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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

通所介護におけるアウトカム評価【ADL維持等加算】の詳細を通知―厚労省

2018.4.18.(水)

 厚生労働省は4月6日に通知「ADL維持等加算に関する事務処理手順及び様式例について」を発出し、ADL維持等加算の概要を再整理するとともに、算定に向けた事務手続きの詳細を明らかにしました。

ADLの維持・改善に着目したアウトカム評価

 介護保険サービスの基本報酬や、居宅サービスの区分支給限度額(利用者が1か月に利用できる保険の上限)は、要介護度に応じて高くなるように設定されています。要介護度の高い利用者・入所者では、一般により多くのケアが必要で、多くの介護資源を投入することが求められるからです。

ただし、この報酬設定ゆえに「要介護度が改善すれば報酬が低くなるため、一部施設では自立や重度化防止に後ろ向きである」「要介護度が改善すると区分支給限度額も低くなり、利用できるサービス量が減少してしまうため、利用者や家族が要介護度改善に後ろ向きである」との課題も指摘されています。

このため、従前より「要介護度改善に向けたインセンティブ」が検討され、2018年度の介護報酬では、通所介護・地域密着型通所介護において【ADL維持等加算】が新設されました。「要介護度の改善が見込まれる軽度者のみを選別する」(クリームスキミング)ことが生じないように配慮した上で、利用者のADL維持・改善実績に応じた加算の算定を可能とする「アウトカム評価」です。後述する実績要件を満たした場合には【ADL維持等加算1】(月3単位)を、さらに実績要件を満たした後も、Barthel Index(BI)を用いて利用者のADLを測定し、結果を保険者に報告した場合には【ADL維持等加算2】(月6単位)を算定できます。

加算の内容はかなり複雑で、今般の通知では、【ADL維持等加算】の概要を次のように再確認しています。

▽【ADL維持等加算】は、「前年(1-12月、評価対象期間)における利用者のADL維持・改善度合いが一定水準を超える」などの要件を満たす通所介護等事業所において、翌年度(4月-翌年3月)のサービス提供に加算を行うものである

▽評価対象期間に満たすべき要件

(1)当該通所介護等事業所を「連続6か月以上」利用する人の総数が20人以上(ただし、「5時間以上の利用」が「5時間未満の利用」を上回る人のみ)

(2)評価対象利用期間の初月において、要介護3以上が利用者総数の15%以上

(3)評価対象利用期間の初月において、「初めて要介護認定・要支援認定を受けてから12か月以内」の人が、利用者総数の15%以下

(4)▼評価対象利用期間の初月▼評価対象利用期間の6か月目—に、「機能訓練指導員によってADLが測定され、その測定結果が厚労省に提出されている」人が90%以上

(5)ADL利得(「評価対象利用期間の6か月目に測定したADL値」-「評価対象利用期間の初月に測定したADL値」)の上位85%について、▼ADL利得がプラス(0より大きい)の場合には「1」▼ADL利得が0の場合には「0」▼ADL利得がマイナス(0より小さい)の場合には「マイナス1」」—として計算し、その合計値が0以上である

ADL維持等加算の概要

ADL維持等加算の概要

 
【ADL維持等加算】を算定するためには、事業所が「要件を満たしていること」を届け出て、都道府県・市町村(指定権者)による「要件を満たしているか」の確認を受けることが必要です。また、都道府県・市町村は、【ADL維持等加算】を算定する事業所の情報を公表し、住民やケアマネ事業所に周知する必要があります(ケアプラン作成にとって重要な情報となる)。
2019年度以降のADL維持等加算算定に関する手続き

2019年度以降のADL維持等加算算定に関する手続き

 
なお、2018年度には「過去の実績」(2017年のADL測定値など)が存在しないため、2017年1-12月の評価対象期間に、「利用者のうち要介護3以上の者が15%以上」などの基準を満たす書類が保存されていれば、ADL維持等加算を算定することが可能です。加算を算定しようとする月の前月15日までに届け出を行うことが求められます。
2018年度のADL維持等加算算定に関する手続き

2018年度のADL維持等加算算定に関する手続き

ADL維持等加算の届け出や評価期間に関するスケジュール

ADL維持等加算の届け出や評価期間に関するスケジュール

 
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