居宅療養管理指導に導入された「単一建物居住者」、詳細を明示―介護報酬改定疑義解釈(3)
2018.4.17.(火)
厚生労働省は4月13日に、2018年度介護報酬改定に関するQ&AのVol.3(疑義解釈その3)を公表しました(vol.1の記事はこちら、、vol.2の記事はこちら)。
Aさんに訪問診療、Bさんに訪問診療+居宅療養管理指導を同一月に行った場合は?
まず医師等による【居宅療養管理指導】について、2018年度改定では「単一建物居住者」という概念が導入されました。
これまで、同一日の同一の建物に居住する複数の利用者に居宅療養管理指導を行った場合に報酬を減額する仕組み(同一建物居住者)が設けられていましたが、「高い報酬を算定するために、わざわざ訪問日を変える」という歪みが生じていました。そこで、2018年度改定では「同じ暦月に、同一の建物に居住する利用者が何人であったか」に応じて報酬を設定する「単一建物居住者」の仕組みに変更することとなったものです(医療保険の在宅時医学総合管理料などと同じ考え方)。例えば医師が行う居宅療養管理指導であれば、単一建物居住者数が1人の場合には507単位、2-9人の場合には483単位、10人以上であれば442単位となります。
今般の疑義解釈では、この「単一建物居住者」に関して次のように取り扱うことが示されました。
▽医師・歯科医師が、「同じ建築物に居住する2人に対し、同一月中に2人に訪問診療を行う場合であって、1人(Aさん)には当該月に【訪問診療】のみ、もう1人(Bさん)には当該月に【訪問診療】と【居宅療養管理指導】を行う」場合には、Bさんに対する介護報酬の居宅療養管理指導は「単一建物居住者1人に対して行う場合」(Bさんに在宅時医学総合管理料を算定していなければ507単位、同管理料を算定していれば294単位)を算定する
▽利用者の都合などで「単一建物居住者複数人に対し、2回に分けて居宅療養管理指導を行わなければならない」場合には、「単一建物居住者複数人に対して行う」場合の居宅療養管理指導を算定する(医師が行う場合には、2-9人であれば483単位、10人以上であれば442単位)
▽「同じマンションに、同一月に同じ居宅療養管理指導事業所の別の医師、がそれぞれ別の利用者に居宅療養管理指導を行う」場合には、「単一建物居住者複数人に対して行う」場合の居宅療養管理指導を算定する(医師が行う場合には、2-9人であれば483単位、10人以上であれば442単位)
▽「同一月に、同一の集合住宅等に居住する2人の利用者に対し、居宅療養管理指導を行うにあたり、▼1人(Cさん)が要介護者▼もう1人(Dさん)が要支援者―である」場合には、要介護者Cさんには「単一建物居住者2-9人の場合の居宅療養管理指導費」(医師であれば483単位)を、要支援者Dさんには「単一建物居住者2-9人の場合の介護予防居宅療養管理指導費」(医師であれば483単位)を算定する。
▽単一建物居住者の人数は、住民票等の住所でなく「実際の居住地」で判断する
また2018年度改定では、厚生労働大臣の定める中山間地域等に所在し、訪問回数が少ない(医師であれば暦月の延べ訪問回数50回以下)居宅療養管理指導事業所が、通常の事業の実施地域を越えて居宅療養管理指導を行う場合には、報酬が10%上乗せされる【中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算】が新設されました。利用者が少数しかいない中山間地域等でも、適切な居宅療養管理指導を確保するための措置です。
この点について今般の疑義解釈では、「運営規定に定める通常の事業の実施地域を都道府県知事に届け出る必要はないが、一旦運営規程に定めた実施地域を変更する場合は、届け出る必要がある」ことが示されています。
リハビリ提供体制加算、「PT等25対1配置」の考え方を明示
2018年度改定では、通所リハビリの基本報酬を引き下げるとともに、▼25対1以上のPT・OT・ST配置▼リハビリテーションマネジメント加算(I)から(IV)のいずれかを算定—している通所リハビリ事業所を評価する【リハビリテーション提供体制加算】(リハビリ提供時間に応じて1回につき12-28単位)が新設されました。手厚いリハビリ専門職配置による、適切なリハビリ提供の推進を目指すものです。
今般の疑義解釈では、前者の「25対1以上のPT・OT・ST配置」について、「ケアプランにおいて位置付けられた通所リハビリのサービス提供時間帯を通じて25対1以上であればよい」ことが明確にされています。
なお、【介護予防通所リハビリテーション】ではリハビリマネジメント加算が新設され、その要件として、「新規にリハビリ計画を作成した利用者に対して、介護予防通所リハビリ事業所の医師、または医師の指示を受けたPT・OT・STが、当該計画に従い、介護予防通所リハビリを開始した日から1か月以内に、利用者宅を訪問し、診療、運動機能検査、作業能力検査等を行っていること」があります。
今般の疑義解釈では、「2018年3月31日以前から介護予防通所リハビリを利用し、2018年4月以降にリハビリンマネジメント加算を算定する」場合には、▼2018年3月31日以前に利用者宅を訪問し評価した記録があれば、2018年4月以降に改めての居宅訪問は必要ない▼2018年3月31日以前に利用者宅の訪問・評価記録がなければ、2018年4月以降、次回のリハビリ計画見直しの機会などを利用して居宅を訪問する必要がある―ことが示されました。もっとも前者(以前の訪問・評価記録がある)場合でも、利用者の状態や居宅の状況に変化がある場合は、必要に応じて利用者宅を訪問することが望ましいとされています。
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