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介護助手の活用、介護事業所管理者へのマネジメント力向上研修、介護の魅力PRなどを進めよ―介護保険部会

2019.7.26.(金)

 少子高齢化が進展していく中で、介護人材の新規確保を促進するとともに、定着を促していく必要がある。例えば、定着促進のために「介護助手の導入・活用による介護職員の負担軽減」や「管理者のマネジメント力向上に向けた研修の実施」などを行うほか、新規人材確保のためには「本筋」である「介護業務の魅力」PRに力を入れるべきではないか―。

 7月26日に開催された社会保障審議会・介護保険部会では、こういった議論が行われました。

 今回で、次期介護保険制度改革(2021年度からの第8期介護保険事業(支援)計画策定に向けた改革)論議の言わば第1ラウンド(制度横断的な事項に関する総論論議)を終え、秋から個別サービス改革や「給付と負担」(自己負担をどう考えるのか、ケアマネジメントに利用者負担を課すべきか、など)に関する議論が行われます。

7月26日に開催された、「第79回 社会保障審議会 介護保険部会」

7月26日に開催された、「第79回 社会保障審議会 介護保険部会」

 

介護事業所等の大規模化、ロボット・ICTの共同購入など進めてはどうか

 第1ラウンドで議論する横断的検討事項は、(1)介護予防・健康づくりの推進(健康寿命の延伸)(2)保険者機能の強化(地域保険としての地域の繋がり機能・マネジメント機能の強化)(3)地域包括ケアシステムの推進(多様なニーズに対応した介護の提供・整備)(4)認知症「共生」・「予防」の推進(5)持続可能な制度の再構築・介護現場の革新―の5項目。7月26日の介護保険部会では、(5)に関連して▼介護人材の確保・介護現場の革新―について現状と課題を整理した上で、今後の検討の方向性について議論を行っています。

 少子高齢化が急速に進む中で「介護人材の確保」「介護現場の革新」は、極めて重要な喫緊のテーマとなります。

 第7期介護保険事業(支援)計画によるサービス見込み量等に基づいて、必要な介護人材を推計すると▼2020年度末には約216万人▼2025年度末には約245万人―とされ、2016年度の約190万人から、年間6万人程度の介護人材確保が必要となります(関連記事はこちらこちら)。
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一方、介護職員については、全産業に比べて「離職が多い」「勤続年数が短い」ことも分かっています。これがために給与水準も上がりにくく、また他産業に人材が流れる要因ともなっています。離職の理由としては、▼雇用管理関連(職場の人間関係:20%、法人・事業所の理念等への不満:17.8%)▼仕事と家庭の両立関連(結婚・出産・妊娠・育児:18.3%、家族の介護・看護:4.6%)▼収入関連(将来の見込みが立たない:15.6%、収入が少ない:15.0%)―などが多くなっています。
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こうした状況を放置することはできず、厚労省はこれまでにも、さらにこれからも▼介護職員の処遇改善(処遇改善交付金や、これを引き継いだ介護職員処遇改善加算、さらに今年(2019年)10月からの特定処遇改善加算(関連記事はこちらこちらこちら)▼多様な人材の確保・育成(地域医療介護総合確保基金を活用した人材確保など)▼離職防止・定着促進・生産性向上(介護ロボット・ICTの活用などによる、介護負担軽減など)▼介護職の魅力向上(福祉・介護の体験型イベントの実施など)▼外国人人材の受け入れ―などの取り組みを行っています。ただし「顕著な効果」は十分には現れていないようです。

介護保険部会では、▼介護人材の確保・定着促進▼介護現場の革新―を進めるための方策についてさまざまな角度から議論しました。このテーマは、▼「新規人材の確保」と「既存職員の定着促進」という切り口▼「短期的方策」と「長期的方策」という切り口―など、さまざまに分けて考えることができます。

まず「既存職員の定着促進」策について見てみましょう。例えば、「更なる処遇改善」や「ロボット・ICTの導入・活用による負担軽減」「介護助手の活用」「事業所等の管理職員のマネジメント力向上」などさまざまな方策が考えられます。

このうち「ロボット・ICTの導入・活用による負担軽減」について、久保芳信委員(UAゼンセン日本介護クラフトユニオン会長)は「日本介護クラフトユニオン加入者へのアンケート調査では、ロボット等の導入に半数が賛成し、その理由は『腰痛防止』『身体負担軽減』などであった」ことを紹介。ロボットやICT導入に向けた「支援」(補助金など)を国に要請しました。

しかし、例え補助があっても中小事業所等では「ロボット等の導入費用を捻出すること。さらに投下コストに見合った効果を生み出すこと」が難しいでしょう。そこで佐藤主光委員(一橋大学国際・公共政策大学院、大学院経済学研究科教授)は「共同購入・共同利用」を進めることを提案しています。中小事業所等が連携してバイイングパワーを増せば、「1事業所当たりの導入費用」は軽減され、コストパフォーマンスも高くなります。積極的に検討すべきテーマであり、国では「共同購入等しやすいような補助要件の見直し」を検討していくことが求められそうです。

この考えをさらに進め、「介護事業所等の大規模化」を検討すべきとの意見が多数出ています。介護職員の業務負担軽減につながることはもちろん、アドミニストレーションコストを軽減でき、経営的な安定も得られます。この点、訪問看護ステーションについては、従前より「大規模化・機能強化」に向けたインセンティブ(加算)が介護報酬・診療報酬の両面から設けられ、徐々にではあるものの大規模化が進んできています。今般の制度改革論議ではもちろん、2021年度の次期介護報酬改定で他のサービスについても「大規模化に向けた加算」が検討される可能性もあるでしょう(関連記事はこちら)。

元気高齢者を「介護助手」として活用することで、介護職員の負担が大きく軽減

ただし、こうした「ロボット・ICTの導入・活用」や「事業所等の大規模化」などには時間がかかり(長期的方策)、効果が出るまでにも離職者は出てきます。

こうした「現在の離職」に歯止めをかける短期的方策として、東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)は「介護助手の活用」を提唱します。具体的には、「元気な高齢者」を介護助手として雇用し、週に数日・短時間勤務で「介護の周辺業務」を担ってもらうものです。

東委員の経営する介護老人保健施設「いこいの森」(三重県津市)では、元気な高齢者20名(平均70歳程度)を介護助手として雇用し、1日3時間程度・週3日程度の勤務時間の中で「周辺業務」を担ってもらっており、▼94%の介護職員が「負担軽減」を感じる▼6割の介護職員が「仕事の楽しさ」を以前より感じている▼7割の介護職員が「ゆとり」を感じられるようになった―といった大きな効果が出ていると言います。
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介護現場革新会議の「パイロット事業」でも、「介護助手の効果的な活用」に関する研究が進められることになっており、全国展開に期待が集まります。

介護事業所等の管理者に「マネジメント力向上研修」を行い、職場問題の解決を

また、齋藤訓子委員(日本看護協会副会長)は、短期的方策の1つとして、事業所等の管理者向けの「マネジメント力向上に向けた研修」を行うことを提唱しています。看護職員については、日本看護協会が「認定看護管理者」制度を設け、制度・マネジメント・経営・医療安全などに関する研修を、病院の看護部長(副院長であることが多い)を目指す人を対象に実施し、「看護管理者のマネジメント力向上」に大きく貢献しています。齋藤委員は「介護職についても、何らかの形で、事業所等の管理者に求められるマネジメント力向上研修を実施すべき」と訴えています。

上述のように、介護職員の離職原因として▼雇用管理関連(職場の人間関係:20%、法人・事業所の理念等への不満:17.8%)▼仕事と家庭の両立関連(結婚・出産・妊娠・育児:18.3%、家族の介護・看護:4.6%)―などが上位にあげられている事実に鑑みれば、齋藤委員の提案には真摯に耳を傾けるべきでしょう。

なお、この点に関連して江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は、「離職率の低い事業所や、介護現場で働く介護職員などに、どういった取り組みを行っているのか詳しくヒアリングなどを行ってはどうか」と提案しています。江澤委員は「誰でも何度か『仕事を辞めよう』と思う。それをどう乗り切ったのか聞くことも重要である」とコメント。

介護事業所等の離職率を見ると、規模に関係なく▼著しく高いところ▼著しく低いところ―があります(二峰性)。「離職率の著しく低い事業所等」に、その秘訣を聞き、可能な部分を横展開していくことは非常に重要で、厚労省老健局総務課の黒田秀郎課長は「離職率の低さなどをどのように把握すべきか検討していく」考えを示しています。
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介護人材の確保、「介護の魅力」PRが本筋

 こうした「定着策」と合わせて、「新規人材の確保」策を進めることも重要です。2025年には、いわゆる団塊の世代が、すべて75歳以上の後期高齢者となることから、今後、介護ニーズが急速に増加することは確実です。その後、2040年にかけて要介護者を含む高齢者の増加スピードは鈍化するものの、高齢者の支え手である「現役世代」が急速に減少していきます。

現役世代の減少は、端的に「働き手不足」につながり、他業界(サービス業など)と介護業界とで「少ない人手の奪い合い」が厳しくなってきます。こうした事態を見据えて、江澤委員や津下一代委員(あいち健康の森健康科学総合センターセンター長)らは、「介護業務の魅力」をPRしていくことが「本筋」であると強調しています。介護業務の「やりがい」を広く紹介することこそが、永続的な「介護人材確保につながる」旨を両委員は訴えています。

もっとも、こうした「介護の魅力」PRの効果が生じるには、やはり一定の時間がかかります。このため、東委員らは「潜在介護福祉士の復帰支援」などにも注力するよう要請しています。介護福祉士の資格を持ちながら、様々な理由で現在は介護職についていない「潜在介護福祉士」に対して、厚労省はすでに復職支援に向けた取り組み(求人情報の提供、研修の紹介、再就職準備金貸付など)を行っています。これらの取り組みの強化も、今後の重要な検討テーマとなることでしょう。
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なお、こうした▼介護人材の確保・定着促進▼介護現場の革新―を全国一律に進めていくことは難しそうです。地方では「そもそも人がいない」、都会では「人はいるが、他業種との競争が厳しい」という具合に課題は異なるからです。大西秀人委員(全国市長会介護保険対策特別委員会委員長、香川県高松市長)や遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所長)は「地域特性を踏まえた異なる処方箋が必要である」点を確認しています。

「加算を取得すると、介護事業所の経営が厳しくなる」との現場の声も

このほか、武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)からは「要介護状態になることを防止すれば、介護者も少なくて済む。介護予防や重度化防止にも力を入れるべき」と、また桝田和平委員(全国老人福祉施設協議会介護保険事業等経営委員会委員長)は「加算を取得すると、却って事業所等の経営が厳しくなる状況を改善すべき」といったコメントをしています。

介護施設等の経営支援にも携わるグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンの湯原淳平シニアマネジャーは「区分支給限度基準額の中で、同じ介護サービス種類であれば、加算取得事業所とそうでない事業所とでは、後者のほうが利用回数・時間が多くなる(利用者は後者を選択しやすい)。介護事業所等では、加算取得が難しい」という問題をかねてより指摘しています。例えば限度基準額を10万円と仮定し、ある介護サービスの基本報酬を1万円、加算を1000円とすると、加算を取得しない事業所のサービスは月に10回利用できますが、加算取得事業所のサービスは保険内で賄うとすれば9回しか利用できません。この点、「多くの回数」を選択する利用者も少なくないのです。選択されなければ、加算取得事業所の収益は落ち込み、経営が厳しくなる可能性もあります。

桝田委員のコメントがこうした点に基づくものなのかは不明で、また「加算の取得が経営悪化につながる」というエビデンスもありませんが、こうした問題をどう解決していくかも、将来的な課題となるかもしれません。

   
 

 

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