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感冒やアレルギー性鼻炎、新型コロナの可能性踏まえた上で「医療機関受診の必要性」判断が重要―健保連

2020.8.18.(火)

▼感冒(風邪)▼インフルエンザ▼アレルギー性鼻炎▼花粉症―の医療費を分解すると、「感冒では、家族のほうが本人に比べて2.6倍も受診率が高い」「アレルギー性鼻炎では、同じく家族のほうが1.9倍も受診率が高い」「花粉症では、家族と本人で受診率は同程度である」など、疾病によって状況が異なり、医療費適正化に向けた取り組みも異なってくる―。

健康保険組合連合会(健保連)が8月13日に公表した2018年度の「かぜ(感冒)・インフルエンザ等、季節性疾患(入院外)の動向に関するレポート」から、こういった状況が浮かび上がってきました(健保連のサイトはこちら)(前年度の分析に関連する記事はこちら、前々年度の記事はこちら)。

感冒、新型コロナも踏まえながら「医療機関受診の必要性」考慮を

主に大企業で働くサラリーマンとその家族が加入する健康保険組合(健保組合)の連合組織である健康保険組合連合会(健保連)は、さまざまな角度から加入者のレセプトを分析し、各種提言を行うなど、かねてからデータヘルスに積極的に取り組んでいます(下段の関連記事をご参照ください)。

「医療費が増加し我が国の財政を圧迫している」と指摘される中では、加入者が自分自身で生活習慣や医療機関受診行動を変容させることが重要であり、保険者(健保組合等)が加入者の行動変容に向けてデータに基づいた支援を行っているのです。

今般、1280組合におけるレセプト2億6874万7788件を対象に、(1)急性鼻咽頭炎(かぜ<感冒>)(2)インフルエンザ(3)血管運動性鼻炎・アレルギー性鼻炎<鼻アレルギー>(4)花粉によるアレルギー性鼻炎<鼻アレルギー>―の4疾患について、有病者数や医療費の3要素などを分析しています。



まず(1)の感冒について、本人・家族別に「年齢階級別の有病者数の構成割合」(有病者の最も多かった2019年1月)を見ると、前年調査と同じく▼「0-4歳の家族」(乳幼児)が特に多い▼「0-9歳の家族」が有病者全体の過半数を占めている―状況を再確認できます。

感冒(風邪)の有病者数(2018年度感冒等医療費分析1 200813)



感冒の1人当たり医療費を見ると、本人は101円(前年度から1円増)ですが、家族は321円(同9円減)で、本人の3倍超となっています。本人・家族別、年齢階級別に見ると、▼「0-4歳の家族」が1487円(同76円減))が飛び抜けて高い▼全般的に、家族が本人よりもやや高い—状況も、前年度から変わっていません。

ところで「1人当たり医療費」は、(1)受診率(どのくらいの頻度で医療機関にかかるのか)(2)1件当たり日数(医療機関に何日ほどかかるのか)(3)1日当たり医療費(1日の医療費はいくから)—に分解することができます。ここから、「医療費を適正化するためには、どの点に留意して対策を進めれば効果的であるのか」を考えることができます。例えば、▼受診率が高い疾患については、「予防」が重要となるため、保健指導を充実して生活習慣の改善等を促す▼1件当たり日数が長い疾患では、在院日数短縮等に向けて診療報酬での対応を検討する▼1日当たり医療費が高い疾患では、後発品使用等を促す―ことなどで、医療費の適正化が期待できるためです。

感冒について、医療費の3要素を本人・家族で比較してみると、次のような状況が明らかとなりました。

▽受診率:本人70.5、家族184.0で、家族が本人の2.6倍(前年度から増減なし)
▽1件当たり日数:本人1.4日、家族1.7日で、家族が本人の1.2倍(同増減なし)
▽1日当たり医療費:本人・家族ともに1025円で、同等(同0.03ポイント低下)

感冒(風邪)の1人当たり医療費と3要素(2018年度感冒等医療費分析2 200813)



傾向は前年調査から変化なく、「家族の受診率」が感冒の医療費に大きく影響していることが再確認できます。この点、感冒にかかる医療費を適正化するためには、例えば「本当に医療機関を受診する必要があるのか」などの健康教育を充実していくことが重要と考えることもできますが、現在では「新型コロナウイルス感染症」という新たな要素が加わり、「ただの感冒なのか、新型コロナウイルス感染症の初期症状なのか」を一般国民が自己判断することは極めて難しく、慎重な対応を検討する必要があります。

インフルエンザ、「手洗い実行」など衛生面への配慮による予防が重要ではないか

(2)のインフルエンザに目を移しましょう。

本人・家族別に「年齢階級別の有病者数の構成割合」(有病者の最も多かった2019年1月)を見ると、20-64歳では「本人の有病者数が家族よりも圧倒的に多い」(例えば40-44歳では本人が家族の3.1倍)ことが分かります。通勤等により「感染の機会が多い」ことなどが推測されます。

インフルエンザの有病者数(2018年度感冒等医療費分析3 200813)



1人当たり医療費を見ると、本人1834円(前年度から235円増)、家族2338円(同738円減)で、家族が本人の1.6倍強となりました(同0.3ポイント減)。

本人・家族別、年齢階級別に見ると、有病者数と同じく「本人のほうが家族よりも高い」傾向がうかがえます。家族における1人当たり医療費の高さは、「0-14歳の医療費」が原因と考えられます。

1人当たり医療費を3要素に分解してみると、次のような状況が明らかになりました。

▽受診率:本人186.9、家族288.8で、家族が本人の1.5倍(前年度から0.25ポイント減)
▽1件当たり日数:本人1.3日、家族1.5日で、家族が本人の1.2倍(同0.05ポイント増)
▽1日当たり医療費:本人5979円、家族5398円で、本人が家族の1.1倍(同増減なし)

インフルエンザの1人当たり医療費と3要素(2018年度感冒等医療費分析4 200813)



家族においてインフルエンザにかかる1人当たり医療費が高い背景には、「0-14歳の小児で受診が多い」点が大きく影響しているようです。「予防接種の励行」や「手洗い等の履行」などを進めることが重要でしょう。とりわけ、新型コロナウイルス感染症が蔓延する中で、多くの国民が「手洗い等の履行」を意識し、季節性インフルエンザをはじめとする感染症が激減したと考えられています。今後も、感染症予防のために、さらなる衛生面の向上に努めることが重要と考えられます。

アレルギー性鼻炎、感冒と同様に「医療機関受診の必要性」考慮を

また(3)の血管運動性鼻炎・アレルギー性鼻炎について、本人・家族別に「年齢階級別の有病者数の構成割合」(有病者の最も多かった2019年3月)を見ると、(2)のインフルエンザと同じく「20-64歳では、本人の有病者数が家族よりも圧倒的に多い」ことが分かります(45-49歳では2.2倍)。この背景についても詳しく分析する必要がありそうです。

アレルギー性鼻炎の有病者数(2018年度感冒等医療費分析5 200813)



1人当たり医療費を見てみると、本人3089円(前年度から19円増)、家族5450円(同102円増)で、家族が本人の1.76倍(同0.02ポイント増)となりました。年齢階級別に見ると、0-14歳を除き「本人と家族とで同程度(若干、家族のほうが高め)」という状況に変化はありません。

1人当たり医療費を3要素に分けてみると、次のような状況が明らかになりました。

▽受診率:本人618.7、家族1162.3で、家族が本人の1.9倍(前年度から増減なし)
▽1件当たり日数:本人1.3日、家族1.5日で、家族が本人の1.2倍(同0.1ポイント増)
▽1日当たり医療費:本人3724円、家族3049円で、本人が家族の1.2倍(同増減なし)

アレルギー性鼻炎の1人当たり医療費と3要素(2018年度感冒等医療費分析6 200813)



家族における1人当たり医療費の高さは、主に受診率に起因していると考えられます。感冒と同様に「本当に医療機関を受診する必要があるのか」といった点などに関する健康教育が医療費適正化に向けて重要と考えられそうですが、やはり新型コロナウイルス感染症の影響も考慮する必要があります。

花粉症、本人と家族で1人当たり医療費などに大きな差はない

最後に(4)の花粉によるアレルギー性鼻炎について見てみましょう。

本人・家族別に「年齢階級別の有病者数の構成割合」(有病者の最も多かった2019年3月)を見ると、(2)(3)よりも顕著に「20-64歳では、本人の有病者数が家族よりも多い」ことが分かります。

花粉症の有病者数(2018年度感冒等医療費分析7 200813)



1人当たり医療費を見ると、本人143円(前年度から24円増)、家族148円(同35円増)で、本人が家族の1.03倍となりました(同0.02ポイント減)。年齢階級別に見ると、0-14歳を除き「本人と家族とで同程度(若干、家族で高い)」と言えそうです。

1人当たり医療費を3要素に分けると、次のような状況が明らかになりました。

▽受診率:本人27.1、家族28.7で、家族が本人の1.1倍(前年度から0.1ポイント増)
▽1件当たり日数:本人1.3日、家族1.5日で、家族が本人の1.2倍(同0.1ポイント増)
▽1日当たり医療費:本人3995円、家族3569円で、本人が家族の1.1倍(同増減なし)

花粉症の1人当たり医療費と3要素(2018年度感冒等医療費分析8 200813)



本人と家族の差が少なく、医療費適正化に向けては「後発品の使用促進」などを着実に進めていくことが重要そうです。

ぽんすけ2020 MW_GHC_logo

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