アビリット錠など多くの統合失調症治療薬で「レビー小体型認知症患者」は禁忌、抗がん剤キイトルーダに中毒性表皮壊死融解症の副作用―厚労省
2020.4.6.(月)
バルネチール錠やアビリット錠など多くの統合失調症治療薬について、新たに「レビー小体型認知症患者」を禁忌とする―。
インフルエンザ治療薬のゾフルーザについて「虚血性大腸炎」を、画期的な抗がん剤のキイトルーダについて「中毒性表皮壊死融解症(TEN)」を、新たな重大な副作用として追加する―。
抗がん剤治療中の発熱性好中球減少症の発症抑制に用いる「ジーラスタ」に血小板減少のリスクあり―。
厚生労働省は3月31日に通知「『使用上の注意』の改訂について」を発出し、こうした点について製薬メーカーに改訂を指示するとともに、医療現場に対し注意喚起を行いました(厚労省のサイトはこちら)。薬剤部から診療部・看護部等への十分な情報提供が必要なことはもちろん、場合によっては近隣のクリニックや保険薬局への情報共有も重要となります。
(1)統合失調症治療薬の「スピペロン」(販売名:スピロピタン錠0.25mg、同1mg)、「チミペロン」(販売名:トロペロン錠0.5mg、同1mg、同3mg、ほか後発品も多数)、「ピパンペロン塩酸塩」(販売名:プロピタン錠50mg、同散10%)
▽【禁忌】の項において、従前からの「パーキンソン病のある患者」に加え、新たに「レビー小体型認知症のある患者」を加える
(2) 統合失調症治療薬の「スルトプリド塩酸塩」(販売名:バルネチール錠50、同錠100、同錠200、同細粒50%)、「フルフェナジンデカン酸エステル」(販売名:フルデカシン筋注25mg)
▽【禁忌】の項において、従前からの「パーキンソン病のある患者」に加え、新たに「レビー小体型認知症のある患者」を加える
(3)胃・十二指腸潰瘍や統合失調症、うつ病・うつ状態の治療に用いる「スルピリド」(販売名:アビリット錠50mg、ほか後発品多数)
▽【禁忌】の項において、従前からの「パーキンソン病のある患者」に加え、新たに「レビー小体型認知症のある患者」を加える
(4)統合失調症治療薬の「ネモナプリド」(販売名:エミレース錠3mg、同10mg)
▽【禁忌】の項において、従前からの「パーキンソン病のある患者」に加え、新たに「レビー小体型認知症のある患者」を加える
(5)統合失調症治療薬の「ハロペリドール」(販売名:セレネース錠0.75mg、同1mg、同1.5mg、同3mg、ほか後発品多数)、「ハロペリドールデカン酸エステル」(販売名:ネオペリドール注50、同100、ハロマンス注50mg、同100mg)、「ブロムペリドール」(販売名:インプロメン細粒1%、同錠1mg、同錠3mg、同錠6mg、ほか後発品あり)、「モサプラミン塩酸塩」(販売名:クレミン顆粒10%、同錠10mg、同錠25mg、同錠50mg)
▽【禁忌】の項において、従前からの「パーキンソン病のある患者」に加え、新たに「レビー小体型認知症のある患者」を加える
(6)統合失調症などの治療に用いる「ピモジド」(販売名:オーラップ錠1mg、同錠3mg、同細粒1%)
▽【禁忌】の項において、従前からの「パーキンソン病のある患者」「うつ病の患者」に加え、新たに「レビー小体型認知症のある患者」を加える
(7)統合失調症治療薬の「ブロナンセリン」(販売名:ロナセン錠2mg、同錠4mg、同錠8mg、同散2%、ほか後発品多数)、「ペロスピロン塩酸塩水和物」(販売名:ルーラン錠4mg、同錠8mg、同錠16mg、ほか後発品あり)
▽【禁忌】の項において、従前からの「パーキンソン病のある患者」に加え、新たに「レビー小体型認知症のある患者」を加える
(8)慢性胃炎、胆道ジスキネジー、消化管手術後による消化器機能異常(悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満感)の治療に用いる「アクラトニウムナパジシル酸塩」(販売名:アボビスカプセル25、同50)
▽【禁忌】の項において、従前からの「パーキンソン病のある患者」に加え、新たに「レビー小体型認知症のある患者」を加える
(9)がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制に用いる「ペグフィルグラスチム(遺伝子組換え)」(販売名:ジーラスタ皮下注3.6mg )
▽新たに【その他の注意】の項において、「国内の医療情報データベースを用いた疫学調査において、『本剤投与後に血小板減少(5.0×10000/μL未満)のリスクが増加した』との報告がある」旨を追記する
(10)画期的な抗がん剤(免疫チェックポイント阻害剤)である「ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)」(販売名:キイトルーダ点滴静注20mg、同100mg)
▽新たな【重大な副作用】:中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)
(11)単純ヘルペスウイルスおよび水痘・帯状疱疹ウイルスに起因する免疫機能の低下した患者(悪性腫瘍・自己免疫疾患など)に発症した単純疱疹・水痘・帯状疱疹や脳炎・髄膜炎などの治療に用いる「アシクロビル」(経口剤、注射剤)(販売名:ゾビラックス点滴静注用250、同顆粒40%、同錠200、同錠400、ほか後発品多数)、帯状疱疹や水痘の治療、性器ヘルペスの再発抑制などに用いる「バラシクロビル塩酸塩」(販売名:バルトレックス錠500、同顆粒50%、ほか後発品多数)
▽新たな【重大な副作用】:尿細管間質性腎炎
(12)帯状疱疹治療に用いる「アメナメビル」(販売名:アメナリーフ錠200mg)
▽新たな【重大な副作用】:多形紅斑
(13)A型・B型インフルエンザウイルス感染症の治療に用いる「バロキサビル マルボキシル」(販売名:ゾフルーザ錠10mg、同錠20mg、同顆粒2%分包)
▽新たな【重大な副作用】:虚血性大腸炎(腹痛、下痢、血便等の異常が認められた場合には適切な処置を行う)
【関連記事】
ハーボニー等のC型肝炎治療薬、併用する「ワルファリンや糖尿病治療薬等」の用量調整が必要な可能性も―厚労省
糖尿病治療薬のスーグラにアナフィラキシー、白血病治療薬のマブキャンパスに頭頚部動脈乖離の副作用―厚労省
前立腺がん治療薬の「アーリーダ」「イクスタンジ」に間質性肺疾患の重大な副作用―厚労省
脳血栓等治療薬のウロナーゼ静注用、「瞬時完成型の神経症状を呈する患者」にも使用可能に―厚労省
ピロリ菌駆除薬のタケキャブ等に血小板減少等の、エリテマトーデス治療薬のベンリスタに自殺企図等の副作用―厚労省
冠動脈疾患治療に用いる「薬剤溶出型冠動脈ステント」等、最新ガイドラインに沿った使用を―厚労省
K022の1【組織拡張器用いた乳房再建手術】、当面、一般用の組織拡張器使用でも算定可―疑義解釈17【2018年度診療報酬改定】
ゲル充填人工乳房、自主回収品の「代替品」を迅速に薬事承認―厚労省
ゲル充填人工乳房の使用患者が悪性リンパ腫を発症、リスクの説明とフォローアップを―厚労省
多くの抗菌剤で▼末梢神経障害▼アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害▼精神症状―などの副作用判明―厚労省
骨粗鬆症治療薬イベニティは心血管系事象に留意、2型糖尿病治療薬ザファテックは高度腎機能障害患者等にも投与可能に―厚労省
パーキンソン病等治療薬のアポカインやカバサール等、急激な減量・中止は薬剤離脱症候群に繋がる―厚労省
脳虚血改善に用いるカタクロットやキサンボン等、「重篤な意識障害を伴う大梗塞患者」への投与不可に―厚労省
痛風等治療薬の「フェブリク錠」、心血管疾患の増悪や発現に注意を―厚労省
オプジーボ・キイトルーダに「小腸炎」の副作用、多くの鎮痛薬を「12歳未満」等で禁忌に―厚労省
2型糖尿病治療薬メトホルミン含有製剤(メトグルコ等)、中等度の腎機能障害患者へ【慎重投与】可能に―厚労省
画期的な抗がん剤オプジーボとキイトルーダで「結核」の重大な副作用―厚労省
乳がん治療薬の「ベージニオ錠」、間質性肺炎の重大な副作用で死亡症例も―厚労省
多くの糖尿病治療薬で「外陰部・会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)」、画期的な抗がん剤オプジーボで「下垂体機能障害」の重大な副作用―厚労省
タケキャプ錠にSJS等の副作用、果糖など含有の点滴を果糖不耐症患者に投与する低血糖や肝・腎不全など誘発の恐れ―厚労省
タミフルとゾフルーザに「出血」の副作用、ワルファリンとの併用に注意を―厚労省
画期的抗がん剤のオプジーボやキイトルーダに「血球貪食症候群」の副作用―厚労省
エクリズマブ(遺伝子組換え)製剤、二次性血栓性微小血管症の患者には有効性・安全性が未確立―厚労省
抗菌剤クラビット錠等に大動脈瘤や大動脈解離の、C型肝炎治療薬のスンベプラ等に急性腎障害などの副作用―厚労省
乾燥弱毒生水痘ワクチンに「無菌性髄膜炎」発症の可能性、接種から数年後に発症した事例も―厚労省
甲状腺がん等の治療に用いるレンビマカプセル、気胸に注意し、肺転移患者には慎重投与を―厚労省
メバロチンとリポクリンなど、やむを得ない場合、腎機能悪化に注意の上で併用投与認める―厚労省
抗菌剤のビクシリン注射用等において、「急性汎発性発疹性膿疱症」の副作用―厚労省
インフルエンザ治療薬、異常行動に十分注意した処方を!タミフルは未成年者に解禁―厚労省
肺炎治療等に用いるロセフィンに痙攣等の、乾癬治療薬のオテズラに重度下痢の副作用―厚労省
アトピー治療剤のプロトピックや免疫抑制剤のプログラフ、妊婦には催奇形性リスク考慮した使用を―厚労省
ピロリ菌感染の治療等に用いるボノピオン等、肝機能障害が現れることがある―厚労省
キイトルーダ、「硬化性胆管炎」が現れることがあるため、十分な観察を―厚労省
統合失調症治療薬やアドレナリン、【禁忌】事項などを見直し―厚労省
ウプトラビ錠とプラビックス錠等は併用禁忌、サムスカ錠に急性肝不全の副作用―厚労省
造影剤のイオヘキソールとイオメプロールに「急性汎発性発疹性膿疱症」の副作用—厚労省
MRI造影剤の「脳への残存」を危惧、検査の必要性を慎重に判断せよ—厚労省
輸血には感染症伝播のリスク、患者観察などを徹底せよ―厚労省
サワシリンに血小板減少、病院で広く使われる消毒薬にアナフィラキシーの副作用—厚労省
RSウイルスによる新生児下気道疾患治療薬「シナジス筋注液」に血小板減少症の副作用―厚労省
アデムパス投与で有害事象・死亡が多く、ワーファリンに難治性皮膚疾患の副作用―厚労省
画期的抗がん剤のオプジーボ、硬化性胆管炎の副反応―厚労省
肺炎球菌ワクチンのニューモバックス、注射部位壊死・潰瘍の重大な副反応―厚労省
悪性黒色腫・非小細胞肺がん治療に用いるキイトルーダ、心筋炎の副作用―厚労省
精神神経用剤のデパス、抗不安剤のソラナックス、メイラックスなど、薬物依存に注意―厚労省
神経症における不安・緊張などを和らげるアタラックス、急性汎発性発疹性膿疱症の副作用―厚労省
多発性骨髄腫治療に用いるレブラミド、B型肝炎ウイルスの再活性化を促す副作用―厚労省
うつ病治療に用いるデュロキセチン塩酸塩など、自動車運転などの際には十分な注意を―厚労省
胃潰瘍治療などに用いるポラプレジンク、銅欠乏症による汎血球減少や貧血の副作用―厚労省
ワルファリンとミコナゾールは併用禁忌、オプジーボに心筋炎などの副作用―厚労省
多発性硬化症治療薬のタイサブリに急性網膜壊死などの副作用―厚労省
ボルタレンに消化管狭窄・閉塞、ハーボニー錠に高血圧・脳血管障害の副作用―厚労省
てんかんの部分発作治療に用いるオクスカルバゼピン、重篤な皮膚障害に留意を―厚労省
抗てんかん剤レベチラセタなど7医薬品、新たに「重大な副作用」-厚労省
ハーボニー錠などC型肝炎治療薬、B型肝炎ウイルスを活性化させる恐れあり慎重投与を―厚労省
タミフルに「虚血性大腸炎」、ラピアクタに「アナフィラキシー」の副作用判明―厚労省
ロキソニン錠に「小腸・大腸の狭窄・閉塞」の副作用判明―厚労省
乳がん治療薬のエリブリンメシル酸塩、スティーブンス・ジョンソン症候群の副作用判明―厚労省
皮膚T細胞リンパ腫治療薬のベキサロテン製剤、脂質異常や膵炎などの副作用に留意―厚労省
血圧降下剤のアジルサルタン、横紋筋融解症などの重大な副作用が判明―厚労省
新たに保険収載されたC型慢性肝炎治療薬の「ヴィキラックス配合錠」、肝不全の副作用―厚労省
画期的な抗悪性腫瘍剤のニボルマブ、重症筋無力症や大腸炎の副作用―厚労省、PMDA
大腸がん治療薬のパニツムマブ、中毒性表皮壊死融解症の重大な副作用―厚労省