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病院の保険診療については「消費税を課税化」し、補填過不足を完全解消せよ―四病協

2019.8.19.(月)

 病院においては、保険診療に関する消費税を課税化し、補填の過不足問題を完全解消すべき―。

 日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会の4団体で構成される四病院団体協議会(四病協)は8月9日に、こうした内容を盛り込んだ2020年度税制改正要望を根本匠厚生労働大臣に宛てて提出しました(日本病院会のサイトはこちら)(関連記事はこちらこちら)。

社会医療法人等の認定基準を見直し、訪日外国人への十分な医療提供を可能とせよ

 四病協の税制改正要望は、次の13項目です。
(1)社会保険診療報酬等の非課税に伴う控除対象外消費税の抜本的な解決
(2)医療機関に対する事業税特例措置の存続
(3)認定医療法人制度の実施期間延長および認定期限の緩和
(4)持ち分あり医療法人に係る相続税・贈与税の納税猶予・免除制度の創設
(5)社会医療法人に対する寄附金税制の整備および非課税範囲の拡大
(6)医療法人の法人税率軽減と特定医療法人の法人税非課税
(7)特定医療法人の存続と要件の緩和
(8)訪日外国人向け医療提供体制の整備と医療税制の整合性確保
(9)介護医療院への転換時の改修等に関する税制上の支援措置の創設
(10)中小企業関係設備投資減税の医療界への適用拡大
(11)病院用建物等の耐用年数の短縮
(12)社団医療法人の出資評価の見直し

 多岐にわたるため、ポイントを絞って眺めてみましょう。

 まず(1)は、診療報酬プラス改定では「控除対象外消費税の補填の過不足」が解消できないことを重視し、病院において「保険診療にも消費税を課税する」よう求めるものです。この点、日本医師会は「診療報酬での対応の精緻化により控除対象外消費税問題は解消した」との立場をとっており、四病協では「病院の控除対象外消費税問題」に絞った要望をしています。医療界で「足並みが揃っていない」点を与党の税制調査会などがどう受け止めるのか、年末にかけての動きに注目が集まります。

 
 また、(6)(7)は▼医療法人の法人税率を公益法人等の収益事業並みに引き下げる(現在の23.2%から19%へ引き下げる)▼特定医療法人制度を存続し、その法人税を非課税とする(現在の19%から非課税へする)―ことなどを求めています。

 
 また(8)では、本年(2019年)開催のラグビーワールドカップや、来年(2020年)開催の東京オリンピック・パラリンピックなどにより、我が国を訪れる外国人が増加する(当然、外国人の傷病者も増加する)ことを睨み、社会医療法人等の「制約」を見直すよう求めるものです。

 訪日外国人に医療提供を行った場合、基本的に「自由診療」となり、通訳等にかかるコストについて、「費用を別途請求する」ことや「診療報酬の単価を1点15円や20円などにする」ことなどが考えられます。しかし、社会医療法人・特定医療法人・認定医療法人では、「全収入の80%以上が保険診療収入であること」「自費診療の患者にも、診療報酬と同じ基準で計算した費用を請求すること」などの、いわば「制約」があります。これでは、「通訳等に係るコスト増」を賄うことができないことから、何らかの対応をとるよう四病協は要望しているのです。

 
 一方、(9)では病院の病棟・病室を介護医療院へ転換した場合に、建物等取得価額について「30%の特別償却または7%の税額控除を認める」こと、固定資産税・不動産取得税の減免等の支援措置を行うことを求めます。介護医療院への転換では、例えば「パーティション等による個室化」などの改修が必要となり、コスト回収をしやすくすることが必要なためです。

 
 さらに(10)では、「中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づいて、一定の設備を新規取得した場合、即時償却または10%(出資金3000万円超の法人では7%)の税額控除を認める」との特例について、病院の検査機器・手術機器なども対象にすることなどを求めています。

   
 

 

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