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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

新年度に入り有床診の減少ペース早まる、2018年8月には7000施設を割る可能性―医療施設動態調査(2018年4月)

2018.7.18.(水)

 今年(2018年)の3月末から4月末にかけて、病院は5施設・1509床減少した。有床診療所は50施設・658床減少し7095施設・9万6856床となった。現在の減少ペースが続けば、今年(2018年)8月には7000施設を切り、2020年1月には9万床を割る―。

 こうした状況が、厚生労働省が7月18日に公表した医療施設動態調査(2018年4月末概数)から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

2018年3月から4月(新年度)にかけて、病院の病床は109床も減少。有床診は50施設・658床の大幅減少となった  

2018年3月から4月(新年度)にかけて、病院の病床は109床も減少。有床診は50施設・658床の大幅減少となった
 

 

有床診の施設数減少ペース早まり、今年(2018年)8月に7000施設を切る可能性

 厚生労働省は、「医療施設動態調査」として、毎月末における全国の病院・診療所数を集計・公表しています(前月末の状況はこちら、前々月末の状況はこちら、さらにその前の月末の状況はこちら)。

 今年(2018年)4月末の状況を見ると、全国の医療施設は計17万9085施設で、前月末から80施設増加しました。無床の一般診療所の増加によるものです。うち病院の施設数は、前月末から5施設減の8384施設。病院の種類別に見ると、▼一般病院:7330施設(前月から4施設減)▼精神科病院:1054施設(同1施設減)—などとなりました。一般病院のうち「療養病床を有する病院」は3774施設で、前月末から4施設減少。「地域医療支援病院」は565施設で前月末から2施設増加しました。

 一方、医科診療所は10万1959施設で前月から99施設の増加となりました。ただし、このうち有床診療所は、前月から50施設も減少し、7095施設となりました。
 
 有床診療所は、2年前(2016年4月末)には7740施設(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2017年4月末)には7426施設(厚労省のサイトはこちら)であったことから、2016年4月末から17年4月末までの1年間で314施設、さらに今年(2018年)4月末までの1年間で331施設減少しています。有床診療所の施設数は、2017年4月末以降、次のように推移しています。

▼2017年4月末:7426施設

 ↓(29施設減)

▼2017年5月末:7397施設

 ↓(17施設減)

▼2017年6月末:7380施設

 ↓(17施設減)

▼2017年7月末:7363施設

 ↓(21施設減)

▼2017年8月末:7342施設

 ↓(25施設減)

▼2017年9月末:7317施設

 ↓(56施設減)

▼2017年10月末:7261施設

 ↓(25施設減)

▼2017年11月末:7236施設

 ↓(18施設減)

▼2017年12月末:7218施設

 ↓(24施設減)

▼2018年1月末:7194施設

 ↓(28施設減)

▼2018年2月末:7166施設

 ↓(21施設減)

▼2018年3月末:7145施設

↓(50施設減)

▼2017年3月末:7095施設

 この1年間、1か月当たり28施設弱のペースで減少が続いています。このペースが続けば、今年(2018年)8月末には7000施設を切る計算です。減少ペースがやや早まっている可能性があります。

有床診のベッド数減少ペースも早まり、2020年1月に9万床切る可能性

 次に医療施設の病床数(ベッド数)を見てみましょう。

医療施設全体では今年(2018年)4月末には164万9932床で、前月末から2170床の大幅減となりました。うち病院の病床数は155万3015床で、前月末から1509床も減少しています。病床種類別に見ると、▼一般病床:89万1599床(前月末から327床減)▼療養病床:32万4096床(同464床減)▼精神病床:33万581床(同545床減)—などという状況です。

 また、有床診療所の病床数は前月末から658床と大幅に減少し、9万6856床となりました。2年前(2016年4月末)には10万4974床(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2017年4月末)には10万873床(厚労省のサイトはこちら)であったことから、2016年4月末から2017年4月末までの1年間で4101床、今年(2018年)4月末までの1年間で4017床減少しています。2017年4月末以降、有床診のベッド数は次のように推移しています。

▼2017年4月末:10万873床

 ↓(407床減)

▼2017年5月末:10万466床

 ↓(226床減)

▼2017年6月末:10万240床

 ↓(221床減)

▼2017年7月末:10万19床

 ↓(282床減)

▼2017年8月末:9万9737床

 ↓(206床減)

▼2017年9月末:9万9531床

 ↓(688床減)

▼2017年10月末:9万8843床

 ↓(306床減)

▼2017年11月末:9万8537床

 ↓(149床減)

▼2017年12月末:9万8388床

 ↓(277床減)

▼2018年1月末:9万8111床

 ↓(380床減)

▼2018年2月末:9万7731床

 ↓(217床減)

▼2018年3月末:9万7514床

 ↓(658床減)

▼2017年3月末:9万6856床

 この1年間、1か月当たり335床弱のペースで減少が続いています。このペースが継続した場合、今年(2018年)10月には9万5000床を切り(やや減少ペースが速まる)、2020年1月には9万床を割る(やや減少ペース早まる)計算です。

  
 山間部などの過疎地では「入院医療機関は有床診療所しかない」という地域もあり、有床診は地域医療の支え手として、依然として重要な役割を担っています。有床診減少の背景には、「経営難」や「後継者不足」などさまざまな問題がありますが、厚労省は「有床診の経営を一定程度、下支えする必要がある」と考えます。2018年度の診療報酬・介護報酬改定では、この一環として、有床診を大きく(1)専門的な医療サービスを効率的に提供する「専門医療提供モデル」(2)主に地域医療を提供する「地域包括ケアモデル」—に大別し、後者の「地域包括ケアモデル」について次のような報酬の見直しを行いました。

内科や外科を標榜する「地域包括ケアモデル」の有床診療所では、主に入院料などで収益を上げることから、空床が経営状態に及ぼす影響が特に大きいと考えられた

内科や外科を標榜する「地域包括ケアモデル」の有床診療所では、主に入院料などで収益を上げることから、空床が経営状態に及ぼす影響が特に大きいと考えられた

  
▽介護サービスを提供する有床診療所では、高い報酬である入院基本料1-3の要件を緩和するとともに、要介護者の受け入れを【介護連携加算】(新設、1日につき38点または192点)として評価する(診療報酬での対応、関連記事はこちら
2018年度診療報酬改定(有床診療所)
 
▽利用者専用病床を1床確保すれば、看護小規模多機能型居宅介護の「宿泊室」の設備基準を満たしているとみなす(介護報酬での対応、関連記事はこちら
2018年度介護報酬改定(有床診療所)
 
今般のデータからは、これらの見直しの効果は「直ちには現れていない」ようです。今後、徐々に効果が現れてくるのか、毎月の医療施設動態で有床診の動向を注視していく必要があるでしょう。もっとも、上述のように「後継者不足」といった課題には、今般の診療報酬改定では対応が難しく、「効果が減殺されてしまっている」(経営下支えそのものには効果があるが、後継者不足でやむを得ず閉院するケースも少なくない)可能性があるため、より詳細な分析と、それに基づく対応も求められてくるかもしれません。
 
病院の病床数が急減していることが分かる

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療養病床も、ベッド数の減少傾向が続いている

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