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診療報酬改定セミナー2022 診療報酬改定セミナー2022

1入院当たり包括報酬の導入など、医療提供体制改革と診療報酬改定とをセットで考えよ―財政審

2021.11.9.(火)

2022年度の次期診療報酬改定では、「改定率の在り方」から考え直す必要があるとともに、医療提供体制改革の進捗とセットで考える必要がある。医療提供体制改革を進めるためには、例えば1入院当たり包括支払い報酬などを検討する必要がある―。

かかりつけ医機能については法令等で要件を制度化し、診療報酬の安易な要件緩和は慎むべきである—。

11月8日開催された財政制度等審議会・財政制度分科会において、財務省はこういった考えを示しました。

すでに医療従事者の処遇改善を行えるだけの財源配分は行われている

医療保険制度、介護保険制度において財源の25%が国費です。▼医療技術の高度化(脊髄性筋萎縮症の治療薬「ゾルゲンスマ点滴静注」(1億6707万円)白血病等治療薬「キムリア」(3350万円)の保険適用など)▼少子・高齢化の進展(2022年度からは、いわゆる団塊の世代が後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が75歳以上に到達する。2025年度から2040年度にかけて高齢者の増加ペース自体は鈍化するが、現役世代人口が急速に減少していく)—などにより、医療費・介護費は増加すると見られ、その25%に相当する国費支出も増加を続けます。これが国家財政を圧迫していると強く指摘されています。

そこで財政制度分科会では、「国家財政を健全化させる(端的に入りを増やし、出を抑える)ために、医療費や介護費の伸びを我々国民の負担できる水準に抑える」方策の検討を進めているのです。

11月8日の財政制度分科会では、2022年度の次期診療報酬改定に向けた議論を行い、財務省からは診療報酬全体および医科について次のような考え方が提示されました。

(1)薬価のマイナス改定は「薬剤費総額がマイナスになっている」かのような印象を与えているが、「薬剤費の伸び率を5%程度から2%強に抑えている」に過ぎない。薬価改定を経てもなおもたらされている薬剤費総額の伸びが適正な⽔準か否か、拡⼤している医薬品市場の中での分配をいかにイノベーションの推進など必要な課題に振り向けていくかに焦点を当てるとともに、もう一段強力な薬剤費適正化の取り組みが必要である

(2)診療報酬本体のマイナス改定を続けることなくして医療費の適正化は到底図れない。まずは改定前の診療報酬本体の伸びが⾼⽌まりしているのであれば、躊躇なく「マイナス改定」をすべきである

(3)2022年度概算要求で医療費増(国費3600億円増)を要求しているが、診療報酬改定率に換算して「すでにプラス3.0%」の要求がなされていることになる。診療報酬本体ベース(医療費ベース)で5400億円増となる計算で、これは「すべての医療従事者の給与を2.5%引き上げられる」計算になる

(4)診療報酬の仕組みでは医療費のコントロールが行えず(算定回数を正確に見込むこと、コントロールすることはできない)、医療機関経営安定も困難である。サービス提供量を規定するための医療提供体制改革などが必須である

(5)医療機関マクロでは、2020年度に新型コロナウイルス感染症の影響に伴う医療費を補う以上の補助金収入を享受しており、2021年度に入っても医療機関の経営実態は近年になく好調である(この点を医療経済実態調査でとらえきれるか疑問であり、今後適切な「見える化」が必要である)

医療機関経営の状況(その1)(財政審1 211108)



(6)我が国の医療・福祉分野における労働分配率は他国に⽐べて相対的に低く、診療報酬・介護報酬をはじめ分配のあり⽅を⾒直す必要がある((3)のように財源上は処遇改善が十分可能だが、医療従事者への分配がなされていない)

医療機関経営の状況(その2)(財政審2 211108)



(7)(5)のように医療機関が補助⾦等による経営改善効果を⼤きく享受していながら、コロナ感染症に最前線で対応する看護師等の処遇改善につながっていないとすれば問題であり、実効的に現場の処遇改善につながる仕組みを模索する必要がある

(8)医療提供体制改⾰の進捗がないまま、あるいは改⾰の進⾏を視野に⼊れることなく、診療報酬改定を⾏う意義は乏しく財政資源の散財となりかねない(医療提供体制改⾰なくして診療報酬改定なし)

(9)規制的⼿法を含めた実体⾯の改⾰がないまま、診療報酬や補助⾦といった財政⽀援で医療機能の強化を図ることには限界がある。その際、地域医療構想の推進が、「必要な急性期病床を削減する」ものでなく、医療資源が散在している実情を是正し、真に急性期にふさわしい医療機能を果たす医療機関に医療資源を集約化するなどにより、新興感染症にも対応できる持続可能な医療提供体制を構築する取組であり、医療の質の向上をもたらすことの理解を得ていく必要がある

(10)たとえば平均在院⽇数を超えた在院⽇数のうち「素泊まり⼊院」による部分については入院料を算定不可とするなど、厳格化を⽬指すべき

入院医療改革の必要性(その1)(財政審3 211108)



(11)外来⼿術と入院手術との差異が解消されるよう「⼊院に係る診療報酬の適正化」が図られるべきである

(12)現在のDPC制度下でもなお医療機関には在院⽇数を⻑期化するインセンティブが働いており、「在院期間の標準化を⽬指す」「適切な治療を受けるための転院・自宅等への退院を成果として評価していく」仕組みとすべきである。さらに個別の報酬設定の問題にとどめることなく、▼1⼊院当たり包括報酬の本格導⼊▼包括払い対象の急性期⼊院医療からの本格的拡⼤—を視野に⼊れるべきである

入院医療改革の必要性(その2)(財政審4 211108)



(13)フリーアクセスについて「必要な時に必要な医療にアクセスできる」という「質重視」のものに切り替えていく必要がある。このためには、かかりつけ医機能の要件を法制上明確化したうえで、これらの機能を担う医療機関を「かかりつけ医」として認定するなどの制度を設けることが必要である。かかりつけ医への診療報酬上の評価は包括払いが馴染む。かかりつけ医関連の診療報酬について算定要件等の安易な緩和は厳に慎むべきである。受診時定額負担について、「かかりつけ医以外の受診」に拡大し、外来医療の機能分化を促していくことが重要である

(15)働き方改革をサポートする診療報酬については、他の診療報酬上の評価との関係も整理が必要であり、全体として散漫な財政措置とならないようにしなければならない

働き方改革と診療報酬(財政審5 211108)



このうち(13)の「かかりつけ医の制度化」は、例えば健康保険組合連合会の提言と方向・内容を同じくするものです。また、受診時定額負担の拡大は「まず、かかりつけ医を受診する」という患者の流れ強化を目指すもので、従前からの財務省の考え方に沿うものです。

ただし、Gem Medでも指摘していますが、「かかりつけ医」に対する患者の考え、受け止めは人によってまさに千差万別です。ある患者は「赤髭先生」や「総合診療医」をイメージするかもしれません。別の患者は「内科のかかりつけ医は〇〇先生、整形外科のかかりつけ医は●●先生、眼科のかかりつけ医は◇◇先生」と複数のかかりつけ医を持っているかもしれません。またがんや難治性疾患と闘っている患者は「●●大学病院の●●疾患を専門とする▲▲先生がかかりつけ医である」と考えているかもしれません。

つまり、「●●の要素はかかりつけ医機能の1つと考えられる」「◇◇の要素もかかりつけ医の1つと言えそうだ」など、個々の「かかりつけ医機能」の要素を取り上げることはできますが、「●●や◇◇の全要素を全て備えた医師がかかりつけ医である」と「かかりつけ医像」の共通認識を作り上げることは極めて困難なのです(ある識者は、かかりつけ医の要件は「医師である」こと以上に限定できない、と冗談交じりに語っている)。

仮に一部関係者で「かかりつけ医の要件」を固めたとして、それが国民・患者の意識とマッチするかどうかは微妙であると言わざるを得ないでしょう。もう少し丁寧に議論を深めていく必要がありそうです。



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