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病院の勤務医不足・医師偏在が解消されない現時点では「医師養成数の抑制」には反対—四病協

2021.6.24.(木)

厚生労働省の医師需給分科会(「医療従事者の受給に関する検討会」の下部組織)において、2023年度以降の医学部定員(医師養成数)の議論が進んでいるが、現時点では「医師養成数の抑制」には反対である―。

6月23日に開催された四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)の総合部会において、こういった点で一致したことが、加納繁照・日本医療法人協会会長から報告されました。

6月23日に開催された四病院団体協議会・総合部会後の記者会見に臨んだ日本医療法人協会の加納繁照会長

病院薬剤師の確保に向け、診療報酬上の手当てや病院での臨床実習義務化なども検討を

医師養成数、つまり「大学医学部の入学定員」については、2008年から臨時的な増員が行われ、「2022年度まで」は、▼恒久定員(下図の青色の部分)▼臨時定員(医師確保が必要な地域・診療科のための「暫定増」(下図の黄色の部分)・地域枠などを設定するための「追加増」(下図の赤色の部分))—という枠組みが維持されることになっています。医師確保が困難な都道府県等に配慮し、「医師養成数を一定の考え方に基づいて増やしていく」方策がとられています。

当面の医学部入学定員



しかし、最新のデータに基づく推計によれば、次のように「現行の医学部入学定員を継続すれば、早晩、医師過剰になる」ことが再確認されています。

▼医師の時間外労働を年間960時間以下(医師働き方改革のA水準)程度にした場合には、2029年頃に約36万人で医師の需要と供給が均衡し、その後は医師過剰となる(従前の推計に比べて均衡および医師過剰となる事態の発生が1年遅れる)

▼医師の時間外労働を年間720時間以下(一般労働者と同水準)程度にした場合には、2032年頃に約36.6万人で医師の需要と供給が均衡し、その後は医師過剰となる(同1年早まる)

医師需給の最新推計によれば、早ければ2029年、遅くとも2032年に医師の需要と供給が均衡し、以後「医師過剰」となる(医師需給分科会(1)3 200831)



医師が過剰になれば、「将来の医師の生活基盤が極めて不安定になる」「不適切な医療需要の掘り起こしが生じ、医療費の高騰→医療保険制度の逼迫を招く」などの問題が生じます。このため、医師需給分科会では「そう遠くない将来、医師過剰になることが明らかなため、今後、医師養成数(つまり医学部入学定員)を段階的に抑制していく(削減していく)」という大方針を固めています(関連記事はこちらこちら こちらこちらこちら)。

2023年度以降、地域枠(濃いオレンジ色)を増員しながら、医学部定員全体を減少させていく(医師需給分科会1 201118)



この点、四病協の総合部会では、▼病院では、依然より「医師不足」感が増しており、まったく「医師過剰」になるとの認識がない▼医師偏在(地域偏在、病院-診療所偏在、診療科偏在)はまったく解消されていない―ことを確認し、「現時点では、医師養成数の抑制には反対である」という考えで一致しています。

医師需給分科会では、「早急に2023年度の医学部入学定員に関する方針」(現状を維持するのか、削減方向に進むのか)を決する必要があります。現在の高等学校2年生の進路決定に大きな影響を及ぼしてしまうためです(例えば高等学校3年生になって「医学部の入学定員が大きく減少となります」と発表したのでは酷である)。

「将来を考慮すれば医師過剰になるため、また大学の経営問題に鑑みて、マクロでは医師養成数を抑制していく方向に、できるだけ早期に舵を切る」ことが求められている状況があります。一方で、ミクロでみれば「医師偏在、医師不足」に悩む病院が少なくない状況があります。こうした状況の中で、近く開催される医師需給分科会において、どういった議論が行われる、どういった決断がなされるのか改めて注目する必要があります。



なお、6月23日の四病協・総合部会では「病院薬剤師の確保が、東京を含めた日本全国で困難な状況にある。診療報酬での対応や、薬剤師免許取得から一定期間の病院での臨床実習義務化などを通じて、病院薬剤師確保を推進すべき」との点でも一致したことが、加納・医法協会長から報告されました。

「病院薬剤師」確保が困難な状況については、診療報酬改定を議論する中央社会保険医療協議会や社会保障審議会でもたびたび議題にあがっています(関連記事はこちら)。加納・医法協会長は、6月23日の四病協・総合部会後の記者会見で「病院での調剤料(内服薬では11点)などと、薬局での調剤基本料(42点、ただし大規模門前薬局等では減算)などとを比較すると大きな格差(病院<薬局)があり、利潤の高い薬局では、高い給与を示して多くの薬剤師を雇用している。これに対し、経営状況が厳しい病院では、薬剤師の給与をなかなか引き上げることはできない」とコメント。

その上で、「そもそもの原因である診療報酬・調剤報酬の格差を是正する」とともに、例えば「大学の薬学部を卒業し、薬剤師免許を取得した後、一定期間(1年間など)、病院で臨床実習を義務化し、薬剤師としての資質向上に努めてもらう」などの対応をとってほしいとの考えを強調しています。



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