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訪問介護の基本報酬引き下げに在宅系介護事業所のほとんどが「反対」、訪問介護事業所の廃止・休止を懸念する声も—介護クラフトユニオン

2024.4.9.(火)

訪問介護の基本報酬が、この4月(2024年4月)から引き下げられたが、在宅系介護事業所のほとんどが「反対」している—。

基本報酬引き下げによって「訪問介護事業所の廃止・休止」が進むことを懸念する声も少なくない—。

介護業界労働者の労働組合である日本介護クラフトユニオンが3月28日、こうしたアンケート結果を公表しました(介護クラフトユニオンのサイトはこちら)。

基本報酬引き下げの一方で、介護職員等処遇改善加算の加算率がアップされているが・・・

2024年度の介護報酬改定では「訪問介護等の基本報酬」引き下げが行われました(関連記事はこちら)。

介護事業所の経営状況をサービス種類別にみると「訪問介護事業所では良好である」(2022年度決算では平均9.5%の利益が出ている)点を踏まえたものですが、訪問介護人材の不足が著しい点を踏まえて、基本報酬を引き下げる一方で、「新設する介護職員等処遇改善加算の加算率を充実する」「歯科医療機関等との連携を評価する口腔連携強化加算(1回50単位)を新設」などのプラス対応も図られています(関連記事はこちら)。

しかし、社会保障審議会・介護給付費分科会でも「訪問介護の基本報酬引き上げ」に対する疑問の声が出ており、今般、介護現場の声が「アンケート」という形で明らかにされました。次のような点が目を引きます。

▽訪問介護等の基本報酬引き下げには、在宅系介護事業所の84.3%が「反対」し、14.5%が「どちらかと言えば反対」している(合計99.2%が反対)

▽反対の理由としては、「基本報酬引き下げにより賃金も下がるのではないか思い、働く者のやる気がなくなる」「在宅介護推進方針から、施設介護方針に代わる印象を持つ」「せめて平均賃金レベルになるまで、介護事業所の運営が厳しくなることは避けるべき」「事業運営が継続できなくならないか心配である」「介護の量、質の低下が危惧される」などがあがっている



▽「処遇改善加算の加算率を高く設定し、事業収入全体では影響がない」(収入は減らない)との厚生労働省説明に、93.5%が「納得できない」と考えている

▽納得できない理由としては、「処遇改善加算は従事者に配分され、事業所収益は大幅にマイナスになると思う」「加算取得のためには、研修やミーティングなどの業務が増えてしまう」「引き下げと言われるだけで賃金に影響するイメージになる」「加算は基本報酬をベースにしており、基本報酬が下がれば加算も下がってしまう」「一部試算結果では『収益減』が生じている」など

▽納得できる理由としては、「賃金に影響がなければよい」「加算率を高くしたことで、事業収入全体に影響がでなければよい」など



▽処遇改善加算の加算率アップだけで人材確保可能かどうかについて、90.0%が「そうは思わない」と考えている

▽そう思わない理由としては、「それほど簡単ではない」「介護は大変な業務であるが、賃金が安いというイメージになりすぎている」「小規模事業所は倒産してしまうと思う」「労働環境の改善も必要である」「他産業との格差がまだまだある」など

▽そう思うとの理由としては、「人材不足は賃金の影響も大きい」「すべて解決はできないが、ある程度の確保はできる」など



▽基本報酬の引き下げによって、▼事業運営に不安を感じ、新しい人材が入ってこなくなる▼事業運営に不安を感じ、退職する人が増える▼賃金が引き下げられる▼事業所が廃止・休止となる▼処遇改善加算非対象者との賃金格差が広がる▼事業所が統合される▼単位が減り、利用者が増える—などの影響が予測されている

訪問介護の基本報酬引き下げで何が生じると考えるか(介護クラフトユニオン 240328)



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