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オンコール時間を労働時間に含めるのか、副業等の労働時間をどう扱うのか、早急に明確化を―日病・相澤会長(1)

2019.3.26.(火)

 医師の働き方改革に関し、病院経営の面で非常に重要になるのが「宿日直の取り扱い」である。厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」では、「使用者の明示・黙示の指示で、労働者が業務に従事する時間」は労働時間であるとの議論がなされているが、例えば、呼び出しに備え自宅で待機(オンコール)している時間も、使用者の指示に基づく待機であることから「労働時間」として扱うのだろうか。そういった点を明確にしてほしい―。

 日本病院会の相澤孝夫会長は3月22日に定例記者会見を開き、こうした要望を与党である公明党厚労部会の高木美千代部会長に示したことを明らかにしました。

3月26日の定例記者会見に臨んだ、日本病院会の相澤孝夫会長(社会医療法人財団慈泉会相澤病院理事長)

3月26日の定例記者会見に臨んだ、日本病院会の相澤孝夫会長(社会医療法人財団慈泉会相澤病院理事長)

 

待機時間、使用者の指示を受けての待機だが、自由に過ごせる点をどう考えるのか

 「医師の働き方改革に関する検討会」の議論が大詰めを迎え、3月中に意見を取りまとめることになっています。

 例えば、36協定を労使で結んだとしても超過できない時間外上限を、原則年960時間、地域医療確保のための特例年1860時間とすることや、医療界を挙げてタスク・シフティングを進め、医師の労働時間を短縮していくことなどの方向性が固まってきています(関連記事はこちらこちらこちら)。

そうした中で「宿日直」については、「業務がまばらである」などとして労働基準監督署長の許可を得た場合には、労働基準法上の労働時間等に関する規定が適用されません(労働時間と見做されなくなる)。ただし、許可基準は1949年(昭和24年)のもので「定時巡回、異常事態の報告、少数の要注意患者の定時検脈、検温などの業務が稀で、一般的に見て睡眠が十分にとりうる場合には宿直を認めるが、その業務時間は割増し賃金を支払うこと」などとされ、現在の医療現場にマッチしません。このため、厚生労働省は「4月以降に改正を行う」考えを明確にしています(関連記事はこちら)。

この点、ある時間が労働時間に該当するのか、労働時間外と扱われるのかが、極めて重要となります。例えば、夜間の当直が労働時間としてカウントされれば、前述の960時間や1860時間の中に含まれますが、労働時間外と扱われれば、それは960時間・1860時間の外となるためです。

労働時間の定義として「使用者の指揮命令下におかれている時間、つまり使用者の明示・黙示の指示により労働者が業務に従事する時間」とされていますが、例えばオンコール時間(呼び出しに対応するための自宅待機時間)はどのように扱うのだろうか、と相澤会長は疑問を呈します。

緊急患者等で呼び出されてから診療に従事する時間は「労働時間である」ことに疑いはありませんが、待機時間については、「使用者の指示を受けている」点を考慮すれば「労働時間」に該当しそうですが、「待機時間の多くは自由に過ごせる」ことを考えれば一律に労働時間と扱うことに疑問も生じます。さらに、病棟で当直をする場合にも類似の疑問が生じます。相澤会長は「こうした点を早急に明確にする必要がある」と強調しています。

 
 また、医師の働き方改革では、副業・兼業をどう取り扱うのか、という問題も生じます。厚労省は、一般則(一般労働者の副業・兼業の取り扱い)の議論を行っており、そこでの結論を踏まえて「医療の特殊性を踏まえた対応」を検討する考えを示しています。

 この点についても相澤会長は、▼特に大学病院に勤務する若手医師は、市中病院でのアルバイト(当直等)収入が大きな生活の基盤となっている▼アルバイトを受け入れる派遣先の市中病院においては、当直体制等の確保に若手医師のアルバイトが欠かせない▼派遣元となる大学病院との経営は「アルバイトを行っている医師が、アルバイト収入を含めて生活している」ことから、成り立っている―という実態があることを強調。

 その上で、例えば「副業・兼業」(アルバイト)の時間を単純に労働時間として合算(通算)するのか、別の取扱いとするのかを慎重に検討すべきと指摘しています。単純な合算(通算)となれば、上記のように多くの関係者に大きな影響がでることでしょう(若手医師はアルバイトが大幅に制限され、収入が減少する可能性がある。市中病院では当直体制確保が非常に難しくなる。大学病院等においても人件費が大幅に増加する、など)。とくに労働時間の長い若手医師がアルバイトをする機会が多く、その影響は甚大と考えられます。
 
 「医師の働き方改革に関する検討会」では、こうした点については結論を出さず、別途の検討に委ねる見込みです。しかし医療提供体制の確保にとっては、これらも極めて重要な問題であり、今後の検討内容に注目が集まります。

 
 なお、時間外労働上限などは5年後(2024年4月から)に適用され、今後5年の間に、全医療機関で労務管理の見直し(まず36協定を締結するところから)や労働時間の短縮を進める必要があります。この点についても、相澤会長は「労働基準監督署の指導等において、医療現場に大きな混乱が生じないよう、医療現場の意見を十分に考慮することが必要」と訴えています(関連記事はこちら)。

 
 

 

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