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協会けんぽの「後発品割合」、2020年11月に、ついに「80%以上」を達成―協会けんぽ

2021.3.22.(月)

協会けんぽにおけるジェネリック医薬品(後発品)の使用割合は、調剤・医科・DPC・歯科分の合計で、政府目標の「80%以上」を昨年(2020年)11月末についにクリアした―。

こういった状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が3月19日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました(協会のサイトはこちら)。

協会けんぽの後発品割合は、全体でついに80%以上をクリアできた(協会けんぽの後発品割合(2020年11月)1 210319)

協会けんぽ全体の後発品割合(調剤分)、順調に増加

医療技術の高度化(例えば脊髄性筋萎縮症の治療薬「ゾルゲンスマ点滴静注」(1億6707万円)白血病等治療薬「キムリア」(3350万円)といった超高額薬剤の保険適用など)が進み、医療費の増加を招いています。

また少子・高齢化もとどまるところを知りません。2022年度からは、いわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が後期高齢者となります。2025年度から2040年度にかけては、高齢者の増加ペース自体は鈍化するものの、現役世代人口が急速に減少していくことが分かっています。

高齢化の進展は「医療費増」に結びつき、少子化は「支え手の減少」を意味するため、我が国の医療保険財政は今後、厳しさを増していきます。新型コロナウイルス感染症の影響で医療費は一時的に減少すると見られますが、保険料収入の減少(失業や給与減など)がそれを上回り、さらに「少子化がさらに進行する」ことから(関連記事はこちらこちら)、医療保険財政が厳しさを増す点には変化がないでしょう。

こうした中では、「医療費の伸びを、我々国民が負担可能な水準に抑える」(医療費適正化)ことが欠かせません。政府は、▼平均在院日数の短縮による入院医療費の適正化(入院基本料や特定入院料、DPCの包括点数は「1日当たり」の支払い方式であり、在院日数の短縮が入院医療費の縮減に効果的である)▼後発医薬品(ジェネリック医薬品、後発品)の使用促進による薬剤費の圧縮▼病院の機能分化推進と連携の強化▼地域差(ベッド数、外来受療率、平均在院日数など)の是正▼保健事業の充実による健康寿命の延伸―など、さまざまな角度から医療費適正化に向けて取り組んでいます。

このうち後発品使用促進に関しては、▼2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とする(第1目標)▼2020年9月に80%以上とする(第2目標)―という2段階の目標が設定され、全国で使用推進が行われています。昨年(2020年)9月の後発品割合は日本全国で78.3%にとどまり、第2目標は「未達」に終わっています。



主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する「協会けんぽ」(運営者:全国健康保険協会)では、かねてから積極的に後発品使用促進に取り組んでおり、例えば医療機関を受診し、医薬品を処方された加入者個々人に宛てて「貴方の医薬品を先発品から後発品に切り替えれば、自己負担額が○○円軽減されます」といった通知を発出したり、毎月の後発品使用割合の公表などを行っています。

3月19日に公表された、昨年(2020年)11月末時点の後発品使用割合を見ると、調剤ベースでは82.8%で、前月から0.4ポイント上昇したことが分かりました。昨年(2020年)初めから夏までは「足踏み状態」「踊り場状態」にありましたが、秋からは順調な上昇がみられます(前月の記事はこちら)。

昨年(2020年)11月に「医科・DPC・歯科を加味した全体」で80%クリアしていた

調剤分に「医科・DPC・歯科」分を加えた保険診療全体の後発品割合は、▼昨年(2020年)1月:78.6%▼2月:78.7%▼3月:78.7%▼4月:79.0%▼5月:78.7%▼6月:78.9%▼7月:78.5%▼8月:78.9%▼9月:79.2%▼10月:79.6%▼11月:80.0%―となり、ようやく「第2目標(80%以上)の達成」が適っています。

ただし、都道府県別に見ると依然として大きなバラつきがあります。「調剤・医科・DPC・歯科」分の後発品割合が最も高いのは沖縄県の88.7%(前月から0.2ポイント上昇)、逆に最も低いのは徳島県で72.9%(同0.6ポイント上昇)となっています。

沖縄県のほか、「調剤・医科・DPC・歯科」分の後発品割合80%以上をクリアできているのは、▼岩手県の85.4%(同0.4ポイント上昇)▼鹿児島県の85.2%(同0.5ポイント上昇)▼山形県の83.6%(同0.2ポイント上昇)▼宮城県の83.4%(同0.1ポイント上昇)▼島根県の83.3%(同0.7ポイント上昇)▼宮崎県の82.9%(同0.4ポイント上昇)▼青森県の82.3%(同0.1ポイント上昇)▼福島県の82.3%(同0.2ポイント上昇)▼佐賀県の82.3%(同0.5ポイント上昇)▼秋田県の82.1%(同0.3ポイント上昇)▼熊本県の82.1%(同0.6ポイント上昇)▼新潟県の82.0%(同0.4ポイント上昇)▼長崎県の82.0%(同0.5ポイント上昇)▼北海道の81.9%(同0.2ポイント上昇)▼鳥取県の81.8%(同0.6ポイント上昇)▼長野県の81.7%(同0.5ポイント上昇)▼山口県の81.6%(同0.5ポイント上昇)▼富山県の81.3%(同0.3ポイント上昇)▼滋賀県の80.8%(同0.2ポイント上昇)▼福岡県の80.8%(同0.3ポイント上昇)▼静岡県の80.8%(同0.3ポイント上昇)▼群馬県の80.8%(同0.4ポイント上昇)▼千葉県の80.4%(同0.4ポイント上昇)▼埼玉県:80.1%(同0.4ポイント上昇)▼栃木県:80.0(同0.4ポイント上昇)―の合計26道県となりました。新たに埼玉県・栃木県が新たに80%以上の仲間入りをしています。

80%以上クリアは26道県に再び増加した(協会けんぽの後発品割合(2020年11月)2 210319)



ついに「医科・DPC・歯科」を合わせた医療費全体で見たときに、「後発品割合80%以上」をクリアできました。各自治体支部の懸命な努力が実を結んだ形です。今後、新たな目標(後発品使用割合、期限)をどう設定していくのかにも注目する必要があるでしょう。



なお、協会けんぽでは、▼軽減額通知(お薬代の軽減可能額のお知らせ)対象を15歳以上に拡大する▼厚生労働省が定めた重点地域を中心に医療機関・保険薬局への訪問を強化する―という緊急対策を打ち出しています(関連記事はこちら)。これらの効果検証も重要です。



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