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医療の質向上のため、介護職のプライド確保のため、医療において「基準介護」「基準リハビリ」を制度化せよ—日慢協・橋本会長

2022.9.9.(金)

介護やリハビリテーションの専門職を、病院病床などに適切に配置することで「医療の質向上」「入院期間短縮に伴う医療費の適正化、患者QOLの向上」などにつながるとともに、「介護職のプライド確保」も可能となる—。

医療法や入院基本料などに「基準介護」「基準リハビリ」の考え方を導入する必要がある—。

日本慢性期医療協会の橋本康子新会長が9月8日に定例記者会見を開き、こうした考えを強調しました。

9月8日に定例記者会見(オンライン会見)臨んだ、日本慢性期医療協会の橋本康子会長

介護離職の最大の要因は「やりがいのなさ」、そこへの手当てが最も重要

今年度(2022年度)から団塊世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が後期高齢者となります。高齢化の波は入院医療現場にも到来しており、2020年の患者調査では「入院患者の75%が65歳以上の高齢者であり、55%が75歳以上の後期高齢者」となっています。

このように高齢化が進展する中では、入院患者に対する「介護」や「リハビリ」の重要性が増しています。

急性期段階で、適切な全身管理・リハビリを行わずに『寝かせ切り』にしておくだけで、筋肉量は1週間に10-15%程度の割合で低下し、関節は1週間程度で拘縮が始まります(関連記事はこちら)。このため急性期病院・病床から回復期リハビリテーション病棟などに転院・転棟してから「実際にリハビリを開始できる」ようになるまでに、1―2か月の栄養補給・水分補給・拘縮対応などが必要になると橋本会長は強調。

逆に考えれば、急性期段階から適切な全身管理・リハビリを行えば、「回復期リハビリ病棟に転院・転棟後、ただちにリハビリを開始できる」こととなり、理論上は「1―2か月間、総入院期間を短縮できる」ことになります。

入院期間の延伸は▼医療の質の低下(診療密度が低下する)▼医療費の増加(診療報酬が「1日」当たりで設定されているため)▼患者QOLの低下(自営業者などでは収入の低下につながり、他の者でも社会・経済活動が入院中は行えない)―をもたらすことから、適切な全身管理・リハビリ(=入院期間の短縮)によって▼医療の質向上▼医療費の適正化▼患者QOLの向上―が実現できると考えられます。

また、医療機関にも介護専門職が勤務していますが「看護補助者」として扱われ、「能力が活かされていない」「入職後、短期間で退職されてしまうケースが少なくない」と橋本会長は指摘します。退職の理由の1つとして「給与」が指摘されますが、橋本会長は「実際に介護専門職の声を聞くと、給与はもちろんだが、『やりがいがない』点が退職理由のトップとなっている。介護専門職からは『チーム医療というが、我々はチームに入れてもらえない』との訴えもある」と指摘し、「医療機関(病院)において、介護専門職員がプライドをもって、やりがいをもって働ける環境を整備することが最も重要ではないか」と強調します。高齢の入院患者が増加し「介護ニーズ」が高まる中で、非常に重要なテーマと言えます。



こうした状況を踏まえて橋本会長は、医療の世界に▼基準介護▼基準リハビリ—を制度化、急性期段階から十分な「全身管理・リハビリ」を実施できる環境を整備する必要性を訴えました。看護職員と同じように「入院患者●人に対して、介護専門職とリハビリ専門職を各●名配置する」ことを、医療法や診療報酬などに設定することを求めるものです。

基準介護・リハビリの制度化が必要(日慢協会見3 220908)

基準リハビリの必要性(日慢協会見3 220908)

基準介護の必要性(日慢協会見3 220908)



介護専門職・リハビリ専門職配置が「義務化」されることとなり、病院サイドの負担が増えるとも思われますが、上述のように「医療費の適正化」によって捻出した財源を介護専門職・リハビリ専門職の確保費用に充てる(診療報酬の設定)ことが可能になるでしょう。

また「基準介護」を制度化し、「病院の中で、看護補助者としてではなく、『介護専門職』として業務を行う」ことが、介護職員のプライドを保つことになり、「介護人材の確保・定着につながる」ことも期待されます。介護職員の存在が大きくなれば、多くの病院で「介護部」という組織が創設される可能性も出てきます。

「介護人材の確保・定着」が医療・介護分野で問題になっています。この点、「介護専門職が病院内でプライドを持って働ける」環境が整備されれば、「介護専門職のなり手」の増加にもつながってくるでしょう。橋本会長は「時間はかかるが、介護専門職の地位を上げていくことが最も重要である」と指摘し、「基準介護」の制度化を強く訴えています。



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