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2021年度予算、新型コロナ対策、病院の消費税問題解消、働き方改革支援、病院給食問題の研究支援などを―四病協

2020.6.9.(火)

日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会で構成される四病院団体協議会(四病協)は6月5日に、来年度(2021年度)予算の概算要求に向けて、加藤勝信厚生労働大臣と赤羽一嘉国土交通大臣に宛てて要望書を提出しました(日病のサイトはこちら(厚労相宛て)こちら(国交相宛て、内容は厚労相宛てと同じ))。

四病協の要望書は、(1)新型コロナウイルス感染症対策(2)消費税への対応(3)働き方改革への対応(4)医療従事者の能力向上への対応(5)介護施設・介護従事者への対応(6)地域医療介護総合確保基金の拡充(7)医療機関のICT化支援(8)国際化への対応(9)障害保健福祉の充実(10)災害対策の充実(11)調査研究の推進―の11項目に及びます。ポイントを絞って眺めてみましょう。

新型コロナで逼迫する病院経営の下支えや、感染防止策への財政的支援を

新型コロナウイルス感染症の影響で、病院経営が極めて厳しい状況にあることはGem Medでもお伝えしてきているとおりです。このため(1)では、▼感染防護用品(マスクやガウンなど)・衛生用品の確保▼医療従事者への感染リスク対応▼医療機関の経営破綻防止▼「感染症対策基金」の創設―を求めました。

新型コロナウイルス感染症の影響で「収益の減少(患者減、手術減、ベッド減など)」「コストの増加(感染防止対策の徹底や高度医療機器の確保など)」が生じており、日病・全日病・医法協の調査では「全国ベースでは3分の2、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる東京都の病院では9割が赤字に陥っている」ことが分かっています。これを放置すれば医療機関は「倒産」「廃業」を余儀なくされ、今後の第2波、第3波に対応できなくなってしまいます。そこで四病協では「医療機関の経営破綻を防ぎ、医療体制を維持・確保するため、診療報酬上の配慮を含めた財政的補助」を強く求めています(関連記事はこちら(追加報告)こちら(最終報告)こちら(速報))。

関連して、感染防止に取り組む医療機関に対する「診療報酬上の評価」を行うほか、▼医療従事者が感染した場合の補償▼医療従事者から家族に感染が及んだ場合の補償―を行うよう求めています。

さらに、今後もこのような大規模な新興感染症が発生することを想定し、「必要な時に、柔軟性のある財政的支援(事後的な経費支弁)が可能な基金」などを創設するほか、▼診療報酬の増額▼地域医療構想のベッド数見直し―も要望しています。

なお地域医療構想に関しては、▼がんや心血管系疾患、脳卒中など急性期医療の診療実績が特に少ない▼近隣にこうした診療に関する実績が類似する病院がある―公立・公的等医療機関(当初は424病院、その後、440程度に拡大)について、「公立・公的等医療機関でなければ果たせない役割を地域で果たしているのか」の視点で機能を改めて検証し、必要に応じて機能分化やダウンサイジングも含めた再編・統合を検討することが求められています。この検討期限について、当初は「2020年9月まで」(機能見直しは3月まで)とされていましたが、藤厚労省は6月5日に「新型コロナウイルス感染症対策を最優先していただく。その状況も見据えながら、時期・進め方についても改めて整理していく」旨を述べ、実質的に「先送りする」考え加を示しています。新型コロナウイルス感染症収束後に、公立・公的等医療機関が果たしてきた役割なども踏まえて、改めて「地域医療の在り方や医療機能の分化・連携の強化」を検討していくことが求められるでしょう(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちら)。

病院の控除対象外消費税、「課税化」を含めた解消の検討を

また(2)の消費税に関しては、かねてからのいわゆる「控除対象外消費税問題」への対応を求めています。

保険診療に関しては消費税非課税とされていることから、医療機関等が納入業者から物品等を購入する際に支払った消費税は、患者や保険者に転嫁することはできず、医療機関等が最終負担をしています(いわゆる【控除対象外消費税】)。消費税率が引き上げられれば、医療機関等の負担も大きくなってしまうため、この負担増を補填するための特別の診療報酬プラス改定(以下、消費税対応改定)が行われるのです。

2019年度の税率引き上げ(8%→10%)時に診療報酬による精緻な対応(▼医療機関等種類別の補填の過不足を可能な限り小さく抑えるため、病院の種類別に「収益に占める入院料等の割合」を見て配点する▼2014年度の消費税対応改定(消費税率5%→8%)をリセットし、「5%→10%」への対応を改めて行う―など)が行われました。これを受けて日本医師会は「控除対象外消費税問題は解決した」と見ています。

しかし、診療報酬上の対応をどれだけ精緻に行ったとしても、医療機関ごとに▼点数算定の状況▼物品等購入の状況―は異なるため「過不足のない対応」(医療機関が負担した控除対象外消費税を過不足なく診療報酬で賄う)ことは不可能です。とりわけ物品購入の量・金額が大きな急性期病院では、消費税負担が大きくなり、「依然として控除対象外消費税、いわゆる損税が生じる」可能性が高くなります。

このため四病協では「病院において、保険診療にも消費税を課税する」(例えばゼロ%の消費税を課すことで還付が可能となり、理論上、過不足は完全に解消される)ことを継続要望しています。今般も▼原則課税化を含め、引き続き控除対象外消費税問題の検討を進める▼検討のための実態調査・調査研究を補助する―ことを求めています。

働き方改革推進に向け、医師や医療従事者増員のための費用補助等を

(3)の働き方改革については、「医師の健康確保」と「地域医療提供体制の確保」を両立するために、2024年4月から、すべての勤務医について、次のような新たな時間外労働の上限規制が適用されることとなっています。

▼原則として「年間960時間以下」を上限とする【いわゆるA水準】
▼救急医療をはじめとする5疾病・5事業など地域医療に欠かせない医療機関【いわゆるB水準】や、研修医など集中的に多くの症例を経験する必要がある医師【いわゆるC水準】では、「年間1860時間以下」までに上限が緩和を緩和する
▼医療機関は勤務医について「28時間までの連続勤務時間制限」「9時間以上の勤務間インターバル」などの追加的健康確保措置を講じる

制度の詳細に関する「医師の働き方改革の推進に関する検討会」論議については、現在、新型コロナウイルス感染症対策を最優先するために「一時停止」されている状況ですが、▼医師の健康確保は極めて重要である▼制度施行の期限が決まっている(2024年4月スタート)―ことから、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえながら、「制度の詳細に関する議論の早期再開」と合わせて、各医療機関において「働き方改革」(例えば労働時間の管理やタスク・シフティングなど)を進めていくことが重要となる点に変わりはありません(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちら こちら)。

このため四病協では、来年度(2021年度)予算において、次のような対応をとるよう求めています。

▽医師確保に係る診療報酬以外の予算措置(地域医療提供体制を確保しながら、勤務医の労働時間を短縮するためには、当然、「医師の増員」が不可欠となる)

▽タスク・シフティング(例えば医師からメディカルスタッフへの業務移管)、タスク・シェアリング(例えば同職種による業務の共同化)に要する医療人材の確保・育成に係る財政的補助(業務移管を受けるメディカルスタッフに対し、医療安全を確保するために、ひつような研修を医療機関が実施することなどが必要となる)

▽医療人材(介護・介助職員等)の処遇改善への予算確保

▽ナースステーション、処置室、カンファレンスルーム、看護師等宿舎、院内保育施設等の整備(医師からの業務移管先として看護職が中心となることはもちろん、看護職はすでに多忙であることから、医師を含めた医療従事者の働き方改革では「看護職の確保」が重要ポイントとなる)

▽仕事と家庭の両立支援の推進(看護職員等再就職支援事業)(離職した潜在看護師等について、スキルアップや不安解消のための研修を医療機関等が行う必要がある)

▽医療従事者の育児休暇に係る財政的補助(子育てと仕事の両立支援が、医療従事者の離職防止等のために極めて重要であることは論を待たず、▼育児休業や、その後の職場復帰に係る財政的支援▼育児休業中の代替職員確保支援―などが必要となる)

電子カルテの標準化経費、病院の給食問題研究などの支援を

また(6)の地域医療介護総合確保基金に関しては、▼財源確保と公私の隔たりなき財源配分▼病床ダウンサイジング支援の充実―の2点を要望。

さらに(7)では、「電子カルテの標準化等に係る初期導入経費」への補助などを求めました。この点、2019年度予算では「医療情報化支援基金」が創設され、標準的な電子カルテを導入する医療機関に経費補助が行われることとなっています(関連記事はこちら)。現在、厚労省の検討会「健康・医療・介護情報利活用検討会」で「電子カルテの標準化」(ただし統一規格を設けるのではなく、ミニマムな部分を定める形となる見込み)に向けた検討が進められています(今夏(2020年夏)に、PHR(患者、国民が自身の健康情報等を確認できる仕組み)などと合わせて工程表を策定する)(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

四病協では、「措置の確実な実施」と「医療機関における初期導入経費への補助」を求めています。



このほか、(11)で、▼「病院給食に関する抜本的な構造転換に係る研究」の支援▼病院業務に係るタイムスタディ調査―を要望している点が目を引きます。

前者については、人件費や材料費の高騰により、入院時食事療養費(一般的なケースでは「1食当たり640円の食費を、患者が460円、医療保険が180円と分担して負担」する)では、病院給食のコストを賄い切れず、「給食提供」が困難になっている課題の解決を目指すものです。

四病協では、▼病院給食業務に係る作業内容の見直し▼院内で取り扱う食種の集約▼新調理システム(セントラルキッチン方式、急速冷却調理・加工機使用など)―などを進めると同時に、「地域の実情」を踏まえた給食システムの抜本改革が必要とし、調査研究費を支援することを求めています(関連記事はこちらこちら)。

あわせて後者では、病院の各部門の機能とコストを明確化するために、例えば▼初診患者(紹介状なし、紹介状あり)の初回来院時にどのような職種がどれだけの時間(人件費)をかけて対応しているのか▼入院前支援のために、どのような職種がどれだけの時間をかけて対応しているのか―といった事例の研究補助を要請しています。



ぽんすけ2020

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