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新型コロナ対策 症例Scope

2021年4月、「後発品割合80%以上」が未達成な支部は東京や大阪など17都府県―協会けんぽ

2021.8.19.(木)

協会けんぽにおけるジェネリック医薬品(後発品)の使用割合は、調剤・医科・DPC・歯科分の合計で今年(2021年)4月末には80.6%となった。しかし、都道府県別に見ると「17都府県」において80%以上の新目標値が未達成である―。

こういった状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が8月16日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました(協会のサイトはこちら)。後発品メーカーの不祥事による「後発品への信頼低下」によってブレーキがかかっていないのか、今後の状況を注視していく必要があります。

協会けんぽ全体の後発品割合(調剤分)、今年(2021年)4月には83.4%に回復

医療技術の高度化が進み、医療費を押し上げています。例えば脊髄性筋萎縮症の治療薬「ゾルゲンスマ点滴静注」(1億6707万円)白血病等治療薬「キムリア」(3350万円)などの超高額薬剤の保険適用が相次ぎ、さらにキムリアに類似した、やはり超高額な血液がん治療薬も次々に登場してきています。

同時に、少子・高齢化も進展しています。来年度(2022年度)からは、人口の大きなボリュームを占める、いわゆる団塊世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が後期高齢者となります。また、2025年度から2040年度にかけては、高齢者の増加ペース自体は鈍化するものの、現役世代人口が急速に減少していきます。

高齢化の進展は「医療費増」に結びつき、少子化は「支え手の減少」につながるため、医療の高度化と相俟って、我が国の医療保険財政は今後、厳しさを増していきます。この点、新型コロナウイルス感染症の影響で医療費は減少しますが、保険料収入の減少(失業や給与減など)がそれを上回り、さらに「少子化がさらに進行する」ことなどから(関連記事はこちらこちら)、医療保険財政が厳しさを増していくことは確実です。

そうした中では、「医療費の伸びを、我々国民が負担できる水準に抑える」(医療費適正化)ことが欠かせません。そこで政府は、▼平均在院日数の短縮による入院医療費の適正化(入院基本料や特定入院料、DPCの包括点数は「1日当たり」の支払い方式であり、在院日数の短縮が入院医療費の縮減に効果的である)▼後発医薬品(ジェネリック医薬品、後発品)の使用促進による薬剤費の圧縮▼病院の機能分化推進と連携の強化▼地域差(ベッド数、外来受療率、平均在院日数など)の是正▼保健事業の充実による健康寿命の延伸―など、さまざまな角度から医療費適正化に向けて取り組んでいます。



主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する「協会けんぽ」(運営者:全国健康保険協会)でも、かねてから積極的に後発品使用促進に取り組んでおり、例えば医療機関を受診し、医薬品を処方された加入者個々人に宛てて「貴方の医薬品を先発品から後発品に切り替えれば、自己負担額が○○円軽減されます」といった通知を発出したり、毎月の後発品使用割合の公表などを行っています(前月の記事はこちら)。

8月16日に公表された今年(2021年)4月末時点の後発品使用割合を見ると、調剤ベースでは83.4%で、前月から0.3ポイント上昇しました。前月(2021年3月)には、後発品使用割合がダウンしたため「後発品使用推進にブレーキがかかったのではないか、例えば相次ぐ後発品メーカーの不祥事により、患者・医療機関ともに後発品使用を敬遠していないか」と心配されました。4月には「再び上昇」に転じており、心配の度合いはやや小さくなったとも思えます。ただし、今後の動きに留意すべきことは、ここで述べるまでもありません。

協会けんぽの後発品割合、全体では80%以上をキープできている(協会けんぽの後発品割合(2021年4月)1 210816)

後発品割合80%をクリアできていないのは、東京都や大阪府など17都府県

調剤分に「医科・DPC・歯科」分を加えた保険診療全体の後発品割合は、▼2020年1月:78.6%▼2月:78.7%▼3月:78.7%▼4月:79.0%▼5月:78.7%▼6月:78.9%▼7月:78.5%▼8月:78.9%▼9月:79.2%▼10月:79.6%▼11月:80.0%▼12月:80.2%▼今年(2021年)1月:80.3%▼2月:80.4%▼3月:80.4%▼4月:80.6%―となりました。こちらも「ブレーキ」がかかっていないか、注視していく必要があります。

また都道府県別に見ると、依然としてバラつきがあります。「調剤・医科・DPC・歯科」分の後発品割合が最も高いのは沖縄県の89.6%(前月から0.6ポイント上昇)、逆に最も低いのは徳島県で73.8%(同増減なし)となっています。

徳島県を含めて、「調剤・医科・DPC・歯科」分で後発品割合80%以上をクリアできていないのは、▼奈良県:75.8%(前月から0.5ポイント上昇)▼高知県:76.5%(同0.8ポイント上昇)▼和歌山県:76.6%(同0.4ポイント上昇)▼京都府:77.2%(同0.1ポイント上昇)▼大阪府:77.6%(同0.3ポイント上昇)▼香川県:77.6%(同0.2ポイント上昇)▼愛媛県:77.8%(同0.2ポイント上昇)▼広島県:79.0%(同0.1ポイント上昇)▼岐阜県:79.2%(同0.2ポイント上昇)▼岡山県:79.4%(同0.3ポイント上昇)▼東京都:79.4%(同0.2ポイント上昇)▼三重県:79.5%(同0.1ポイント低下)▼愛知県:79.7%(同0.3ポイント上昇)▼福井県:79.9%(同0.1ポイント低下)▼神奈川県:79.9%(同0.1ポイント上昇)▼山梨県:79.9%(同0.4ポイント上昇)―の17都府県(前月に比べて1県の減少)となりました。

後発品割合80%以上がクリアできていないのは、東京都や大阪府など17都府県(協会けんぽの後発品割合(2021年4月)2 210816)



6月18日に閣議決定された骨太方針2021(経済財政運営と改革の基本方針2021)では、「後発医薬品の数量シェアを、2023年度末までに全ての都道府県で80%以上とする」との目標を確認しており、新目標値達成に向けて、この「17都府県」での後発品使用促進を強力に支援していくことが重要でしょう。



なお、先に触れたように一部の後発品メーカーの不祥事により「後発品への信頼低下→後発品割合の上昇阻害」が懸念されています。今般の結果からは、この懸念が現実化した可能性もあり、今後の状況を注視していく必要があります。厚生労働省医政局の経済課長も、事態を重くみて公開の審議会(中央社会保険医療協議会総会)で「後発品の信頼回復に向けて、業界の再編を検討する必要性もある」と異例の踏み込んだ発言も行っています。今後の動向を注視していく必要があるでしょう。



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