2020年度診療報酬改定、院内調剤と院外処方の格差是正し病院薬剤師業務の適切な評価を―日病協
2019.10.1.(火)
日本病院会・日本精神科病院協会など15の病院団体で構成される「日本病院団体協議会」(日病協)は9月26日に代表者会議を開き、10月早々にも厚生労働省に宛てて「2020年度の次期診療報酬改定に向けた要望」(第2弾)を提出することを決めました。
代表者会議終了後に記者会見を行った長瀬輝諠議長(日本精神科病院協会副会長)は、要望内容の詳細は明かさなかったものの、「院内調剤と院外処方の格差」に言及。代表者会議では、「院内調剤の報酬が低すぎ、薬剤師の人件費捻出すらできない。一方、調剤薬局、とりわけ大規模チェーン薬局では利益率が高い。このため、薬剤師給与についても『調剤薬局>病院等』となり、病院に薬剤師が来てくれない。この窮状をどうにかすべき」旨の声が全員から上がったことを紹介しています。
2018年度の前回診療報酬改定に向けた第21回医療経済実態調査(医療機関等調査、2017年実施)では、医療機関の利益率は1-2%程度(医療法人病院では税引き後で1.4%)にとどまるものの、20店舗以上をもつ調剤薬局チェーンでは10%超(税引き後で10.5%)となっており、利益率に大きな格差があります(厚生労働省のサイトはこちら)。
中央社会保険医療協議会はもちろん、診療報酬改定の基本方針の策定論議を始めた社会保障審議会・医療部会でも9月19日の会合で、例えば「病院薬剤師の業務を適切に評価し、院内調剤と院外処方の格差を是正すべき」などの意見が委員から数多く出されており、2020年度次期改定における重要テーマの1つとなりそうです(関連記事は こちらとこちら)
また代表者会議では「入院時食事療養費の在り方」も議論となりました。前日(9月25日)に開催された四病院団体協議会(日病、日精協、全日本病院協会、日本医療法人協会の4団体で構成)の総合部会と同様に、「日本メディカル給食協会」から意見聴取を行い、入院時食事療養費の在り方を検討。
この点について相澤孝夫副議長(日本病院会会長)は、「入院時食事療養費は2006年度の診療報酬改定以降、据え置かれているどころか、加算がなくなったために実質的には減額となっている。一方で、その後の消費税率引き上げや人件費・材料費の高騰により、委託業者(日本メディカル給食協会の会員)はもちろん、病院の給食部門も大きな赤字となってしまっている(委託費の引き上げも難しい)。入院患者に食事を提供すればするほど赤字が嵩む状況はどう考えてもおかしい」と指摘。日病協代表者会議でも「2020年度の次期診療報酬改定で適切な対応を求めるべき」との点で一致したことが報告されました(関連記事はこちら)。
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日病協、16年度報酬改定に向け「病棟群単位の入院基本料」要望を固める
16年度診療報酬改定に向け「病棟群単位の入院基本料」要望へ―日病協
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日病が「特定行為研修を修了した看護師」の育成拡大をサポート―日病・相澤会長(2)
オンコール時間を労働時間に含めるのか、副業等の労働時間をどう扱うのか、早急に明確化を―日病・相澤会長(1)
医師の働き方改革論議、「地域医療をどう確保するか」などの議論なく遺憾―日病・相澤会長
「我が国の医療のあり方」を腰を据えて考えなければ、いずれ諸問題が大噴火―日病・相澤会長
勤務医の労働と研鑽との切り分け、「あまりに非現実的」―日病・相澤会長
新専門医制度は「地域で必要とされる優れた臨床医の養成」に主眼を置くべき―日病・相澤会長
消費税問題、税率が20%、30%に上がることも踏まえ「抜本的な対応」も検討すべき―日病・相澤会長
急性期入院医療の評価指標は「看護必要度」でよいのか、再検討が必要―日病・相澤会長
医師確保対策は進めるべきだが、支援病院要件の見直しは拙速を危惧―日病・相澤会長
急性期入院基本料の再編、診療実績に応じた評価は賛成だが、看護必要度には疑問も—日病・相澤会長
10月10日から【病院総合医】育成プログラム申請を受け付け—日病・相澤会長、末永副会長
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卒後6年以上の医師を対象に、2018年度から「病院総合医」養成開始—日病
働き方改革に向け、1年かけて独自に「勤務医の働き方」などのデータ収集—日病・相澤会長
「原点回帰し、新しい未来を創造」、新執行部披露会で相澤日病会長
変えるべきは変え、守るべきは守り、未来へと進む―日病、新会長に相澤孝夫氏を選出
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適切なデータから、各病院が「地域の状況」と「等身大の姿」を把握してほしい―日病・相澤会長インタビュー(1)
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