7対1入院基本料の厳格化、透析医療の診療報酬適正化など進めよ―財政審、経済財政諮問会議
2017.10.31.(火)
2018年度の次期診療報酬改定に向けて、中央社会保険医療協議会で議論が進められています。それとは別に、主に「財政再建のために社会保障費を抑制すべき」という観点で財政制度等審議会や経済財政諮問会議でも、具体的な改定内容に関する議論が行われています。
10月25日には財政制度等審議会の財政制度分科会(以下、財政審)で、10月26日には経済財政諮問会議で具体的な提言がなされました。目立つ項目を眺めてみましょう。
財政審などの提言、中医協論議にどこまで影響するのか
10月25日の財政審では、2018年度に「2%台半ば以上のマイナス改定をすべき」との意見をまとめたほか、次のような改定内容に踏み込んだ提言を行っています。
▼急性期病床の適正化(7対1病床について、2025年に向けてどの程度病床数を適正化していくか⾒通しを示し、重症度、医療・看護必要度など算定要件の⼀層の厳格化を行う。⼊院基本料ごとに医療内容を検証し、看護職員配置ではなく、提供している医療の機能(⾼度急性期、急性期、回復期等)により評価される仕組みを⽬指す)
▼⽣活習慣病治療薬などについて、臨床上の有効性・安全性を前提としつつ、経済的な観点も踏まえた「医薬品選択のガイドライン」を策定する。あわせて、⽣活習慣病治療薬などの適切な処⽅を進めるための診療報酬上の対応の在り⽅を検討する
▼「患者の状態像にそぐわない20対1病床への転換」防⽌のために医療必要度の要件(現在、療養病棟入院基本料1では医療区分2・3の患者割合が80%以上とされている)の厳格化等や、介護医療院について、⼈員配置や費⽤⾯での効率化が進むような報酬・基準を設定する。療養病床の⼊院患者のうち医療の必要度の低い患者について在宅医療などで対応を進めるような改定内容とする
また10月26日の経済財政諮問会議では、民間議員から、7対1病床の基準:要件の厳格化などのほか「透析医療の実態に応じて診療報酬の適正化を図る」「保険者などによる糖尿病患者の重症化予防を促進する」という、かなり具体的な提言が行われています。
7対1病床の施設基準の1要件となっている「重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者割合(重症患者割合) 25%以上」については、中医協総会で厳格化を強く求める支払側委員と、「累次の改定で混乱した現場が、ようやく沈静化しつつある」として厳格化に強く反対する診療側委員との間で意見に大きな隔たりがあります(関連記事はこちら)。
また、入院医療の技術的課題を集中的に検討する「入院医療等の調査・評価分科会」(中医協の下部組織)では、「7対1と10対1とで重症患者割合の活用方法が異なっている(7対1では施設基準、10対1では加算)ために分布状況が大きく異なっており、評価指標としての妥当性を検証する必要がある」「医療現場の負担軽減を図るために、重症度、医療・看護必要度の評価票に基づく計算方法と、診療報酬請求区分に基づく計算方法との検証を行う」方針を固めています(関連記事はこちらとこちら)。
こうした中医協論議に、財政審や経済財政諮問会議の意見・提言がどのように影響するのか、「改定論議の俎上に上げられるか」も含めて、今後の中医協などの議論に注目が集まります。
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