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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

左心耳閉鎖術を「胸腔鏡下」実施した場合、開胸手術の点数(3万7800点)など準用して算定―厚労省

2021.9.3.(金)

新医療機器である「植込型骨導補聴器(直接振動型)」の植込み手術を行った場合、K305【乳突削開術】(2万4490点)を準用して算定する―。

左心耳閉鎖術を「胸腔鏡下」実施した場合、既存のK594【不整脈手術】の「4 左心耳閉鎖術」の「イ 開胸手術によるもの」の所定点数(3万7800点)を準用して算定し、新算定ルールを設定する―。

厚生労働省は8月31日に通知「『診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について』等の一部改正について」を示し、こうした点を明らかにしました。9月1日から適用されています(厚労省のサイトはこちら)。

マラリア診断の新検査、血中微生物検査(40点)を準用して算定

今回の通知では、次の5本の通知が改正されています。新たな医療機器の保険適用がなされたことなどを踏まえ、技術料である診療報酬についても、それに合致するように算定ルールを一部見直すものです。
(A)診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(2020年3月5日付、保医発0305第1号)
(B)特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項について(2020年3月5日付、保医発0305第9号)
(C)「特定保険医療材料及びその材料価格(材料価格基準)の一部改正に伴う特定保険医療材料(使用歯科材料料)の算定について」(2020年3月5日付、保医発0305第10号)
(D)特定保険医療材料の定義について(2020年3月5日付、保医発0305第12号)
(E)「診療報酬請求書等の記載要領等について」(1976年8月7日付、保険発第82号)



本稿では(A)のうち「医科」に焦点を合わせます。

まずD005【血液形態・機能検査】において、「マラリア診断を目的としたDNA含有感染赤血球の計数に基づく定性判定」が追加されます。マラリアの診断補助、血小板や赤血球、白血球の計数、定量、同定、ヘモグロビンの測定、ヘマトクリット値、赤血球恒数、赤血球分布幅、血小板分布幅、平均血小板容積、血小板クリット値、大型血小板比率の算出などを幅広く行える多項目自動血球分析装置が新たに保険適用された(6月23日の中央社会保険医療協議会・総会資料はこちら)ことを踏まえたものです。

具体的には、マラリアが疑われる患者に対し、マラリア診断を目的に、多項目自動血球分析装置を用いて「DNA含有感染赤血球の計数に基づく定性判定」を実施した場合に、D005【血液形態・機能検査】の「7 血中微生物検査」(40点)を準用して算定が認められます。ただし、マラリア診断を目的に他の血中微生物検査を併せて実施した場合は「主たるもの」のみの算定が認められます。

マラリアの診断補助、血小板や赤血球、白血球の計数、定量、同定、ヘモグロビンの測定、ヘマトクリット値、赤血球恒数、赤血球分布幅、血小板分布幅、平均血小板容積、血小板クリット値、大型血小板比率の算出などを幅広く行える多項目自動血球分析装置が新たに保険適用された

植込型骨導補聴器(直接振動型)の植込み手術、K305【乳突削開術】(2万4490点)を算定

また、軽度の難聴患者に対して、日常環境で「環境音」と「語音」との聞き分けをより明確にできる医療機器(植込型骨導補聴器(直接振動型))が新規に保険適用されたことを受け(6月23日の中央社会保険医療協議会・総会資料はこちら)、K305【乳突削開術】(2万4490点)に新たな算定ルールが設定されます。

具体的には、関連学会の定める適応基準に合致する難聴患者に対し「植込型骨導補聴器(直接振動型)」を植え込む手術を実施した場合に、本区分の所定点数(2万4490点)を準用して算定することが認められます。

対象患者には、以下(ア)から(エ)のすべてを満たすことが求められます。
(ア) 植込側耳が伝音難聴又は混合性難聴である
(イ) 植込側耳の聴力について、純音による 500Hz、1000Hz、2000Hz、4000Hz の骨導聴力レベルが平均45㏈以内である
(ウ) 気導補聴器、骨導補聴器または軟骨伝導補聴器の装用が困難か、補聴効果が不十分である
(エ) 中耳、外耳の病態が以下のいずれかに該当する
(a)先天性及び後天性外耳道閉鎖症
(b)外耳・中耳からの持続性耳漏
(c)適切な耳科手術によっても聴力改善が望めない症例
(d)適切な耳科手術によっても聴力改善が得られなかった症例
(e)対側が聾または高度難聴のため、耳科手術による合併症のリスクを避けたい症例

軽度の難聴患者に対して、日常環境で「環境音」と「語音」との聞き分けをより明確にできる医療機器(植込型骨導補聴器(直接振動型))が新規に保険適用された

左心耳閉鎖術を「胸腔鏡下」実施した場合の診療報酬算定ルールを整理

また、「心房細動等に基づく血栓塞栓症」リスクを有する患者に対し、開胸・鏡視下で心臓血管外科手術を行う際に「左心耳を閉塞するために用いる医療機器」が新規に保険適用されたことを受け(8月4日の中央社会保険医療協議会・総会資料はこちら)、K594【不整脈手術】の中に「左心耳閉鎖術を胸腔鏡下に実施した場合」を位置づけ、次のような算定ルールを設けることになりました。

(a)「左心耳閉鎖術を胸腔鏡下に実施した場合」は、K594【不整脈手術】の「4 左心耳閉鎖術」の「イ 開胸手術によるもの」の所定点数(3万7800点)を準用して算定する

(b)「左心耳閉鎖術を胸腔鏡下に実施した場合」は、▼開胸的心大血管手術を受ける患者▼K554-2【胸腔鏡下弁形成術】およびK555-3【胸腔鏡下弁置換術】の手術を受ける患者―のうち「手術前より心房細動または心房粗動と診断され、術後の抗凝固療法の継続の可否、患者の脳梗塞および出血に係るリスク等を総合的に勘案し、特に左心耳閉鎖術を併せて実施することが適当」と医師が認めたものに対して行われた場合に限り算定する

(c)「左心耳閉鎖術を胸腔鏡下に実施した場合」は、K552【冠動脈、大動脈バイパス移植術】、K552-2【冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの)】、K554【弁形成術】、K554-2【胸腔鏡下弁形成術】、K555【弁置換術】、K555-3【胸腔鏡下弁置換術】、K557【大動脈弁上狭窄手術】、K557-2【大動脈弁下狭窄切除術(線維性、筋肥厚性を含む。)】、K557-3【弁輪拡大術を伴う大動脈弁置換術】、K560【大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。)】、K594【不整脈手術】の「3 メイズ手術」と併せて実施した場合に限り算定でき、当該手術を単独で行った場合は算定できない(弁置換術については機械弁によるものを除く。)

(d)「左心耳閉鎖術を胸腔鏡下に実施した場合」の診療報酬請求に当たっては、「手術前に心房細動または心房粗動と診断した根拠となる誘導心電図検査または長時間記録心電図検 査(ホルター心電図検査を含む)の結果」および「当該手術を行う医学的理由」をレセプトの摘要欄に記載する

なお、(b)(c)(d)については、K594【不整脈手術】の「4 左心耳閉鎖術」の「イ 開胸手術によるもの」についても適用されます(「左心耳閉鎖術を胸腔鏡下に実施した場合」が保険適用されることを踏まえた、既存ルールの見直し)



また、本機器の保険適用を踏まえてK936【自動縫合器加算】についても、「左心耳閉塞用クリップを使用した場合の加算算定ルール(1個を限度)」の対象手術に、K554-2【胸腔鏡下弁形成術】とK555-3【胸腔鏡下弁置換術】が追加されます。

結果、同ルール(左心耳閉塞用クリップを使用した場合、1個を限度に自動縫合器加算を算定できる)の算定対象手術は、K552【冠動脈、大動脈バイパス移植術】、K552-2【冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの)】、K554【弁形成術】、K554-2【胸腔鏡下弁形成術】、K555【弁置換術】、K555-3【胸腔鏡下弁置換術】、K557【大動脈弁上狭窄手術】、K557-2【大動脈弁下狭窄切除術(線維性、筋肥厚性を含む。)】、K557-3【弁輪拡大術を伴う大動脈弁置換術】、K560【大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。)】、K594【不整脈手術】の「3 メイズ手術」となります。

「心房細動等に基づく血栓塞栓症」リスクを有する患者に対し、開胸・鏡視下で心臓血管外科手術を行う際に「左心耳を閉塞するために用いる医療機器」が新規に保険適用された



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