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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

医療事故調査制度の正しい理解のため、医療機関等の管理者は「研修」受講を―厚労省

2021.3.9.(火)

2015年10月からスタートした「医療事故調査制度」について正しい知識を得、正しく理解するために、我が国で唯一の医療事故調査・支援センター(医療機関等から事故報告を受け付ける機関、以下「センター」)に指定されている「日本医療安全調査機構」等の開催する研修会に、医療機関等の管理者が出席してほしい―。

また、医療機関等の管理者は、医療事故調査制度に関し▼センターの相談受け付け事業の利活用▼医療事故調査等支援団体の利活用▼院内の事故把握体制整備▼遺族へのわかりやすい説明―などにとりわけ留意してほしい―。

厚生労働省は3月3日に事務連絡「医療事故調査制度に関する管理者向け研修への参加の推進等について」を示し、こうした点への協力を都道府県や医療機関等に要請しました。

センターの相談事業や医療事故調査等支援団体、積極的に利活用を

2015年10月から、すべての医療機関等(病院、診療所、助産所)には、「管理者(院長など)が予期しなかった、医療に起因し、または起因すると疑われる死亡・死産」のすべてをセンターに報告する義務が課せられています【医療事故調査制度】。事故の原因・背景を詳しく調査・分析して「再発防止策」を構築し、それを医療現場に広く共有することにより医療安全を確保・向上させることが目的です(制度創設に関する記事はこちら、制度改正に関する記事はこちらこちら)。

医療事故調査制度は、次のような流れで進められます。

▽医療事故が発生した場合、医療機関等の管理者(院長など)は、速やかにセンターへ事故発生を報告する

▽事故が発生した医療機関等が「自ら」事故原因を調査【院内調査】し、調査結果をセンターに報告する

▽当該医療機関等は、調査結果に基づいて事故の内容や原因を遺族に説明する(調査結果報告書の提示までは義務付けられていない)

▽センターで事故事例を集積、分析し具体的な再発防止策などを構築し、公表する

医療事故調査制度の概要



医療事故調査制度が正しく運用されるためには、医療事故調査に関する業務に携わる者、医療機関等の管理者(院長など)が「制度に関する正確な知識と理解」を有していることが不可欠です。上述のように、本制度は「医療事故を起こしてしまった医療機関等からの報告」に始まり、「医療事故を起こしてしまった医療機関等の院内調査」が制度の中心となるなどのためです。

このために本事務連絡では、▼医療事故調査・支援センター(医療安全調査機構)が実施する研修▼医療事故調査等支援団体(日本病院会、日本医師会など)の開催する研修―を、医療機関等の管理者が積極的に受講することを強く要請しました。医療事故調査・支援センターの「第1回研修」は3月6日にWEB形式で開催済ですが、3月13-31日までオンデマンド配信がなされています(センターのサイトはこちら)。



あわせて事務連絡では、医療事故調査制度に関し、医療機関等の管理者がとりわけ留意すべき点を次のように整理しています。

●センターでの「匿療機関からの医療事故の判断に関する相談」受け付け

→センターへ報告しなければならない医療事故は、医療機関等で生じたすべての死亡・死産事例ではなく、死亡・死産事例のうち「管理者(院長などの)が『予期せず』、かつ『医療に起因し、または起因すると疑われる』もの」に限定される。「どこまでが予期された医療事故なのか」の判断は難しく、医療現場では「不幸にも患者が死亡したが、報告すべき医療事故に該当するのだろうか?」という疑問が生じる。そこで、医療機関等の事例について、センターに所属する複数の医師・看護師が合議で事故内容を協議し、医療機関に助言する仕組みを設けている



●医療事故調査等支援団体の活用

→診療所や助産所などの小規模施設では「自前で院内調査を実施することが難しい」ケースもあることから、「医療事故調査等支援団体」による支援を受けられる仕組みが用意されている(医療事故調査等支援団体等の一覧はこちら(センターのサイト)

→「医療事故調査等支援団体」は、▼医療事故の判断に関する相談▼院内調査の手法に関する相談・助言▼報告書作成に関する相談・助言(医療事故に関する情報の収集・整理、報告書の記載方法など)▼院内事故調査委員会の設置・運営に関する支援(委員会の開催など)▼解剖、死亡時画像診断に関する支援(施設・設備等の提供を含む)▼院内調査に必要な専門家の派遣―などを行う



●病院等における死亡・死産の把握のための報告体制確保

→医療法施行規則第1条の10の2第4項では、病院等の管理者に対し「医療事故調査報告を適切に行うため、当該病院等における死亡・死産の確実な把握のための体制を確保する」ことを求めている。各病院等では、この体制確保が求められる



●遺族等へのわかりやすい説明の実施

→遺族等から「センターに報告すべき医療事故ではないか」との申し出があり、「報告すべき医療事故には該当しない」と判断した場合には、遺族等に対してその理由をわかりやすく説明する必要がある(医療機関等からの説明に遺族等が納得いかない場合には、遺族等はセンターに相談することが可能である)



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医療事故に該当するかどうかの判断基準統一に向け、都道府県と中央に協議会を設置―厚労省
医療事故調査制度、早ければ6月にも省令改正など行い、運用を改善―社保審・医療部会

医療事故調査制度の詳細固まる、遺族の希望を踏まえた事故原因の説明を―厚労省



中心静脈穿刺は致死的合併症の生じ得る危険手技との認識を—医療安全調査機構の提言(1)
急性肺血栓塞栓症、臨床症状に注意し早期診断・早期治療で死亡の防止—医療安全調査機構の提言(2)
過去に安全に使用できた薬剤でもアナフィラキシーショックが発症する—医療安全調査機構の提言(3)
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胆嚢摘出術、画像診断・他診療科医師と協議で「腹腔鏡手術の適応か」慎重に判断せよ—医療安全調査機構の提言(5)
胃管挿入時の位置確認、「気泡音の聴取」では不確実—医療安全調査機構の提言(6)
NPPV/TPPVの停止は、自発呼吸患者でも致命的状況に陥ると十分に認識せよ―医療安全調査機構の提言(7)
救急医療での画像診断、「確定診断」でなく「killer diseaseの鑑別診断」を念頭に―医療安全調査機構の提言(8)
転倒・転落により頭蓋内出血等が原因の死亡事例が頻発、多職種連携で防止策などの構築・実施を―医療安全調査機構の提言(9)
「医療事故再発防止に向けた提言」は医療者の裁量制限や新たな義務を課すものではない―医療安全調査機構
大腸内視鏡検査前の「腸管洗浄剤」使用による死亡事例が頻発、リスク認識し、慎重な適応検討を―医療安全調査機構の提言(10)
「肝生検に伴う出血」での死亡事例が頻発、「抗血栓薬内服」などのハイリスク患者では慎重な対応を―医療安全調査機構の提言(11)



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