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医療費・介護費の膨張抑えるためにも、「急性期病院での寝たきり」防止策に力点を置くべき—日慢協・橋本会長(1)

2022.12.9.(金)

高齢化の進展に伴って医療費・介護費が増加する中で、その費用を「より所得のある高齢者にも負担してもらおう」という議論が社会保障審議会で進んでいる。しかし、それと同時に「医療費・介護費の膨張を抑えるために、寝たきり高齢者・重度の要介護者の発生を防止する方策」論議にも力を入れるべきではないか—。

寝たきり高齢者・重度の要介護者の一定割合は急性期病院で作られている実態があり、そこに手を入れるのが本質・根本ではないか—。

日本慢性期医療協会の橋本康子会長が12月8日に定例記者会見を開き、こうした考えを強調しました。

なお、同日には「仮に、回復期リハビリテーション入院料に疾患別リハビリテーション料が包括された場合には、患者の状態や資源投入量などを踏まえた、きめ細やかな点数設定が必要である」旨の考えも橋本会長から示されました。こちらは別稿で報じます。

12月8日の記者会見に臨んだ、日本慢性期医療協会の橋本康子会長

寝たきり高齢者・重度の要介護者の一定割合は急性期病院で作られている

医療保険改革、介護保険改革論議が進んでいます。

医療保険改革については、社会保障審議会・医療保険部会において、例えば▼「75歳以上の後期高齢者」と「74歳未満の現役世代」とで医療費負担の伸びが同程度になるように、後期高齢者の保険料を引き上げる仕組みとする▼「75歳以上の後期高齢者」について、世代内で「公平な負担」となるように、「より経済能力の高い者」(=高所得者)に、より多くの保険料負担をお願いする(保険料(税)額の【賦課限度額】(上限額)について現在の66万円から80万円に引き上げる▼75歳以上の後期高齢者にも「出産育児一時金の財源」の一部を負担してもらう—などの方向が固まりつつあります(関連記事はこちらこちら)。

他方、介護保険改革については、社会保障審議会・介護保険部会において、例えば▼介護老人保健施設や介護医療院でも多床室の室料負担を求めてはどうか▼2割負担(一定所得以上)・3割負担(現役並み所得)の対象者を拡大してはどうか▼65歳以上の1号被保険者の中でも、より高所得の人には「より多くの保険料」負担をお願いしてはどうか―などの検討が行われています(関連記事はこちら)。

医療・介護はそれぞれ別の場で議論されていますが、いずれも「高齢者の負担増」を求める内容が重要議題に上がっています。医療・介護ともに「高齢者の負担増」を柱とする制度改革が行われるため、今年末(2022年末)に同時に結論を出せば「高齢者に幾重もの負担増を強いる」として政治(政府与党)への風当たり強くなることでしょう。このため「結論を出す時期を分け、小出しに負担増を示していく」方向も検討されているようです。

こうした高齢者負担増の背景には「これまでの『負担は現役世代中心、給付(サービス)は高齢者中心』の仕組みから、『能力に応じて負担し、必要に応じて給付する』全世代型社会保障を構築する」という考え方があります。この考えを政府与党自らが声高に提唱してきたのですから、具体案を出す今になって「高齢者に負担を求めると国民の批判を浴びてしまう」と恐れたり、「小出しにして、批判を分散させよう」と姑息とも思える手段を考える必要などはないように思われますが、実際にはそうもいかないようです。

高齢者の中にも「所得が高く、高額な資産を持っている人」がいる一方で、現役世代の中にも「カツカツの生活を送っている」人もおり、「能力に応じて負担し、必要に応じて給付する」という考え方には合理性があります。一方、「今の議論は、高齢者vs現役世代の対立を煽りすぎている。今の現役世代も、将来は高齢者となる。今、現役世代の負担軽減・高齢者の負担増を行えば、将来の高齢者(=今の現役世代)の負担を重くすることになる。拙速な議論は避けるべき」と指摘する有識者もおられ、こちらにも頷ける部分があります。今後、「我が国の社会保障はどうあるべきか」を改めて議論していく必要があるかもしれません。



そうした中で橋本会長は、「医療・介護費が膨張し、それを誰が負担すべきか」という議論ばかりが進むが、「医療・介護費の膨張を抑えるために何をすべきか」という議論を優先すべきと訴えました。

具体的に橋本会長は「医療費・介護費膨張の要因となっている寝たきりの高齢者、重度の要介護者をつくらないようにするべきである。実際に、寝たきり高齢者・重度の要介護者の一定割合は『病院』でつくられている。例えば、自宅で自立生活を送っていた高齢者が、転倒し骨折をした場合、急性期病院で骨折の治療を行うが、その際、全身管理が不十分で低栄養・脱水状態に陥り、寝たきり・重度の要介護状態に至るケースも一定割合ある。その負のスパイラルを断つことで、寝たきり高齢者・重度の要介護者の発生を防止でき、結果、医療費・介護費の伸びも一定程度抑えられる。医療者としては、そちらの方向に努力すべきだ。社会保障審議会では、こうした点が正面から議論されないが、本質・根本はそこだと思っている」旨を強調しました。

橋本会長はもちろん、武久前会長も「急性期病棟に介護職配置を義務付ける」「できるだけ早期に急性期から回復期・慢性期へ転院してもらい、全身管理(水分・栄養補給)を行ったうえで、早期のリハビリを実施する」ことが、寝たきり高齢者・重度の要介護者発生に極めて重要であると訴えています(関連記事はこちら)。こうした点も視野に入れた「全世代型社会保障」制度が構築されることに期待が集まります。



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