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認知症専門ケア加算の「認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の者」割合、利用実人員、利用延人数のいずれで計算してもよい―厚労省

2024.4.22.(月)

厚生労働省は4月18日に、2024年度介護報酬改のQ&A(Vol.4)を公表しました(厚労省サイトはこちら)。認知症専門ケア加算などについて、介護現場の疑問に答えています。

●2024年度介護報酬改定に関する記事はこちら
●2024年度介護報酬改定に関する厚労省サイトはこちら

認知症専門ケア加算、「認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の者」割合の計算法解説

認知症患者は、2018年に500万人を超え、65歳以上高齢者の「7人に1人が認知症」という状況を迎えましたが、2025年には約700万人(同じく5人に1人)、2040年には約800-950万人(同じく約4-5人に1人)に達し、さらにその後も増加が続くと見込まれます。このため、2019年には認知症施策推進大綱が、本年(2023年)には認知症基本法の施行が予定され、認知症患者の意向を十分に踏まえた総合的な対策(認知症との共生、認知症予防など)を進めることとされています。

認知症対策は、医療・介護・福祉の各施策が連携し、総合的に進めることが極めて重要であり、2024年度介護報酬改定でも様々な手当てがなされま、例えば次のような点が目を引きます(関連記事はこちら)。

(1)【認知症チームケア推進加算】の新設(関連記事はこちら
→介護保険施設等において、認知症の行動・心理症状(BPSD)の発現を未然に防ぐため、あるいは出現時に早期に対応するために「スタッフがチームを組んで対応する」ことを評価する

(2)訪問介護、訪問入浴介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護の【認知症専門ケア加算】について、認知症高齢者の重症化緩和や日常生活自立度IIの者への専門的ケアを行うことを評価する観点から「利用者の受け入れに関する要件」を見直す(関連記事はこちら

(3)訪問リハビリに【認知症短期集中リハビリテーション実施加算】(1週間に2日まで、1日につき240単位)を新設する(関連記事はこちら
→訪問での認知症リハビリの有用性エビデンスを踏まえ、認知症リハビリ推進の観点から「認知症に対して認知機能や生活環境等を踏まえ、応用的動作能力や社会適応能力を最大限に活かしながら生活機能改善を図る」リハビリの実施を評価するもの

(4)通所介護の【認知症加算】について、より適切なケアを実施するために要件見直しを行う(関連記事はこちら
→認知症利用者割合の軽減(要件緩和)を図り「算定の裾野を広げる」と同時に、スタッフ全体での「認知症対応力の向上」を図る

(5)小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護の【認知症加算】について、「より充実した認知症ケアを行う」事業所を評価する区分(上位区分)の新設などを行う(関連記事はこちら

(6)介護老人保健施設の【認知症短期集中リハビリテーション実施加算】について、区分化を行う(関連記事はこちら
→「入所者の居宅を訪問し生活環境を把握する」ことを新たに評価する



このうち(2)の【認知症専門ケア加算】については、次のような新要件が設定されました。新要件により算定の裾野が広がると期待され、より多くの事業所で加算取得→認知症利用者への適切なケア実施が行われることに期待が集まっています。

【認知症専門ケア加算(I)】(1日につき3単位、ただし定期巡回・随時対応型訪問介護看護では1か月につき90単位、単位数には変更なし)

▽認知症高齢者の日常生活自立度「Ⅱ」以上の者が利用者の50%以上(従前は自立度「III」以上の者が50%以上)

▽認知症介護実践リーダー研修等修了者を認知症高齢者の日常生活自立度「II」以上の者が20人未満の場合は「1人」以上、20人以上の場合は「1人+当該対象者の数が19を超えて10、または端数を増すごとに1人」以上配置する(従前は計算のベースが自立度「III」以上の者)

▽認知症高齢者の日常生活自立度「Ⅱ」以上の者に対し専門的な認知症ケアを実施する(従前は自立度「III」以上の者が対象)

▽当該事業所の従業者に対して、認知症ケアに関する留意事項の伝達、技術的指導に係る会議を定期的に開催する

【認知症専門ケア加算(II)】(1日につき4単位、ただし定期巡回・随時対応型訪問介護看護では1か月につき120単位、単位数には変更なし)

▽【加算(I)】の要件である▼認知症介護実践リーダー研修等修了者を認知症高齢者の日常生活自立度II以上の者が20人未満の場合は「1人」以上、20人以上の場合は「1人+当該対象者の数が19を超えて10、または端数を増すごとに1人」以上配置する▼当該事業所の従業者に対し認知症ケアに関する留意事項の伝達、技術的指導に係る会議を定期的に開催する—ことを満たす

▽(新設)認知症高齢者の日常生活自立度III上の者が利用者の20%以上

▽認知症高齢者の日常生活自立度III以上の者に対し専門的な認知症ケアを実施する

▽認知症介護指導者研修修了者を1名以上配置し、事業所全体の認知症ケアの指導等を実施する

▽介護職員、看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、研修を実施または実施する予定である

訪問サービスの認知症専門ケア加算見直し(社保審・介護給付費分科会(5)1 240122)



今般のQ&A(4)では、この認知症専門ケア加算の要件にある「認知症高齢者の日常生活自立度III上の者割合」(加算1:50%以上、加算2:20%以上)の計算方法を次のように詳しく解説しています。

▽前3か月間のうち「いずれかの月の利用者数」で算定する

▽利用者数は、「利用実人員数」、または「利用延人員数」を用いる
ただし、以下の点に留意する
▼(介護予防)訪問入浴介護では、要支援者(要介護者)も利用者数に含める
▼定期巡回・随時対応型訪問介護看護費(I)・(II)(包括報酬)、夜間対応型訪問介護費(II)(包括報酬)では、利用実人員数(当該月に報酬を算定する利用者)を用い、利用延人員数は用いない

▽利用実人員数による計算を行う場合で、「月途中」で認知症高齢者の日常生活自立度区分が変更になった場合は「月末の認知症高齢者の日常生活自立度区分」を用いて計算する



【計算例】

認知症専門ケア加算の計算例(2024介護報酬改定Q&A(4)1 240418)



●利用実人員数による計算(要支援者を含む)
・利用者の総数=1月:10人、2月:10人、3月:10人
・認知症高齢者の日常生活自立度II以上の者数=1月:4人、2月4人、3月:4人

「II以上の者/利用者数」割合は、それぞれ「4人÷10人」≒40.0%(小数点第二位以下切り捨て)

●利用延人員数による計算(要支援者を含む)
・利用者の総数=1月:61人、2月:60人、3月:96
・認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の者数=1月:24人、2月:23人、3月:57日

「II以上の者/利用者数」割合は、1月「24人÷61人≒39.3%(小数点第二位以下切り捨て)」、2月「23人÷60人≒38.3%(同)」、3月「57人÷96 人≒59.3%(同)」となる

●「利用実人数」ではいずれの月も50%以上でないが、「利用延人数」で見ると「3月は50%以上」となっている

当該実績をもって4―6月は加算(I)の算定が可能である



また、算定要件に該当する者の実績と算定の可否について、例えば下表のように考えます。X月に上記要件を満たせば「X+1」月-「X+3」月までの算定が可能で、「X+4」月移行も算定する場合には、「X+1」月から「X+3」月のいずれかで改めて上記要件を満たす必要があります。

認知症専門ケア加算の要件(実績クリア)と算定可能月との関係(2024介護報酬改定Q&A(4)2 240418)

緊急訪問介護の事務処理の考え方など明示

このほか訪問介護等について、次のような考え方が示されています。

▽訪問介護計画書など(訪問介護計画書、定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画書、夜間対応型訪問介護計画書)については「担当する訪問介護員等の氏名」を記載が必要であるが、異動や休暇取得による交代等の事情により複数の訪問介護員等で対応する場合、必ずしも担当者1名を定めて記載する必要はなく、利用者に説明を行った上で「担当を予定する複数の訪問介護員等の氏名」記載でよい
→その場合でも、実際にサービス提供を行った訪問介護員等の氏名はサービス実施記録票に記載する

▽【緊急時訪問介護加算】算定時の事務処理は、次のように考える
▼指定訪問介護事業所における事務処理
・訪問介護計画は必要な修正を行う
・居宅サービス基準第19条に基づき必要な記録を行う

▼指定居宅介護支援(ケアマネ事業所)における事務処理
・居宅サービス計画の変更を行う(すべての様式を変更する必要はなく、サービス利用票の変更など、最小限の修正で可)

▼「居宅サービス計画に位置付けられていない(当該指定訪問介護を提供した時間帯が「あらかじめ居宅サービス計画に位置付けられたサービス提供の日時」以外の時間帯のもの)訪問介護」とは、利用者・家族等から訪問介護(身体介護が中心のもの)要請を受けた時点で、居宅サービス計画書標準様式第3表や第6表に具体の時間帯としてサービス計画に記載されていない訪問介護のことをさす
→単に「居宅サービス計画に位置付けられていない訪問介護を行う可能性がある」旨が、サービス提供の時間帯を明示せず居宅サービス計画に記載されている場合でも、加算算定が可能である



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