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【2024年度介護報酬改定6】医療機関-介護事業所・施設間の連携強化、介護事業所・施設における医療対応力強化を目指す

2024.1.24.(水)

Gem Medで報じているとおり、1月22日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会で、2024年度介護報酬改定内容が了承されました。パブリックコメントを募集し(1か月程度)、その結果も踏まえて3月中旬に告示公布・関連通知等発出がなされます。

●新単位数表などはこちら
●改定内容の全体像はこちら
●改定内容の概要はこちら



改定内容は膨大なため、何回かに分けて見ていきます。本稿では「医療・介護連携」に焦点を合わせます。

▽訪問看護に関する記事はこちら
▽居宅介護支援(ケアマネジメント)に関する記事はこちら
▽答申に向けた介護給付費分科会論議に関する記事はこちら
▽介護従事者の処遇改善に関する記事はこちら
▽認知症対策に関する記事はこちら

医療機関-在宅介護サービス間の連携強化を目指した対応

2024年度には診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス報酬の同時改定が行われます。

要介護高齢者のほとんどは何らかの医療ニーズを抱えており、また新たな傷病に罹患する度合も高いため「医療・介護双方のサービス」を受給するケースが少なくありません。そこで介護事業所等へ「利用者・入所者へのケア提供に際し、留意すべき医学的視点からの情報提供」を行う、医療機関等へ「患者の平素の生活情報や認知機能の状態といった、療養上留意すべき情報提供」を行うことが重要で、介護給付費分科会では一足先に介護報酬上の手当てを決定しました。

まず、在宅サービスにおける「医療・介護の連携」強化方策としては、次のような点が目を引きます。

▽要介護者等のより円滑な在宅移行を訪問看護で推進する観点から、「看護師が退院・退所当日に初回訪問する」ことを新たに評価する(関連記事はこちら
→訪問看護の【初回加算】(1か月当たり300点)を、▼退院・退所「当日」の初回訪問を評価する【初回加算(I)】(1か月当たり350点、新設)▼退院・退所「翌日以降」の初回訪問を評価する【初回加算(II)】(同300点)—に区分けする

訪問看護【初回加算】見直し(社保審・介護給付費分科会(6)1 240122)



▽訪問リハビリ・通所リハビリにおいて、「入院中にリハビリを受けていた利用者に対し退院後の介護保険リハビリ計画を作成するに当たり、入院中に医療機関が作成したリハビリ実施計画書を入手し、内容を把握する」ことを義務付ける(関連記事はこちらこちら

医療・介護リハビリ連携確保1(社保審・介護給付費分科会(6)2 240122)



▽訪問リハビリ・通所リハビリにおいて、「医療機関からの退院後に介護保険リハビリを行う際、リハビリ事業所の理学療法士等が医療機関の『退院前カンファレンス』に参加し、共同指導を行う」ことを新たに設ける【退院時共同指導加算】(1回600単位)で評価する(関連記事はこちらこちら

医療・介護リハビリの連携確保2(社保審・介護給付費分科会(6)3 240122)



▽居宅介護支援(ケアマネジメント)の【入院時情報連携加算】(在宅要介護者が入院した場合に、ケアマネから医療機関への情報提供を早期に行うことを評価)について、より早期の情報提供を促すように次のように見直す(関連記事はこちら

【加算I】
▼単位数引き上げ:(現行)1か月あたり200単位→(改定後)1か月あたり250単位
▼要件厳格化
(現行)
利用者が医療機関に入院してから「3日以内」に、医療機関職員へ利用者に係る必要な情報を提供する

(改定後)
利用者が医療機関に「入院した日のうち」に、医療機関職員へ利用者に係る必要な情報を提供する(入院日以前の情報提供を含む、営業時間終了後・営業日以外の日に入院した場合は入院日翌日でよい)

【加算(II)】
▼単位数引き上げ:(現行)1か月あたり100単位→(改定後)1か月あたり200単位
▼要件厳格化
(現行)
利用者が医療機関に入院してから「4日以上7日以内」に、医療機関職員へ利用者に係る必要な情報を提供する

(改定後)
利用者が医療機関に「入院した日の翌日または翌々日」に、医療機関職員へ利用者に係る必要な情報を提供する(営業時間終了後に入院した場合で、入院日から起算して3日目が営業日でない場合は、その翌日でよい)

居宅介護支援【入院時情報連携加算】見直し(社保審・介護給付費分科会(6)4 240122)



▽居宅介護支援の【通院時情報連携加算】((利用者が医師の診察を受ける際にケアマネが同席し、医師等に利用者の心身の状況や生活環境等の必要な情報提供を行い、医師等から利用者に関する必要な情報提供を受けることを評価)について、「利用者が歯科医師の診察を受ける際に介護支援専門員が同席した場合」も算定対象とする(関連記事はこちら

居宅介護支援【通院時情報連携加算】見直し(社保審・介護給付費分科会(6)5 240122)

在宅介護サービスにおける「医療対応力の強化」を介護報酬で後押し

また、在宅介護サービスにおける「医療ニーズ対応力強化」を目指した対応も行われます

▽訪問看護・看護小規模多機能型居宅介護において「専門性の高い看護師が訪問看護、看護小規模多機能型居宅介護の実施に関する計画的な管理を行うこと、新たに設ける【専門管理加算】(1か月あたり250単位)で評価する(関連記事はこちらこちらこちら

訪問看護等の【専門管理加算】創設(社保審・介護給付費分科会(6)6 240122)



▽老人保健施設の短期入所療養介護における【総合医学管理加算】について、医療ニーズのある利用者の受け入れ促進の観点から▼居宅サービス計画で計画的に行う短期入所療養介護でも、「治療管理を目的とする」場合を算定対象とする▼算定日数上限を7日から10日に引き上げる—(関連記事はこちら

医療ショートの【総合医学管理加算】見直し(社保審・介護給付費分科会(6)7 240122)



▽療養通所介護について、新規利用に向けたお試し利用、登録者以外の緊急利用に対応するための短期利用型の基本報酬区分【短期利用療養通所介護費】(1日につき1335単位】を新たに設ける(関連記事はこちら

療養通所介護の「短期利用」基本報酬を設定(社保審・介護給付費分科会(6)8 240122)



▽療養通所介護について、「安定的に重度利用者へのサービスを提供するための体制」を評価する【重度者ケア体制加算】(1か月あたり150単位)を新設する(関連記事はこちら

療養通所介護の【重度者ケア体制加算」新設(社保審・介護給付費分科会(6)9 240122)



▽看護小規模多機能型居宅介護について、柔軟な利用を促進するために▼登録者へのサービス提供回数が過少な場合の基本報酬減算▼【緊急時訪問看護加算】について、緊急時の宿泊サービスを必要に応じて提供する体制を評価する要件追加—といった見直しを行う(関連記事はこちら

看多機の柔軟利用(社保審・介護給付費分科会(6)10 240122)

介護施設や居住系サービスと医療機関との「実質的な連携体制」の強化を図る

また、「高齢者施設等と医療機関の連携強化」に向けた次のような手当ても行われます。

▽(地域密着型)特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護について、施設等での対応可能な範囲を超えた医療ニーズに対し「協力医療機関との連携の下で適切な対応が行われる」よう、在宅医療を担う医療機関や在宅医療を支援する医療機関等と実効性のある連携体制を構築するための対応を求める(関連記事は(関連記事はこちら
▼「利用者の病状急変が生じた場合等に医師・看護職員が相談対応を行う体制を常時確保している」「診療の求めがあった場合に、診療を行う体制を常時確保している」ことを満たす協力医療機関を定める努力義務を課す
▼1年に1回以上、協力医療機関との間で「利用者の病状急変が生じた場合等の対応」を確認するとともに、協力医療機関名などを保険者に提出する義務を課す
▼利用者が協力医療機関等に入院した後に病状が軽快し、退院が可能となった場合には「速やかに再入居させる」努力義務を課す

▽介護老人福祉施設、介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護医療院について、施設等での対応可能な範囲を超えた医療ニーズに対し「協力医療機関との連携の下で適切な対応が行われる」よう、在宅医療を担う医療機関や在宅医療を支援する医療機関等と実効性のある連携体制を構築するための対応を求める(関連記事は(関連記事はこちら
▼「利用者の病状急変が生じた場合等に医師・看護職員が相談対応を行う体制を常時確保している」「診療の求めがあった場合に、診療を行う体制を常時確保している」「入所者の病状急変が生じた場合等に、施設の医師、協力医療機関その他の医療機関の医師が診療を行い、入院を要すると認められた入所者の入院を原則として受け入れる体制を確保している」ことを満たす協力医療機関(3つ目の要件は病院のみ)を定める義務を課す
▼複数の医療機関を定めることにより要件を満たすこととしても差し支えない
▼3年間の経過措置を置き、併せて連携体制に係る実態把握を行うとともに必要な対応を検討する
▼1年に1回以上、協力医療機関との間で「利用者の病状急変が生じた場合等の対応」を確認するとともに、協力医療機関名などを保険者に提出する義務を課す
▼利用者が協力医療機関等に入院した後に病状が軽快し、退院が可能となった場合には「速やかに再入居させる」努力義務を課す

介護施設等と医療機関との連携関係構築(社保審・介護給付費分科会(6)11 240122)



▽認知症対応型共同生活介護、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護医療院について、「入所者の現病歴等の情報共有を行う会議」を定期的に開催することを新たに設ける【協力医療機関連携加算】として評価する(関連記事はこちら

▽(地域密着型)特定施設入居者生活介護について、【医療機関連携加算】を【協力医療機関連携加算】と名称変更し、要件に「入所者の現病歴等の情報共有を行う会議」の定期的開催を追加する(関連記事はこちら

【(地域密着型)介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院】
▼協力医療機関が3要件((1)入所者等の病状が急変した場合等に医師・看護職員が相談対応を行う体制を常時確保している(2)施設等からの診療の求めがあった場合に診療を行う体制を常時確保していること(3)入所者等の病状が急変した場合等で、入院を要すると認められた入所者等の入院を原則として受け入れる体制を確保している—、以下同じ)を満たす場合:2024年度は1か月あたり100単位、2025年度以降は同じく50単位(新設)
▼それ以外の場合:1か月あたり5単位(新設)

【(地域密着型)特定施設入居者生活介護】
▼協力医療機関が3要件を満たす場合:1か月あたり100単位(現在は同じく80単位)
▼それ以外の場合:1か月あたり40単位(現在は同じく80単位)

【認知症対応型共同生活介護】
▼協力医療機関が3要件を満たす場合:1か月あたり100単位(新設)
▼それ以外の場合:1か月あたり40単位(新設)

介護施設等と協力医療機関と定期会議を評価する【協力医療機関連携加算」(社保審・介護給付費分科会(6)12 240122)



▽介護老人保健施設、介護医療院の【退所時情報提供加算】について、▼「入所者が医療機関へ退所した際、生活支援上の留意点や認知機能等に係る情報を提供した場合」を評価する新区分を設ける▼入所者が居宅に退所した際に「退所後の主治医に診療情報を情報提供することを評価する」区分について、医療機関への退所の場合と同様に「生活支援上の留意点等の情報提供を行う」ことを算定要件に加える—(関連記事はこちら

▽介護老人福祉施設等、特定施設入居者生活介護等、認知症対応型共同生活介護について、「入所者または入居者が医療機関へ退所した際、生活支援上の留意点等の情報提供を行う」ことを新たに設ける【退所時情報提供加算】(1回あたり250単位)で評価する(関連記事はこちら

介護施設等から医療機関への入院における情報連携の評価充実(社保審・介護給付費分科会(6)13 240122)



▽介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護について、「施設等があらかじめ定める緊急時等における対応方法」を配置医師・協力医療機関の協力を得て定めることを義務化する。また、1年に1回以上、配置医師・協力医療機関の協力を得て、必要に応じて緊急時等における対応方法の変更を行うことを義務化する(関連記事はこちら

特養ホームの緊急時対応(社保審・介護給付費分科会(6)14 240122)



▽介護老人保健施設の【初期加算】について、地域医療情報連携ネットワーク等のシステムや、急性期病床を持つ医療機関の入退院支援部門を通して「当該施設の空床情報の定期的な情報共有等を行い、入院日から一定期間内に医療機関を退院した者を受け入れる」ことを評価する新区分を設ける(関連記事はこちら

【加算(I)】(新設、1日につき60単位)
(要件)
次に掲げる基準のいずれかに適合する老健施設において、急性期医療機関の一般病棟への入院後30日以内に退院し老健施設に入所した者について、1日につき所定単位数を加算する(加算(II)を算定している場合は算定不可)
▼空床情報について、地域医療情報連携ネットワーク等を通じ地域医療機関に定期的に情報共有している
▼空床情報について、自施設のウェブサイトに定期的に公表するとともに、急性期医療を担う複数医療機関の入退院支援部門に定期的に情報共有を行う

【加算(II)】(現行どおり、1日につき30単位)
(要件)
入所日から起算して30日以内の期間、1日につき所定単位数を加算する(加算(I)を算定している場合は算定不可)

老健施設での医療機関からの患者受け入れ推進(社保審・介護給付費分科会(6)15 240122)

介護施設や居住系サービスにおける「医療対応力強化」を介護報酬で推進

また高齢者施設等における医療ニーズ対応力を強化するために、次のような対応が行われます。

▽(地域密着型)特定施設入居者生活介護について、夜間の看護職員の体制を強化し、医療的ケアを要する者の積極的な受け入れを促進する観点から、【夜間看護体制加算】に「夜勤または宿直の看護職員の配置」を行う場合を新区分として高く評価する(関連記事はこちら

【加算(I)】(看護職員を配置して対応する場合の評価を新設)
▼単位数:(新設)1日につき18単位
▼要件
(1)常勤看護師を1名以上配置し、看護に係る責任者を定める
(2)夜勤または宿直を行う看護職員数1名以上で、かつ、必要に応じて健康上の管理等を行う体制を確保する
(3)入居者が重度化した場合の対応指針を定め、入居際に利用者・家族等に指針の内容を説明し、同意を得る

【加算(II)】(オンコール、他施設連携により対応する場合の評価を見直す)
▼単位数見直し:(現行)1日につき10単位→(改定後)1日につき9単位
▼要件
(1)加算(I)の(1)(3)を満たす
(2)看護職員により、または医療機関・訪問看護ステーションとの連携により、利用者に対し24時間連絡できる体制を確保し、かつ、必要に応じて健康上の管理等を行う体制を確保する

特定施設の【夜間看護体制加算」充実(社保審・介護給付費分科会(6)16 240122)



▽(地域密着型)特定施設入居者生活介護について、医療的ケアを要する者が一定数いる特定施設入居者生活介護等において、入居者の医療ニーズを踏まえた看護職員によるケアを推進する観点から、【入居継続支援加算】の要件である「医療的ケアを必要とする者」の中に、「膀胱留置カテーテル」「在宅酸素療法」「インスリンの投与」を追加するなどの見直しを行う(関連記事はこちら

特定施設の【入居継続支援加算」見直し(社保審・介護給付費分科会(6)17 240122)



▽認知症対応型共同生活介護について、看護体制の整備や医療的ケアが必要な者の受け入れを適切に評価する観点から、【医療連携体制加算】を「体制要件」と「医療的ケアが必要な者の受け入れ要件」を分けて下図表のように評価することとし、「医療的ケアが必要な者の受け入れ要件」については対象となる医療的ケアに「留置カテーテルを使用している状態」と「インスリン注射を実施している状態」を追加する(関連記事はこちら

認知症グループホームの【医療連携体制加算】見直し(社保審・介護給付費分科会(6)18 240122)



▽介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護について、入所者が急変し配置医師が早朝・夜間・深夜に駆け付けたことを評価する【配置医師緊急時対応加算】について、「日中で、通常の勤務時間外に駆けつけ対応を行った」場合を評価する新区分(1回あたり325単位)を設ける(関連記事はこちら

特養ホームの【配置医師緊急時対応加算】の新区分(社保審・介護給付費分科会(6)19 240122)



▽介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護について、次のような点を明確化し、分かりやすく周知する(関連記事はこちら
▼基準上、入所者に対し、健康管理・療養上の指導を行うために必要な医師を配置することとされており、この配置医師が行う健康管理・療養上の指導は介護報酬で評価され、初診・再診料等の診療報酬を算定できない
▼配置医師以外の医師(外部医師)は、「緊急の場合」「配置医師の専門外の傷病の場合」に、【初診料】【再診料】【往診料】などを、「末期の悪性腫瘍の場合」「在宅療養支援診療所等の医師による看取りの場合」には【在宅患者訪問診療料】なども算定できる

特養ホームでの医療行為評価の明確化(社保審・介護給付費分科会(6)20 240122)



▽介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護について、「定期的かつ継続的に透析を必要とするが、家族や病院等による送迎が困難である等やむを得ない事由がある者」について、施設職員が1か月に12回以上の送迎を行うことを新たに設ける【特別通院送迎加算】(1か月あたり594単位)として評価する(関連記事はこちら

特養ホームにおける【特別通院送迎加算】新設(社保審・介護給付費分科会(6)21 240122)



▽介護老人保健施設の【所定疾患施設療養費】について「慢性心不全が増悪した場合」を対象に追加する(関連記事はこちら

老健施設の【所定疾患施設療養費】充実(社保審・介護給付費分科会(6)22 240122)



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