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「11月」分、平均在院日数短縮と病床利用率向上を両立できず、人口動態等踏まえた病床規模適正化も―病院報告、2019年11月分

2020.2.26.(水)

「11月分」のデータを追いかけると、病院の一般病床では「平均在院日数の短縮」と「病床利用率の向上」とを両立できず、新規患者獲得に多くの病院が苦戦している状況が伺える―。

こうした状況が、厚生労働省が2月25日に公表した昨年(2019年)11月分の病院報告から分かりました(厚労省のサイトはこちら)。

2019年11月、前月に比べて在院日数は一般病床でやや延伸、病床利用率は全体に低下

厚労省は毎月末、日本全国の病院における(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―を把握し、「病院報告」として公表しています(前月の記事はこちら)。

昨年(2019年)11月の(1)「1日平均患者数」は、病院全体で▼入院:122万6781人(前月と比べて6865人・0.6%増)▼外来:135万3122人(同1037人・0.1%減)―となりました。

医療法上の病床種別に入院患者数を見てみると、▼一般病床:68万139人(前月比9009人・1.3%増)▼療養病床:26万5647人(同798人・0.3%減)▼精神病床:27万9480人(同1340人・0.5%減)▼結核病床:1443人(同10人・0.7%減)―などという状況です。

2019年10月から11月にかけて入院・外来ともに病院の患者数は概ね増加している(病院報告19年11月1 200225)



また(2)「平均在院日数」は、病院全体では26.9日で、前月から0.2日短縮しました。病床種別に見ると、▼一般病床:15.9日(前月から0.1日延伸)▼療養病床:132.7日(同1.2日短縮)▼介護療養病床:301.2日(同13.9日短縮)▼精神病床:258.4日(同4.0日短縮)▼結核病床:62.4日(同0.9日短縮)―となりました。一般病床で飲み、若干の延伸が見られます。

2019年10月から11月にかけて一般病床では平均在院日数がわずかに延伸してしまった(病院報告19年11月3 200225)



さらに(3)「月末病床利用率」に目を移すと、病院全体では78.1%で、前月から1.8ポイントも低下してしまいました。病床種別に見ると、▼一般病床:73.1%(前月比2.9ポイント低下)▼療養病床:86.3%(同増減なし)▼介護療養病床:89.0%(同1.0ポイント低下)▼精神病床:85.0%(同0.4ポイント低下)▼結核病床:33.3%(同0.2ポイント低下)―という状況です。軒並み病床利用率が低下してしまっています。

2019年10月から11月にかけて病院の病床利用率は軒並み低下してしまった(病院報告19年11月2 200225)

一般病床の11月分データ、平均在院日数短縮と病床利用率向上と両立できず

次に「暦月の変動」を除外するために、一般病床における「11月分」の平均在院日数の動向の経年変化を見てみると、2012年から18年にかけて「短縮」傾向が見られます。2018年から19年にかけて微増となっており、「短縮に歯止め」がかかってしまったのか、一時的な「踊り場」に入っているのか、今後の状況を注視していく必要があります。

▼2012年:17.0日(厚労省のサイトはこちら

(増減なし)

▼2013年:17.0日(厚労省のサイトはこちら

(増減なし)

▼2014年:17.0日(厚労省のサイトはこちら

(0.5日短縮)

▼2015年:16.5日(厚労省のサイトはこちら

(0.3日短縮)

▼2016年:16.2日(厚労省のサイトはこちら

(0.1日短縮)

▼2017年:16.1日(厚労省のサイトはこちら

(0.3日短縮)

▼2018年:15.8日(厚労省のサイトはこちら

(0.1日延伸)

▼2019年:15.9日(厚労省のサイトはこちら



一方、月末病床利用率は、次のような状況です。2012年から14年にかけては低下、15年から17年にかけて向上、18年から再び低下となってしまっています。

▼2012年:76.0%(厚労省のサイトはこちら

(3.2ポイント低下)

▼2013年:72.8%(厚労省のサイトはこちら

(1.3ポイント低下)

▼2014年:71.5%(厚労省のサイトはこちら

(3.0ポイント向上)

▼2015年:74.5%(厚労省のサイトはこちら

(1.9ポイント向上)

▼2016年:76.4%(厚労省のサイトはこちら

(0.6ポイント向上)

▼2017年:77.0%(厚労省のサイトはこちら

(1.8ポイント低下)

▼2018年:75.2%(厚労省のサイトはこちら

(2.1ポイント低下)

▼2019年:73.1%(厚労省のサイトはこちら

このように「11月分」データからは、2012年以降、「平均在院日数」は短縮を続けているものの、「病床利用率」は増減を繰り返していることが分かります。



Gem Medで繰り返しお伝えしていますが、平均在院日数の短縮は▼急性期一般病棟(旧7対1・10対1一般病棟)等における「重症患者割合」(重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者の割合)の向上▼DPC特定病院群(旧II群)要件の1つである「診療密度」の向上▼「院内感染」や「ADL低下」などのリスク低減▼患者のQOL向上(例えば職場への早期復帰を果たし、生活の安定を取り戻す)—といった「経営の質」「医療の質」双方の向上に直結する重要な事項です。

ただし、「在院日数の短縮」は▼空床の発生・増加 → ▼病床利用率の低下 → ▼病院経営の悪化―にも繋がってしまう「両刃の剣」であることも事実です(出来高・DPCのいずれにおいても入院料が「1日当たり」で設定されているため)。

このため、「在院日数の短縮」によって医療の質向上を図ることとあわせ、「病床利用率の向上」によって病院経営を安定させなければなりません。このためには、▼かかりつけ医等と密接に連携して紹介患者を確保する▼救急搬送患者を積極的に受け入れる―などし、「重症の新規入院患者」獲得に力を入れることが必要不可欠です。この点、「11月分」の状況を見ると、両者の実現が難しく、「新規患者の獲得」に苦戦を強いられている状況が伺えます。

さらなる「新規患者の獲得」に向けた取り組み強化が求められますが、地域によっては人口減少モードに入っており(日本全国では人口減少が進んでいるが、大都市では増加しているところもある)、多くの地域で「患者数そのものの減少」が進んでいます。近い将来、大都市部でも多くで人口減少(=患者数減少)が始まります。そうした中では、「減少する患者を、多くの病院で奪い合う」状況が生じ、個別病院の「集患努力」が結実しない事態が発生します。

客観的に▼地域の医療ニーズ▼競合病院の状況▼自院の機能やリソース―を分析し、病床の機能転換(急性期から回復期・慢性期)や、「ダウンサイジング」(病床の削減)、さらに共倒れを防ぐための「近隣病院との再編・統合」なども検討していく必要があります。厚労省は、公立病院・公的病院等の一部(424病院→440病院程度)について「再編統合の再検証が特に強く要請される」との考えを示しており(関連記事はこちらこちらこちらこちら)、また2020年度予算では「医療法上の病床を稼働病床数の1割以上削減する」病院について、病床削減割合に応じた補助金(84億円)が創設されます(関連記事はこちらこちら)。こうした動きも見ながら、「自院の状況・地域の状況」を再確認してみることが重要です。

2020年度予算案には全額国費による病床ダウンサイジング支援が盛り込まれた(2020年度厚生労働省予算案)


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