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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

悪性腫瘍遺伝子検査の「処理が複雑なもの」(5000点)に肺がんRET融合遺伝子検査追加など―厚労省

2021.12.10.(金)

悪性腫瘍遺伝子検査の「ロ 処理が複雑なもの」(5000点)に、肺がんRET融合遺伝子検査を追加する―。

角膜上皮幹細胞疲弊症の患者に対して、新たな再生医療等製品「自家培養口腔粘膜上皮」移植を行った場合の診療報酬算定ルールを明確にする―。

【頭蓋内腫瘍摘出術】や【内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術】を実施するに当たり、同一手術室内で術中MRI撮像をした場合は、K939【画像等手術支援加算】の「1 ナビゲーションによるもの」とN003【術中迅速病理組織標本作製(1手術につき)】の合算点数算定を可能とする―。

厚生労働省は11月30日に通知「『診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について』等の一部改正について」を発出し、こうした考えを明らかにしました。12月1日から適用されています(厚労省のサイトはこちら)。

悪性腫瘍遺伝子検査の「ロ 処理が複雑なもの」に肺がんRET融合遺伝子検査を追加

今回の通知では、次の3本の通知が改正されています。新たな医療機器の保険適用がなされたことなどを踏まえ、技術料である診療報酬についても、それに合致するように算定ルールを一部見直すものです。
(A)診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(2020年3月5日付、保医発0305第1号)
(B)特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項について(2020年3月5日付、保医発0305第9号)
(C)特定保険医療材料の定義について(2020年3月5日付、保医発0305第12号)



本稿では(A)のうち「医科」に焦点を合わせます。

まず、D004-2【悪性腫瘍組織検査】について留意事項の見直しが行われました。

【悪性腫瘍組織検査】のうち「1悪性腫瘍遺伝子検査」は、次のように細かく区分され、それぞれに点数が設定されています。
▽イ 処理が容易なもの
(1)医薬品の適応判定の補助等に用いるもの:2500点
(2)その他のもの:2100点
▽ロ 処理が複雑なもの:5000点

このうち「ロ 処理が複雑なもの」とは、これまで下に掲げる遺伝子検査をさし、使用目的・効果として「医薬品の適応を判定するための補助等に用いるもの」として薬事承認・認証を得ている体外診断用医薬品・医療機器を用いて、次世代シーケンシング等により行う場合に算定できるとさています(その他の方法で悪性黒色腫におけるBRAF遺伝子検査を行う場合は、2022年3月31日までの間に限り、上記「イ」の「(2) その他のもの」を算定できる)。
(ア)肺がんにおけるBRAF遺伝子検査、METex14遺伝子検査
(イ)悪性黒色腫におけるBRAF遺伝子検査(リアルタイムPCR法)
(ウ)固形がんにおけるNTRL融合遺伝子検査

今般、(ア)の肺がんについて、新たに「RET融合遺伝子検査」も「ロ 処理が複雑なもの」(5000点)の対象に含めることになりました。

肺がんでは▼BRAF遺伝子検査▼METex14遺伝子検査▼RET融合遺伝子検査—の3検査について「ロ 処理が複雑なもの」(5000点)の算定が可能なことになります。ただし、患者から1回に採取した組織等を用いて同一がん種に対して「ロ 処理が複雑なもの」に掲げる上記検査を実施した場合は、検査の項目数に応じて▼2項目であれば8000点▼3項目以上であれ1万2000点—を算定することになる点に留意が必要です。

角膜上皮幹細胞疲弊症に「自家培養口腔粘膜上皮」移植を行う場合のルールを明確化

今年(2021年)9月15日の中央社会保険医療協議会・総会において、新たな再生医療等製品「オキュラル」(ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社)の保険適用が承認されました。角膜上皮幹細胞疲弊症の患者において、「患者自身の口腔粘膜組織を採取」→「分離した口腔粘膜上皮細胞を培養」→「シート状に形成して患者自身に使用」する「自家培養口腔粘膜上皮」です。

本製品の保険適用がこの12月1日(2021年12月1日)であり、保険診療の中で本製品を使用した角膜上皮幹細胞疲弊症治療を行う場合の留意事項が整理されたものです。

具体的には、角膜上皮幹細胞疲弊症の患者に対して、再生医療等製品である「自家培養口腔粘膜上皮」移植を行う場合にはK259【角膜移植術】(5万2600点)を算定することが可能です(角膜上皮幹細胞疲弊症の患者に対して「自家培養角膜上皮」移植を行う場合も同点数の算定が可能)。

なお、「自家培養口腔粘膜上皮」移植の実施に際し、▼口腔粘膜組織採取のみに終わり角膜移植術に至らない場合にK423【頬腫瘍摘出術】の「1 粘液嚢胞摘出術」の所定点数(910点)を準用して算定する▼「自家培養口腔粘膜上皮移植を行った医療機関」と「口腔粘膜組織採取を行った医療機関」とが異なる場合には、前者「自家培養口腔粘膜上皮移植を行った医療機関」で診療報酬請求を行い、両医療機関の合議で診療報酬の分配を行う―との考えも明らかにされています。



また、▼K169【頭蓋内腫瘍摘出術】の「2 その他のもの」(13万2130点)▼K171-2【内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術】(「1 下垂体腫瘍」:11万970点、「2 頭蓋底脳腫瘍(下垂体腫瘍を除く)」:12万6120点)を実施するに当たり、同一手術室内において術中にMRIを撮像した場合は、K939【画像等手術支援加算】の「1 ナビゲーションによるもの」(2000点)およびN003【術中迅速病理組織標本作製(1手術につき)】(1990点)の合算点数(2000+1990=3990点)を準用して算定可能になったことも明確にされました。

この場合、▼関係学会の定める「術中MRIガイドライン」を遵守しなければならない▼MRIに係る費用は別に算定できる▼K939【画像等手術支援加算】の「1 ナビゲーションによるもの」の「注」規定(算定対象手術の限定規定)は適用しない―旨も明らかにされています。



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