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診療報酬改定セミナー2022 新型コロナ対策

人口100万人あたり医療事故報告件数、4年連続で宮崎県がトップ―日本医療安全調査機構

2021.3.25.(木)

医療事調査告制度が2015年10月にスタートしてから2020年末までに1931件の医療事故が報告され、うち84.3%で院内調査が完了している。都道府県別に「人口100万人当たり事故報告数」を見ると、2017年・18年・19年に続き、2020年も宮崎県が最多となるなど、依然として大きな地域差がある―。

日本で唯一の医療事故調査・支援センターに指定されている日本医療安全調査機構が3月22日に公表した2020年の「医療事故調査・支援センター 年報〈事業報告〉」から、こうした状況が明らかになりました(機構のサイトはこちら)(2019年年報の記事はこちら)。

大規模病院ほど1床当たり事故件数が多い状況に変化なし

2015年10月から、医療機関の管理者(院長など)に対して「予期しなかった『医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産』」のすべてをセンターに報告することが義務付けられています【医療事故調査制度】。この制度は「医療事故の再発防止」を目的としたもので、事故事例を集積・分析する中で「具体的な再発防止策などを構築」していくことがセンターに課せられた重要な役割の1つとなっています。

センターは、これまでに次の13本の医療事故再発防止策を提言しています。
◆過去の提言に関する記事
(1)中心静脈穿刺合併症に係る死亡の分析―第1報―
(2)急性肺血栓塞栓症に係る死亡の分析
(3)注射剤によるアナフィラキシーに係る死亡事例の分析
(4)気管切開術後早期の気管切開チューブ逸脱・迷入に係る死亡事例の分析
(5)腹腔鏡下胆嚢摘出術に係る死亡事例の分析
(6)栄養剤投与目的に行われた胃管挿入に係る死亡事例の分析
(7)一般・療養病棟における非侵襲的陽圧換気(NPPV)及び気管切開下陽圧換気(TPPV)に係る死亡事例の分析
(8)救急医療における画像診断に係る死亡事例の分析
(9)入院中に発生した転倒・転落による頭部外傷に係る死亡事例の分析(関連記事はこちら
(10)大腸内視鏡検査等の前処置に係る死亡事例の分析
(11)肝生検に係る死亡事例の分析
(12)胸腔穿刺に係る死亡事例の分析
(13)胃瘻造設・カテーテル交換に係る死亡事例の分析



また医療事故報告の状況も毎月、迅速に公表しており。今般、「2020年1年間の状況」が年報としてまとめられました。

まず、報告された医療事故の件数を見ると、2020年の1年間で324件、1か月平均で27件となりました。2019年に比べて13.2%減、2018年に比べて14.1%減、2017年に比べて12.4%減、2016年に比べて20.2%減となっており、新型コロナウイルス感染症の影響が色濃く出ていることを確認できます。

医療事故報告件数の推移(2020年医療事故年報1 210322)



324件の事故報告を病床規模別に分類すると、▼400-499床:58件(全体の17.9%、前年に比べて5.3ポイントシェアが上昇)▼300-399床:54件(全体の16.7%、同じく2.1ポイントのシェア低下)▼500-599床:35件(全体の10.8%、同じく3.3ポイントのシェア上昇)―などとなりました。やや「大規模病院で事故報告が増加している」と見ることもできますが、「大きな変化はない」と考えるべきでしょう。

また無床クリニックからの事故報告は、2016年:5件 → 17年:5件 → 18年:4件 →19年:3件と減少していましたが、2020年には6件に増加しています。



次に「1床当たりの報告件数」で見てみると、例年同様「大規模病院で死亡事故が多い」状況を再確認できます。報告すべき医療事故は「予期しなかった死亡事例」であり、「大規模病院で重症患者を多く受け入れている」ことがこの背景にあるとは考えにくく、より詳細な分析が待たれます。

病床規模別の1床当たり医療事故発生状況(2020年医療事故年報2 210322)

人口100万人当たりの医療事故、2020年も宮崎県が最多

制度発足(2015年10月)から2020年12月までに報告された事故は合計1931件あります。これを都道府県別に「人口100万人当たり医療事故報告件数」として見ると、全国平均では年間2.9件(前年から0.1件減少)ですが、▼宮崎県:5.5件(前年に比べて0.4件減)▼三重県:5.3件(同0.7件増)▼京都府:4.9件(同0.5件減)▼熊本県:4.9件(同0.1件増)―などで多くなっています。上位県については、順位に変動はありますが、顔触れに変わりはありません。宮崎県は4年連続で「最多」となっています。

逆に、▼福井県:1.2件(同0.3件減)▼山梨県:1.4件(同増減なし)▼鹿児島県:1.7件(同増減なし)―などで報告件数が少なく、「地域間の格差」があることが分かります。

地域別の医療事故の状況(2020年医療事故年報3 210322)



なお、「事故報告件数が多い=医療安全に問題がある」と一概に言うことはできません。事故を正しく報告している医療機関・地域では報告数が多く、少ない医療機関・地域では適切な報告を行っていない、という可能性も否定できないためです。地域間格差の要因を詳しく分析し、対策を立てることが重要です。

医療事故の起因となった医療内容、手術が全体の5割を占め開腹手術が最多

事故の起因となった医療内容を見ると、▼分娩を含む手術:157件(全体の48.5%、前年に比べて6.7ポイントシェア上昇)▼処置:55件(同17.0%、同3.3ポイントシェア上昇)▼輸血を含む投薬・注射:19件(同5.9%、同2.4ポイントシェア低下)▼徴候・症状の診察:17件(同5.2%、同1.0ポイントシェア低下)―などが多くなっています。

医療事故の内訳(2020年医療事故年報4 210322)



また、手術の内訳としては、▼開腹手術:27件(手術の17.2%、前年に比べて手術に占めるシェアが1.2ポイント上昇)▼経皮的血管内手術:22件(同14.0%、同7.8ポイント低下)▼開胸手術:19件(同12.1%、同4.4ポイント上昇)▼腹腔鏡下手術:19件(同12.1%、同0.1ポイント低下)―などが多くなっています。

手術に関する事故の内訳(2020年医療事故年報5 210322)

事故発生報告から院内調査結果報告までの期間、2020年は平均396.6日に延伸

「事故発生(患者死亡)から院内調査結果報告までの平均期間」は396.6日で、前年から9.1日延伸しています。これを「事故発生から発生報告まで」と「発生報告から院内調査結果報告まで」とに分けて見てみると、前者は80.0日(前年に比べて23.6日延伸)、後者は316.6日(同4.6日短縮)で、前者の「発生報告まで」の期間が延びていることが分かります。

もっとも2020年には「新型コロナウイルス感染症」という特殊要因があり、その点を踏まえた「院内調査期間の延伸・短縮に関する分析」を行う必要があります。

事故発生から院内調査結果報告までの期間(2020年医療事故年報6 210322)



なお、事故発生から院内調査までの期間が12か月以上を要しているケース(85件、前年に比べて7件増加)について、その理由を見てみると、「委員会開催のための日程調整に時間を要している」が25件で最多となりました。前年に比べて倍増しており、新型コロナウイルス感染症の影響で「日程調整が困難になっている」要素もあると考えられます。外部(医師会や病院団体、大学病院など)による更なる支援の充実に期待が集まります。

院内調査スピードは増加傾向、解剖・Aiを用いた調査も増加

医療事故調査は「まず、事故を報告した医療機関で行う」ことが求められます。調査の中で「院内の体制やルール、遵守状況などに問題がある」ことなどに自ら気づくことで、効果的な再発防止策(普遍的な再発防止策ではない)につながると考えられているためです。

2020年に完了した院内調査は355件(前年よりも9件減)で、制度発足からの累計では1627件となりました。2020年12月までに報告された1931件の医療事故のうち84.3%で院内調査が完了しています。前年から5.1ポイント増加しています。

また、調査において「解剖」や「Ai(Autopsy imaging:死亡時画像診断)」を行っているケースは、2020年には▼解剖:36.9%(前年から1.3ポイント減)▼Ai:34.4%(同0.3ポイント増)となり、いずれか、あるいは双方を活用した調査を実施している医療機関は全体の57.7%に上っています(前年から0.6ポイント増)。

剖検・Aiの状況(2020年医療事故年報7 210322)



さらに外部委員の院内調査への参加状況を見ると、2019年は86.5%で参加があり、前年から0.6ポイント上昇しています。新型コロナウイルス感染症の影響で日程調整が困難な状況ですが、地域の病院会や医師会、大学病院などの外部委員が「事故原因の究明」に力を注いでいる状況が伺えます。

センターへの調査依頼、2020年は遺族から22件、医療機関から5件

医療事故調査制度のベースは「事故が発生した医療機関での院内調査」となりますが、遺族や医療機関からセンターに調査を依頼することも可能です。遺族が院内調査の結果等に納得できない場合や、小規模な医療機関で十分な調査体制を整えられないようなケースが考えられます。ここでは「院内調査が適切に行われているか」という視点で調査が行われます。

センターへの調査依頼件数は2020年には27件あり、前年から6件減少しました。内訳は、遺族から22件(依頼全体の81.5%、前年より6.4ポイントシェア低下)、医療機関から5件(同18.5%)となっています。従前と同様に「遺族からの調査依頼」が多い点に変化はありません。遺族からの調査依頼の理由を見ると、「院内調査結果(治療や死因など)に納得できない」が圧倒的多数を占め、この状況も前年から変わっていません。

センターへの相談件数、2020年は前年比21.6%

医療事故調査制度の報告対象は「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産」のうち「管理者が予期しなかったもの」とされていますが、現場では判断に迷うケースも少なくありません。

このためセンターには数多くの相談が寄せられます。2020年の1年間になされた相談件数は1610件で、前年に比べて21.6%と大幅に減少しました。1か月当たりの相談件数は平均で134件強です。新型コロナウイルス感染症の影響がここにも出ていると考えられます。

医療機関からの相談が45.2%で、前年から3.6ポイント上昇。遺族などからが54.8%となりました。遺族などからの相談は「報告対象の判断」が圧倒的ですが、制度発足前の死亡事故(報告対象ではない)も半数超あり、制度への正しい理解が求められます。

相談件数の推移(2020年医療事故年報8 210322)

遺族等の相談内容(2020年医療事故年報9 210322)



ぽんすけ2020MW_GHC_logo

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2016年7月に報告された医療事故は32件、制度開始からの累計で317件―日本医療安全調査機構
2016年6月に報告された医療事故は34件、制度開始からの累計では285件―日本医療安全調査機構
制度開始から半年で医療事故188件、4分の1で院内調査完了―日本医療安全調査機構



医療事故に該当するかどうかの判断基準統一に向け、都道府県と中央に協議会を設置―厚労省
医療事故調査制度、早ければ6月にも省令改正など行い、運用を改善―社保審・医療部会

医療事故調査制度の詳細固まる、遺族の希望を踏まえた事故原因の説明を―厚労省



中心静脈穿刺は致死的合併症の生じ得る危険手技との認識を—医療安全調査機構の提言(1)
急性肺血栓塞栓症、臨床症状に注意し早期診断・早期治療で死亡の防止—医療安全調査機構の提言(2)
過去に安全に使用できた薬剤でもアナフィラキシーショックが発症する—医療安全調査機構の提言(3)
気管切開術後早期は気管切開チューブの逸脱・迷入が生じやすく、正しい再挿入は困難—医療安全調査機構の提言(4)
胆嚢摘出術、画像診断・他診療科医師と協議で「腹腔鏡手術の適応か」慎重に判断せよ—医療安全調査機構の提言(5)
胃管挿入時の位置確認、「気泡音の聴取」では不確実—医療安全調査機構の提言(6)
NPPV/TPPVの停止は、自発呼吸患者でも致命的状況に陥ると十分に認識せよ―医療安全調査機構の提言(7)
救急医療での画像診断、「確定診断」でなく「killer diseaseの鑑別診断」を念頭に―医療安全調査機構の提言(8)
転倒・転落により頭蓋内出血等が原因の死亡事例が頻発、多職種連携で防止策などの構築・実施を―医療安全調査機構の提言(9)
「医療事故再発防止に向けた提言」は医療者の裁量制限や新たな義務を課すものではない―医療安全調査機構
大腸内視鏡検査前の「腸管洗浄剤」使用による死亡事例が頻発、リスク認識し、慎重な適応検討を―医療安全調査機構の提言(10)
「肝生検に伴う出血」での死亡事例が頻発、「抗血栓薬内服」などのハイリスク患者では慎重な対応を―医療安全調査機構の提言(11)



人口100万人あたり医療事故報告件数、2017・18・19と宮崎県がトップ、地域差の分析待たれる―日本医療安全調査機構