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DPC等含めた後発品割合は80.0%に低下、後発品の供給不安・信頼不安は深刻―協会けんぽ

2022.1.19.(水)

協会けんぽにおけるジェネリック医薬品(後発品)の使用割合は、調剤・医科・DPC・歯科分の合計で昨年(2021年)9月末には80.0%に低下してしまった。前月からわずかに増加したが、一昨年(2020年)11月の水準に戻ってしまった形である―。

都道府県別に見ると「21都府県」において80%以上の新目標値が未達成で、状況は悪化している―。

協会けんぽを運営する全国健康保険協会が1月17日に公表した医薬品使用状況から、こういった状況が明らかになりました(協会のサイトはこちら)。後発品メーカーの不祥事による「後発品への信頼低下」、これに伴う「後発品の供給不安」によって確実にブレーキがかかっており、今後の「後発品推進」に大きな足かせとなっていることが確認できます。

協会けんぽ全体の後発品割合(調剤分)、昨年(2021年)9月には82.7%で前月・前々月と変わらず

▼医療技術の高度化(例えば脊髄性筋萎縮症の治療薬「ゾルゲンスマ点滴静注」(1億6707万円)白血病等治療薬「キムリア」(3350万円)などの超高額薬剤の保険適用が相次ぎ、さらにキムリアに類似した、やはり超高額な血液がん治療薬も次々に登場)、▼少子高齢化の進展(来年度(2022年度)から団塊世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が後期高齢者となる。その後2040年度にかけて高齢者の増加ペース自体は鈍化するが、現役世代人口が急速に減少する)などにより、我が国の医療保険財政は厳しさを増していきます。このため「医療費の伸びを、我々国民が負担できる水準に抑える」(医療費適正化)ための取り組みが欠かせません。

政府は、▼平均在院日数の短縮による入院医療費の適正化(入院基本料や特定入院料、DPCの包括点数は「1日当たり」の支払い方式であり、在院日数の短縮が入院医療費の縮減に効果的である)▼後発医薬品(ジェネリック医薬品、後発品)の使用促進による薬剤費の圧縮▼病院の機能分化推進と連携の強化▼地域差(ベッド数、外来受療率、平均在院日数など)の是正▼保健事業の充実による健康寿命の延伸―など、さまざまな角度から医療費適正化に向けて取り組んでいます。



主に中小企業の会社員とその家族が加入する「協会けんぽ」(運営者:全国健康保険協会)でも、積極的に後発品使用促進に取り組んでいます。たとえば医療機関を受診し、医薬品を処方された加入者個々人に宛てて「貴方の医薬品を先発品から後発品に切り替えれば、自己負担額が○○円軽減されます」といった通知を発出したり、毎月の後発品使用割合の公表などを行っています(前月の記事はこちら)。

1月17日に公表された昨年(2021年)9月末時点の後発品使用割合を見ると、調剤ベースでは82.7%で、前月から変わっていません。後発品メーカーの不祥事、それに伴う後発品の欠品などにより「後発品使用推進にブレーキがかかっている」状況が統計データに確実に現れていることが分かります。

調剤分に「医科・DPC・歯科」分を加えた保険診療全体の後発品割合は、▼2020年1月:78.6%▼2月:78.7%▼3月:78.7%▼4月:79.0%▼5月:78.7%▼6月:78.9%▼7月:78.5%▼8月:78.9%▼9月:79.2%▼10月:79.6%▼11月:80.0%▼12月:80.2%▼昨年(2021年)1月:80.3%▼2月:80.4%▼3月:80.4%▼4月:80.6%▼5月:80.6%▼6月:80.5%▼7月:80.0%▼8月:80.1%▼9月:80.0%―となりました。こちらも「ブレーキ」がかかっていることを確認できます。

協会けんぽの後発品割合、8月から9 月にかけても進んでいない(わずかに悪化の気配も)(協会けんぽの後発品割合(2021年9月)1 220117)

後発品割合80%をクリアできていないのは、東京都や大阪府など21都府県に増加してしまう

また都道府県別の後発品割合を見ると、依然として大きなバラつきがあります。「調剤・医科・DPC・歯科」分の後発品割合が最も高いのは沖縄県の88.6%(前月から0.2ポイント低下)、逆に最も低いのは徳島県で73.2%(同0.2ポイント低下)となっています。毎月の変動に一喜一憂するべきではありませんが、「最高」と「最低」でともに「後発品割合が低下している」点には不安を覚えます。

徳島県を含めて、「調剤・医科・DPC・歯科」分で後発品割合80%以上をクリアできていないのは、▼奈良県:75.1%(前月から増減なし)▼和歌山県:75.6%(同0.1ポイント上昇)▼高知県:76.1%(同0.2ポイント上昇)▼京都府:76.4%(同0.3ポイント低下)▼香川県:76.8%(同0.3ポイント低下)▼大阪府:77.1%(同0.1ポイント低下)▼愛媛県:77.2%(同0.1ポイント低下)▼広島県:78.4%(同増減なし)▼三重県:78.5%(同0.1ポイント低下)▼岐阜県:78.7%(同増減なし)▼岡山県:78.8%(同0.1ポイント上昇)▼東京都:78.9%(同0.2ポイント低下)▼愛知県:79.0%(同0.1ポイント低下)▼福井県:79.1%(同増減なし)▼茨城県:79.2%(同0.1ポイント低下)▼兵庫県:79.3%(同0.1ポイント低下)▼石川県:79.4%(同0.5ポイント低下)▼神奈川県:79.5%(同0.1ポイント低下)▼山梨県:79.9%(同0.1ポイント低下)▼栃木県:79.9%(同0.3ポイント低下)―の21都府県となりました。大分県が80%をクリアできましたが、山梨県と栃木県が再び「80%未達」に戻ってしまいました。全国各地に「後発品の供給不安」が広まっていることが伺えます。

後発品割合80%以上がクリアできていないのは、東京都や大阪府など21都府県に増加してしまった(協会けんぽの後発品割合(2021年9月)2 220117)



昨年(2021年)6月18日に閣議決定された骨太方針2021(経済財政運営と改革の基本方針2021)では、「後発医薬品の数量シェアを、2023年度末までに全ての都道府県で80%以上とする」との目標が確認されていますが、今の「後発品供給不安」が長引けば、新目標値達成にも黄信号がともりかねません。



厚生労働省医政局の経済課長も、事態を重くみて公開の審議会(中央社会保険医療協議会総会)で「後発品の信頼回復に向けて、業界の再編を検討する必要性もある」と異例の踏み込んだ発言も行っています。今後の動向を注視していく必要があります。



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