Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
新型コロナ対策 症例Scope

診療放射線技師・臨床検査技師・臨床工学技士・救急救命士が実施可能な医行為の幅を拡大―医師働き方改革タスクシフト推進検討会

2020.12.14.(月)

医師の働き方改革で重要となる「タスク・シフティング」に向けて、▼診療放射線技師▼臨床検査技師▼臨床工学技士▼救急救命士―が実施可能な医行為の幅を広げる法令改正を行う—。

12月11日に開催された「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」(以下、検討会)で、こういった方針が了承されました。4職種の資格法改正案が、「医師働き方改革関連法案」の一部として次期通常国会へ提出される見込みです。

12月11日に開催された「第7回 医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」

4職種の資格法を改正し、一定の医行為を医師から移管可能とする環境を整える

2024年4月から、すべての勤務医に新たな時間外労働の上限規制が適用されます。原則として「年間960時間以下」が上限となりますが【いわゆるA水準】、救急医療など地域医療に欠かせない医療機関【いわゆるB水準】や、研修医など集中的に多くの症例を経験する必要がある医師【いわゆるC水準】では、「年間1860時間以下」までに上限が緩和されます。ただし、一般労働者と比べて「多くの医師が長時間労働に携わらなければならない」状況そのものは変わっておらず、医療機関の管理者(院長等)には、▼28時間までの連続勤務時間制限▼9時間以上の勤務間インターバル▼代償休息▼面接指導と必要に応じた就業上の措置(勤務停止など)―といった追加的健康確保措置を講じる義務が課されます【医師の働き方改革】



これを実現するためには、すべての医療機関で「労務管理の徹底」(いわゆる36協定の適切な締結など)や「タスク・シフティング等による労働時間そのものの短縮」などを進めていくことが強く求められます。

検討会では、後者のタスク・シフティング(医師から多職種への業務移管)を進めるために、「医師が実施している業務・行為のどの部分を、どの職種に移管可能か」「移管する場合には安全性等が最優先となるが、それを担保するためにどういった研修等が必要となるか」という視点で議論を続け、今般、取りまとめにいたったものです(途中、新型コロナウイルス感染症の影響で10か月ほど議論が中断)。

具体的には、▼要件1「資格付随業務」(原則として各資格法の資格定義とそれに付随する行為の範囲内であること)▼要件2「技術隣接業務」(その職種が担っていた従来の業務の技術的基盤の上にある隣接業務であること)▼要件3「安全性の担保」(教育カリキュラムや卒後研修などによって安全性を担保できること)―の3要件に照らして、「移管可能な業務・行為」と「移管先の職種」を選別。その結果、次の4職種に、一定の医行為実施を可能とする(医師からのタスク・シフティングを可能とする)法令改正を行うこととなりました。

ここで留意すべきは、これらの行為(医行為)を「必ず技師等に行わせなければならない」わけではなく、「技師等に移管できるような環境を整える」ものであるという点です。実際に当該業務・行為を技師等に行わせるか否かは、各医療機関で判断することになります。

【診療放射線技師】
〇造影剤を使用した検査・RI検査(放射性医薬品を用いる検査)のための静脈路確保
〇RI検査医薬品を注入するための装置接続と操作
〇RI検査医薬品投与終了後の抜針・止血
▽動脈路への造影剤注入装置接続(動脈路確保のためのものを除く)と操作
▽下部消化管検査(CTコロノグラフィ検査を含む)のための注入した造影剤・空気の吸引
▽上部消化管検査のために挿入した鼻腔カテーテルからの造影剤注入、造影剤投与終了後に鼻腔カテーテル抜去
〇医師・歯科医師が診察した患者に対する、その医師等の指示に基づく、医療機関以外の場所に出張して行う超音波検査

【臨床検査技師】
〇採血に伴う静脈路確保と、電解質輸液(ヘパリン加生理食塩水を含む)への接続
▽直腸肛門機能検査(バルーンおよびトランスデューサーの挿入(バルーンへの空気注入を含む)・抜去を含む)
▽持続皮下グルコース検査(検査のための機器装着・脱着を含む)
▽運動誘発電位検査・体性感覚誘発電位検査に係る電極(針電極を含む)の装着・脱着
▽検査のための経口・経鼻・気管カニューレ内部からの喀痰吸引採取
▽消化管内視鏡検査・治療における、医師立会いの下でも、生検鉗子を用いた消化管からの組織検体採取
〇静脈路を確保し、成分採血のための装置接続と操作、終了後の抜針・止血
〇超音波検査に関連する行為としての静脈路確保、造影剤接続・注入、造影剤投与終了後の抜針・止血

【臨床工学技士】
〇手術室等で生命維持管理装置を使用して行う治療における▼静脈路確保と装置や輸液ポンプ・シリンジポンプとの接続▼輸液ポンプ・シリンジポンプを用いた薬剤(手術室等で使用する薬剤に限る)投与▼当該装置や輸液ポンプ・シリンジポンプに接続された静脈路の抜針・止血―
▽血液浄化装置の穿刺針その他の先端部の動脈表在化・静脈への接続、動脈表在化・静脈からの除去
〇心・血管カテーテル治療における生命維持管理装置を使用して行う治療に関連する業務として、身体に電気的負荷を与えるための当該負荷装置操作
〇手術室での鏡視下手術における体内に挿入されている内視鏡用ビデオカメラの保持、術野視野を確保するための内視鏡用ビデオカメラ操作

【救急救命士】
〇現行法における「医療機関に搬送されるまでの間(病院前)に重度傷病者に対して実施可能な救急救命処置」の、救急外来(救急診療を要する傷病者が来院してから入院(病棟)に移行するまで(入院しない場合は帰宅するまで)に必要な診察・検査・処置等を提供される場)での実施

タスク・シフティング推進に向けて、4職種の実施可能業務を広げる法令改正を行う(医師働き方改革タスクシフト検討会1 201211)



救急救命士が医療機関で一定の医行為を実施することに強く反対する意見も一部ありますが、医療現場で医師の負担を軽減するために必要なものとして、これらの考え方は了承されています。



「〇」の業務・行為を当該職種に実施可能とするためには法律改正が必要となります(「▽」の行為は政省令改正で実施可能)。このため厚労省は、来年の通常国会へ「医師の働き方改革関連法案」として、医療法などとともに4職種の資格法改正案を提出する考えです。

ただし、法律改正がゴールではなく、またタスク・シフティングがゴールでもありません。ゴールは「医療の質を確保したうえで、勤務医の負担を軽減する」ところにあります。このため、裵英洙構成員(慶應義塾大学健康マネジメント研究科特任教授)は、▼医療の質の確保▼医師の労働時間短縮効果▼タスク・シフティングされた側(4職種)の労働時間(増加しないか否か)―の3つを指標に、事後のモニタリング等を行うことを提案。永井良三座長((自治医科大学学長)も「患者のメリットを含め、さまざまなデータを見て、今後の議論につなげていく必要がある」との考えを示しました。これを受けて厚生労働省も様々な機会をとらえたフォローアップを行う考えを明示しています。

また権丈善一構成員(慶應義塾大学大学院商学部教授)は「国民への丁寧な周知」が重要であると強調します。これまで医師が行ってきた業務・行為が多職種に移管された場合、患者・家族サイドに何らの説明がなければ不安を感じるケースもあるでしょう。この不安が「医療機関へのクレーム」となる可能性も否定できず、そうなればタスク・シフティングは実際には進んでいきません。制度的対応はもちろん、各医療現場においても十分かつ丁寧な説明が行われることが求められます。

なお、上述のとおり安全性確保のために、4職種には「一定の研修」等が必要となるケースが出てきます。その詳細については、改正法案の成立を待って進められることとなるでしょう。

医療機関トップや各専門職の「タスク・シフティングに向けた意識改革」が重要

このほか、▼患者への説明と同意の取得▼各種書類の下書きや仮作成▼患者の誘導▼各職種に既に認められている行為(例えば研修を受けた看護師による特定行為など)の推進―なども、併せて進めていくことを検討会では確認しています。

法令改正以外にもタスク・シフティング推進に向けた取り組みを進めることが重要(医師働き方改革タスクシフト検討会2 201211)



さらに、医師や医療機関の管理者(院長など)が「タスク・シフティングを進めていこう」と意識改革をすることも重要です。専門職種は「この業務は我々が行うものである。我々のテリトリーである」という意識・考えに縛られ、自らの業務を他職種に任せることに非常に後ろ向きです。このために「既に各職種に認められている行為」の実施が進まず、また検討会での議論も長引きました。

冒頭に述べた「医師の働き方改革」では、いわゆるB水準医療機関等には「勤務医の労働時間短縮に向けた取り組みの推進」が求められており、「労働時間短縮に消極的である」と判断された場合にはB水準指定が適わない可能性もあります。今から「意識改革」を行っていくことが重要でしょう。

さらに検討会ではタスク・シフティング推進に向けて、「全国の好事例」を横展開とするとともに、「失敗事例の共有」なども行っていくことを確認しています。

ぽんすけ2020MW_GHC_logo

【関連記事】

放射線技師に静脈路確保など認める法令改正、メディカル・スタッフが現に実施可能な業務の移管推進―医師働き方改革タスクシフト推進検討会
技師・技士による検査や医薬品投与のための静脈路確保など認めてはどうか―医師働き方改革タスクシフト推進検討会
医師から他職種へのタスク・シフティング、教育研修や実技認定などで安全性を確保―医師働き方改革タスクシフト推進検討会
医師から他職種へのタスク・シフティング、「B・C水準指定の枠組み」に位置付けて推進―医師働き方改革タスクシフト推進検討会
診療放射線技師による造影剤注入や臨床検査技師による直腸機能検査など、安全性をどう確保すべきか―医師働き方改革タスクシフト推進検討会
医師から他職種へのタスク・シフティング、「業務縮減効果大きく、実現しやすい」業務から検討―医師働き方改革タスクシフト推進検討会



現行制度の整理・明確化を行うだけでも、医師から他職種へのタスク・シフティングが相当進む―厚労省ヒアリング
医師から他職種へのタスク・シフティング、特定行為研修推進等で医療の質担保を―厚労省ヒアリング
フィジシャン・アシスタント(PA)等、医師会は新職種創設に反対するも、脳外科の現場医師などは「歓迎」―厚労省



医師の働き方改革論議が大詰め、複数病院合計で960時間超となる「連携B」水準に注目―医師働き方推進検討会
医師働き方改革の実現に向け、厚生労働大臣が国民全員に「協力」要請へ―医師働き方改革推進検討会(2)
地域医療確保のために「積極的に医師派遣を行う」病院、新たにB水準指定対象に―医師働き方改革推進検討会(1)
医師労働時間短縮計画、兼業・副業先の状況も踏まえて作成を―医師働き方改革推進検討会
医師働き方改革の実現に関し大学病院は「医師引き上げ」せず、地域医療機関の機能分化推進が鍵―厚労省
2018年の【緊急的な取り組み】で超長時間労働の医師はやや減少、残業1920時間以上は8.5%に―厚労省
長時間勤務医の健康確保の代償休息、「予定された休日の確実な確保」でも良しとすべきか―医師働き方改革推進検討会
B・C水準指定の枠組みほぼ固まるが、医療現場の不安など踏まえ「年内決着」を延期―医師働き方改革推進検討会
医師の兼業・副業で労働時間は当然「通算」、面接指導等の健康確保措置は主務病院が担当―医師働き方改革推進検討会
B・C指定に向け、医師労働時間短縮状況を「社労士と医師等」チームが書面・訪問で審査―医師働き方改革推進検討会
高度技能習得や研修医等向けのC水準、「技能獲得のため長時間労働認めよ」との医師の希望が起点―医師働き方改革推進検討会(2)
地域医療確保に必要なB水準病院、機能や時短計画、健康確保措置など7要件クリアで都道府県が指定―医師働き方改革推進検討会(1)
2021年度中に医療機関で「医師労働時間短縮計画」を作成、2022年度から審査―医師働き方改革推進検討会(2)
長時間勤務で疲弊した医師を科学的手法で抽出、産業医面接・就業上の措置につなげる―医師働き方改革推進検討会(1)
1860時間までの時間外労働可能なB水準病院等、どのような手続きで指定(特定)すべきか―医師働き方改革推進検討会



医師・看護師等の宿日直、通常業務から解放され、軽度・短時間業務のみの場合に限り許可―厚労省
上司の指示や制裁等がなく、勤務医自らが申し出て行う研鑽は労働時間外―厚労省

医師働き方の改革内容まとまる、ただちに全医療機関で労務管理・労働時間短縮進めよ―医師働き方改革検討会

医師の時間外労働上限、医療現場が「遵守できる」と感じる基準でなければ実効性なし―医師働き方改革検討会
研修医等の労働上限特例(C水準)、根拠に基づき見直すが、A水準(960時間)目指すわけではない―医師働き方改革検討会(2)
「特定医師の長時間労働が常態化」している過疎地の救急病院など、優先的に医師派遣―医師働き方改革検討会(1)

研修医や専攻医、高度技能の取得希望医師、最長1860時間までの時間外労働を認めてはどうか―医師働き方改革検討会(2)
救急病院などの時間外労働上限、厚労省が「年間1860時間以内」の新提案―医師働き方改革検討会(1)
勤務員の健康確保に向け、勤務間インターバルや代償休息、産業医等による面接指導など実施―医師働き方改革検討会(2)
全医療機関で36協定・労働時間短縮を、例外的に救急病院等で別途の上限設定可能―医師働き方改革検討会(1)
勤務医の時間外労働上限「2000時間」案、基礎データを精査し「より短時間の再提案」可能性も―医師働き方改革検討会
地域医療構想・医師偏在対策・医師働き方改革は相互に「連環」している―厚労省・吉田医政局長
勤務医の年間時間外労働上限、一般病院では960時間、救急病院等では2000時間としてはどうか―医師働き方改革検討会
医師働き方改革論議が骨子案に向けて白熱、近く時間外労働上限の具体案も提示―医師働き方改革検討会
勤務医の働き方、連続28時間以内、インターバル9時間以上は現実的か―医師働き方改革検討会
勤務医の時間外労働の上限、健康確保策を講じた上で「一般則の特例」を設けてはどうか―医師働き方改革検討会
勤務医の時間外行為、「研鑽か、労働か」切り分け、外形的に判断できるようにしてはどうか―医師働き方改革検討会
医師の健康確保、「労働時間」よりも「6時間以上の睡眠時間」が重要―医師働き方改革検討会
「医師の自己研鑽が労働に該当するか」の基準案をどう作成し、運用するかが重要課題―医師働き方改革検討会(2)
医師は応召義務を厳しく捉え過ぎている、場面に応じた応召義務の在り方を整理―医師働き方改革検討会(1)
「時間外労働の上限」の超過は、応召義務を免れる「正当な理由」になるのか―医師働き方改革検討会(2)
勤務医の宿日直・自己研鑽の在り方、タスクシフトなども併せて検討を―医師働き方改革検討会(1)
民間生保の診断書様式、統一化・簡素化に向けて厚労省と金融庁が協議―医師働き方改革検討会(2)
医師の労働時間上限、過労死ライン等参考に「一般労働者と異なる特別条項」等設けよ―医師働き方改革検討会(1)

医師の働き方改革、「将来の医師の資質」なども勘案した議論を―社保審・医療部会(1)
勤務医の時間外労働上限、病院経営や地域医療確保とのバランスも考慮―医師働き方改革検討会 第7回(2)
服薬指導や診断書の代行入力、医師でなく他職種が行うべき―医師働き方改革検討会 第7回(1)
業務移管など「勤務医の労働時間短縮策」、実施に向けた検討に着手せよ―厚労省

医師の労働時間規制、働き方を変える方向で議論深める―医師働き方改革検討会(2)
勤務医の負担軽減目指し、業務移管など緊急に進めよ―医師働き方改革検討会(1)
タスク・シフティングは段階的に進める方向で議論―医師働き方改革検討会
医師の勤務実態を精緻に調べ、業務効率化方策を検討―医師働き方改革検討会
罰則付き時間外労働規制、応召義務踏まえた「医師の特例」論議スタート—医師働き方改革検討会
医師への時間外労働規制適用に向けて検討開始、診療報酬での対応も視野に—厚労省
医師も「罰則付き時間外労働の上限規制」の対象とするが、医療の特殊性も検討―働き方改革



地域医療構想・医師偏在対策・医師働き方改革は「実行する」段階、医療現場の十分な支援を―厚労省・吉田医政局長
地域医療確保のために「積極的に医師派遣を行う」病院、新たにB水準指定対象に―医師働き方改革推進検討会(1)