人件費・材料費の高騰で入院患者への食事提供コストも高まり、病院・業者を圧迫―四病協
2019.9.26.(木)
日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会の4団体で構成される「四病院団体協議会」(四病協)は9月25日に総合部会を開き、「入院医療における食事」問題について議論しました。
入院医療においては、「食事」も栄養補給として重要な治療の1要素となります。このため、医療保険からも「入院時食事療養費」が給付されます(一般的なケースでは「1食当たり640円の食費を、患者が460円、医療保険が180円と分担して負担」する)。
しかし、人件費や材料費の高騰により、この金額ではコストを賄い切れず、「給食提供」が困難になっているといいます。
四病協では9月25日の総合部会において、病院や介護施設などに給食を提供する業者で組織される「日本メディカル給食協会」から意見聴取。そこでは、「2008年には食事提供に係る人件費は703円であったが、2018年には874円に高騰。さらに材料費(食材費)も高騰し、現在の入院時食事療養費では賄いきれず、このままでは業務を継続できなくなってしまう」という窮状が報告され、「四病協などから厚生労働省に働きかけを行ってほしい」との要望が出されたといいます。
この問題については、従前より各病院団体でも重視。例えば、業者が廃業などして食事委託ができなくなった場合に、病院が自ら調理スタッフ等を確保することは極めて難しく、総合部会では「セントラルキッチン方式を採用するなどの大規模化してはどうか」という意見も出ていますが、この場合には「輸送費が高くつく」という別の課題に直面することになります。
現時点で妙案はなく、総合部会終了後に記者会見を行った日本精神科病院協会の長瀬輝諠副会長は、個人的な考えであると前置きをしたうえで、「9月26日に開かれる日本病院団体協議会でも議論になるのではないか。患者負担増に転嫁しない方法が考えられないか、2020年度の次期診療報酬改定に向けた要望項目の中に盛り込む可能性もある」と見通しています。
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