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日慢協の新会長に橋本康子氏を選出!武久名誉会長「急性期病院は600病院程度に絞られ、それ以外は地域多機能病院に」

2022.7.1.(金)

日本慢性期医療協会が6月30日に通常総会を開催し、橋本康子氏(橋本病院:香川県三豊市)を新会長に選出しました。橋本新会長は▼池端幸彦氏(池端病院:福井県越前市)▼安藤高夫氏(永生病院:東京都八王子市)▼矢野諭氏(多摩川病院:東京都調布市)▼井川誠一郎氏(豊中平成病院:大阪府豊中市)—の4氏を副会長に、また富家隆樹氏(富家病院:埼玉県ふじみ野市)を事務局長・常任理事に指名し、新体制が動き出しました。

橋本新会長は「少子高齢化が進む我が国では、良質な慢性期医療提供体制が整わなければ、医療そのものが成り立たなくなる。日慢協では『高齢者を寝たきりにしない』ためのヒントを持っており、会員はそれを医療現場で実践している。この情報を強く発信していきたい」と強調しています。

また、前会長の武久洋三氏(博愛記念病院:徳島県徳島市)は名誉会長に、前副会長の中川翼氏(定山渓病院:北海道札幌市)は参与に就任しています。

日本慢性期医療協会の新執行部。向かって右から矢野諭副会長(多摩川病院:東京都調布市)、池端幸彦副会長(池端病院:福井県越前市)、橋本康子会長(橋本病院:香川県三豊市)、安藤高夫副会長(永生病院:東京都八王子市)、井川誠一郎副会長(豊中平成病院:大阪府豊中市)、富家隆樹事務局長(富家病院:埼玉県ふじみ野市)

急性期病院は「総合入院体制」「急性期充実体制」加算取得病院などに絞られる

武久名誉会長は総会後に記念講演を行い、例えば▼急性期病棟での長期入院を容認する特定除外制度(一般病棟における90日超の入院患者のうち、難病など12項目に該当する場合には、特定入院基本料の算定対象と平均在院日数の対象から除外する仕組み)の廃止(2014年度診療報酬改定、関連記事はこちら))▼日本版LTAC(長期急性期病床)と言える地域包括ケア病棟の新設(2014年度診療報酬改定)▼介護・医療・住まいの3機能を併せ持つ介護医療院の新設(2017年の介護保険法改正、2018年度介護報酬改定、関連記事はこちら))▼リハビリで最も優先すべき「摂食」「排泄」に着目した排尿自立指導料や排尿自立支援加算の新設(2016年度診療報酬改定、2020年度診療報酬改定、関連記事はこちら)—などの背景には、日慢協の提言があるとコメント。

記念講演を行った日慢協の武久洋三名著会長



さらに、今後に向けた提言として、(1)リハビリテーションの包括評価(2)高齢者の全身を診ることができる総合医の育成(3)慢性期救急・地域多機能病院の推進(4)急性期から慢性期までの統一した重症度評価の創設—などを提言しています。

まず(1)については、現在の「提供時間に応じた出来高評価」から「成果・効果に応じた包括評価」に移行すべきとの提言です。武久名誉会長は「脳卒中でも、発症直後に集中的なリハビリを行い、機能が回復してきたら少ないリハビリとするべきだが、現在は発症直後でも、6か月後でも1日9単位までとなっており、医療の実態に合っていない」と指摘しています(関連記事はこちら)。



また(2)では、「急性期医療において、傷病治療には専念するが、その前提となる脱水や低栄養への対応がなされず、体力低下→寝たきり」を招いていると改めて強調し、「急性期病棟における早期リハビリ、水分・栄養補給の徹底」(そのためには総合医が必要である)、「早期の回復期・慢性期病棟への転院」が必要と訴えました(関連記事はこちら)。

あわせて、医師の卒後研修について、「臨床研修」(医師免許取得後2年間の初期研修)と「専門研修」(臨床研修取得後の専門医資格取得を目指す研修)とともに、「総合的な診療能力を獲得するための研修」を必修化することを提言しています(総合診療能力を持つ専門医の育成)。



他方、(3)では、次の2点を提言。会員病院に対して、「療養病床だけ」ではなく、地域包括ケア病棟や回復期リハビリ病棟を併設した「地域多機能病院」となり、救急医療やリハビリなど総合的な機能を併設し、「結果(救命や自宅復帰など)を出さなければ地域から必要とされなくなる」と訴えました(関連記事はこちら)。

▽救急医療を「重症患者を受ける急性期救急(救命救急センターなどが対応)」と「軽中度患者を受ける慢性期救急(地域多機能病院が対応)」に分け、後者では誤嚥性肺炎や尿路感染症、低栄養、脱水、褥瘡などに対応すべき(地域多機能病院が2次救急指定を受けられるような環境の整備も必要)

▽急性期病院は「総合入院体制加算あるいは急性期充実体制加算を取得する病院、特定機能病院など」に絞ら(600病院・30万床程度)、その他の病院は「地域多機能病院」と整理されていく



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