2019年1月の後発品割合は79.1%、80%クリアは沖縄・鹿児島など20道県―協会けんぽ
2018年11月の後発品割合は78.1%、80%クリアは沖縄・鹿児島など12県に増加―協会けんぽ
2018年10月の後発品割合は77.5%、80%クリアは沖縄・鹿児島・岩手・宮崎・山形・宮城・佐賀・長野の8県―協会けんぽ
2018年9月の後発品割合は76.9%、80%以上クリアは沖縄・鹿児島・岩手・宮崎・山形・宮城の6県に増加―協会けんぽ
2018年8月の後発品割合は76.5%と再上昇、80%以上クリアは沖縄・鹿児島・岩手で変わらず―協会けんぽ
2018年7月の後発品割合は76.2%に低下、「足踏み」となっていないか、今後の状況を注視―協会けんぽ
2018年6月の後発品割合は76.3%、徳島県のみ「70%」に到達せず―協会けんぽ
2018年5月の後発品割合は76.0%、都道府県別の最高は沖縄の85.9%―協会けんぽ
2018年3月の後発品割合75.0%、80%以上の自治体は沖縄・鹿児島・岩手の3県―協会けんぽ
2018年2月の後発品割合74.6%、都道府県別では沖縄の84.3%が最高―協会けんぽ
2018年1月の後発品割合74.3%、70%未達は徳島、山梨など3県に減少―協会けんぽ
2017年12月の後発品割合72.7%、70%未達は徳島、山梨など4県に減少―協会けんぽ
2017年11月の後発品割合72.0%で前月から大幅増だが、さらなる注視が必要―協会けんぽ
2017年10月の後発品割合71.1%、「伸び悩み」から脱せず―協会けんぽ
2017年9月の後発品割合71.2%、上昇傾向だが「80%以上」に向けて強力な対策必要―協会けんぽ
診療報酬ネットマイナス改定で収支920億円改善―協会けんぽ

2017年7月の後発品割合70.1%、前月から0.8ポイントもダウン―協会けんぽ
2017年6月の後発品割合70.9%、第1目標クリアするも深刻な伸び悩み―協会けんぽ
2017年5月の後発品割合70.7%、第1目標クリアするも、依然伸び悩み―協会けんぽ
2017年4月の後発品割合70.6%だが伸び悩み、第2目標「80%以上」にどう取り組むか―協会けんぽ
2017年2月の後発品割合は前月から0.1ポイント下がり70.5%、頭打ちか―協会けんぽ
2017年1月の後発品割合70.6%、32道県で70%クリア―協会けんぽ
2016年12月の後発品割合69.8%、次のターゲットは「80%以上」の第2目標に―協会けんぽ
2016年11月の後発品割合69.4%、政府目標70%達成はすでに達成か―協会けんぽ
後発品割合68.8%、政府目標の70%までわずか1.2ポイントに迫る―協会けんぽ2016年10月
後発品割合は68.3%に上昇、増加ペースが維持されれば2017年3月に70%超―協会けんぽ2016年9月
後発品割合67.5%に上昇したが、2016改定後に伸び率鈍化―協会けんぽ2016年7月
後発品使用割合67.3%、政府目標の70%まであと一歩―協会けんぽ2016年6月
後発品使用割合64.5%、毎月1ポイント上昇のペース続けば今夏にも70%に―協会けんぽ2016年2月
後発品使用割合61.4%、「17年央に70%」の目標は達成可能か―協会けんぽ15年10月時点
後発品使用割合60%程度で足踏み状態、「17年央に70%」の目標達成に暗雲―協会けんぽ15年9月時点
協会けんぽの後発品使用割合は15年3月時点で60.4%、「17年央に70%以上」の目標値まで約10ポイントの開き

2017年、健保組合全体で後発品割合は70%を概ねクリア—健保連

保湿剤のヒルドイド、一部に「極めて大量に処方される」ケースも―中医協総会(3)
長期収載品から後発品への置き換え促進、新薬創出等加算などとセットで議論すべき—中医協・薬価専門部会
後発品の薬価、現在3区分の価格帯をさらに集約していくべきか—中医協・薬価専門部会
後発品割合80%の目標達成に向け、処方箋の「変更不可」欄は廃止すべきか―中医協総会(2)

地域の保険者協議会と後発品協議会が連携し、後発品の更なる使用促進を―厚労省



脊髄性筋萎縮症の治療薬「ゾルゲンスマ点滴静注」を保険適用、患者1人当たり1億6707万円―中医協総会(2)
画期的な白血病治療薬「キムリア」を保険収載、薬価は3349万円―中医協総会(1)



2018年度の医療費、前年度比0.8%と低水準の伸びだが、改定影響除外すれば例年並み―厚労省



新型コロナによる妊娠届出数の減少が8月以降も続く、少子化に拍車かかること必至—厚労省
新型コロナで妊娠の届け出が激減(5月は17%減)、少子化に拍車の恐れ—厚労省