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潰瘍性大腸炎の寛解維持目的でJ041-2【血球成分除去療法】を実施する場合のルールを設定―厚労省

2021.12.30.(木)

血球細胞除去用浄化器の使用方法が拡大され「潰瘍性大腸炎の寛解維持」目的使用が可能となった。これを受け、J041-2【血球成分除去療法】について、「潰瘍性大腸炎の寛解維持目的で実施する」場合の留意事項(診療報酬算定ルール)を新たに設定する―。

厚生労働省は12月28日に通知「『診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について』等の一部改正について」を発出し、こうした点を明らかにしました。来年(2022年)1月1日から適用されます。

血球細胞除去用浄化器の使用方法を拡大し「潰瘍性大腸炎の寛解維持」目的使用を可能に

今回の通知では、次の2本の通知が改正されています。医療機器の使用方法が拡大されたことを踏まえ、技術料である診療報酬についても、それに合致するように算定ルールを一部見直すものです。
(A)診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(2020年3月5日付、保医発0305第1号)
(B)特定保険医療材料の定義について(2020年3月5日付、保医発0305第12号)



本稿では(A)に焦点を合わせます。

今夏に、血球細胞除去用浄化器「アダカラム」(JIMRO社)について「潰瘍性大腸炎の寛解維持」目的の使用が可能となりました(承認事項の一部変更)。潰瘍性大腸炎は指定難病の1つ(告示番号97)で、一定の重症基準を満たす場合には医療費助成が受けられます。

これを踏まえJ041-2【血球成分除去療法】(1日につき2000点)について、新たな保険診療上の留意事項が設けられましたものです。

従前、本点数は▼潰瘍性大腸炎▼関節リウマチ(吸着式のみ)▼クローン病▼膿疱性乾癬▼関節症性乾癬患者—に対して次のアからオのように算定できることとされていました。

(ア)潰瘍性大腸炎の重症・劇症患者、難治性患者
→活動期の病態改善および緩解導入を目的として行った場合に限り、一連の治療につき10回を限度、ただし、劇症患者では11回を限度として算定できる。

(イ)薬物療法抵抗性の関節リウマチ患者
→臨床症状改善を目的として行った場合に限り、一連の治療につき1クールを限度として行い、1クールにつき週1回を限度として5週間に限って算定できる。当該療法の対象となる関節リウマチ患者は、活動性が高く薬物療法抵抗性の関節リウマチ患者、または発熱などの全身症状と多関節の激しい滑膜炎を呈し薬物療法抵抗性の急速進行型関節リウマチ患者で▼ 腫脹関節数6か所以上▼ESRが毎時50mm以上またはCRPが1dL当たり3mg以上—の2項目を満たす者とする

(ウ)栄養療法および既存の薬物療法が無効または適用できない大腸病変に起因する明らかな臨床症状が残る中等症から重症の活動期クローン病患者
→緩解導入を目的として行った場合に限り、一連の治療につき10回を限度として算定できる

(エ)薬物療法が無効または適用できない中等症以上の膿疱性乾癬患者
→臨床症状の改善を目的として行った場合に限り、一連の治療につき1クールを限度として行い、1クールにつき週1回を限度として5週間に限って算定できる

(オ)関連学会のガイドラインに準拠した既存薬物療法が無効または適用できない関節症性乾癬患者
→臨床症状の改善を目的として行った場合に限り、一連の治療につき2クール(1クールにつき週1回、5週間に限る)を限度として算定できる。ただし1クール終了時に治療効果を判定し、無効と判断されれば中止する



今般、上述した血球細胞除去用浄化器の使用方法が拡大されたことを踏まえ、新たに「潰瘍性大腸炎の寛解維持目的で血球成分除去療法を行う」場合の留意事項が(カ)として追加されました。具体的には次のような算定ルールが設けられています。

▽対象患者
→寛解期の潰瘍性大腸炎で既存の薬物治療が無効、効果不十分または適用できない難治性患者(厚生省特定疾患難治性炎症性腸管障害調査研究班の診断基準に基づく)

▽目的
→寛解維持

▽算定限度
→原則として、一連につき2週間に1回を限度として48週間に限り算定できる
→医学的な必要性があれば、一連につき2週間に2回以上、または48週間を超えた算定ができる(この場合は理由をレセプトの摘要欄に記載する)

▽その他の留意事項
→初回実施に当たっては、医学的な必要性をレセプトの摘要欄に記載する



潰瘍性大腸炎について、検査方法・治療方法が順次拡大されてきており、患者・家族にとっては朗報と言えるでしょう。



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