居宅療養管理指導における「単一建物居住者」、より詳しい考え方を提示―介護報酬改定疑義解釈(4)の2
2018.6.1.(金)
お伝えしているように厚生労働省は5月29日に、2018年度介護報酬改定に関するQ&AのVol.4(疑義解釈その4)を公表しました(vol.1の記事はこちら、vol.2の記事はこちら、vol.3の記事はこちら、vol.4の1の記事はこちら)。居宅療養管理指導に新たに導入された「単一建物居住者」について、詳しい考え方が示されています。
単一建物居住者、月途中で患者が死亡などした場合の取扱いは?
従前、居宅療養管理指導(医療従事者が患者の居宅等を訪問し、療養上に必要な指導等を行うことを介護報酬で評価している)については、「同一日に、同一の建物に居住する複数の利用者に指導を行った場合に報酬を減額する仕組み」(同一建物居住者)が設けられていました。しかし「高い報酬を算定するために、わざわざ訪問日を変える」という歪みが生じていたことなどを受け、2018年度改定では「同じ暦月に、同一の建物に居住する利用者が何人であったか」に応じて報酬を設定する「単一建物居住者」の仕組みに変更することとなりました(医療保険の在宅時医学総合管理料などと同じ考え方、利用者が▼1人▼2-9人▼10人以上―の3区分)(関連記事はこちら)。
今般の疑義解釈(その4)では、この「単一建物居住者」について、より具体的に、次のような考え方を示しています。
▽利用者の死亡・退去などで「月の途中で単一建物居住者の人数が減少する」場合は、当月に居宅療養管理指導を実施する「当初の予定人数」に応じた区分で算定する(死亡等の事由については診療録等に記載)
▽利用者が転居してきたなどで「月の途中で単一建物居住者の人数が増加する」場合は、▼もともとの居予定利用者については、「当初の予定人数」に応じた区分▼新たに転居してきた利用者については、「当該転居してきた利用者を含めた、転居時点における居宅療養管理指導の全利用者数」に応じた区分—で算定する(転居等の事由を診療録等に記載)
▽同一の建築物で「ユニット数3以下の認知症対応型共同生活介護事業所」(グループホーム)と「集合住宅」が併存する場合には、次のように「グループホーム」と「それ以外」で区別して考える
▼グループホームについては、各ユニットにおいて居宅療養管理指導費を算定する人数を、単一建物居住者の人数とみなす。ただし、1ユニットで1つの同一世帯の利用者のみに居宅療養管理指導を実施する場合は、利用者ごとに「単一建物居者が1人の場合」の区分で算定する
▼グループホーム以外については、グループホームで居宅療養管理指導を実施する人数を含め、当該建築物で居宅療養管理指導を実施する人数を単一建物居住者の人数とする。ただし、当該建築物で1つの同一世帯の利用者のみに居宅療養管理指導を実施する場合は、利用者ごとに「単一建物居者が1人の場合」の区分で算定する
▼「当該建築物で居宅療養管理指導を行う利用者数が、当該建築物の戸数の10%以下」または「当該建築物の戸数が20戸未満で、居宅療養管理指導を行う利用者が2人以下」の場合は、利用者ごとに「単一建物居住者1人に対して行う場合」の区分で算定する
▽「同一の集合住宅に、複数の『同居する同一世帯に居宅療養管理指導費の利用者が2人以上いる世帯」がある場合、「同一の集合住宅に、『同居する同一世帯に居宅療養管理指導費の利用者が2人以上いる世帯』と『それ以外の利用者』がいる」場合の、いずれにおいても「居宅療養管理指導を実施する予定の合計数に応じた区分」により算定する。
▼例えば、同一の集合住宅に、居宅療養管理指導費を利用する「同居する夫婦の世帯」が2世帯ある場合は、「単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合の区分」で算定する
▼例えば、同一の集合住宅に、居宅療養管理指導費を利用する「同居する夫婦の世帯」が1世帯と居宅療養管理指導費を利用する者が「1人の世帯」が8世帯ある場合は、「単一建物居住者10人以上に対して行う場合の区分」で算定する
ユニットと非ユニットが併設する特養ホーム、加算算定の考え方を修正
このほか、施設サービスについて、次のような点が明確にされています。
▽特養ホーム等で、一部ユニット型施設等が、「ユニット型部分」と「ユニット型以外の部分」のそれぞれについて別施設等として指定されることとなった場合には、次のように考える(短期入所生活介護事業所でも同様)。
▼常勤職員による専従が要件となっている加算(個別機能訓練加算や常勤医師配置加算など)については、従来「双方の施設で当該加算を算定することは認められない」としてきたが、(1)個別機能訓練加算については、「一体的な運営が行われていると認められる併設施設において、双方の入所者に対する機能訓練が適切に実施されている場合で、常勤のPT等が双方の施設において、専ら機能訓練指導員としての職務に従事している」のであれば、双方の施設で算定要件を満たす(2)常勤医師配置加算については、「同一建物内でユニット型施設と従来型施設を併設し、一体的に運営され、双方の施設で適切な健康管理・療養上の指導が実施されている」場合には、双方の施設で算定要件を満たす―と扱う(解釈の変更)
▼入所者数に基づいた必要職員数が要件となっている加算(看護体制加算、夜勤職員配置加算)については、従来「一部ユニット型については、ユニット部分・多床室部分それぞれで要件を満たす必要がある」としていたが、同一建物内にユニット型・ユニット型以外の施設(特養、地域密着型特養、介護老健)が併設されている場合には「双方の入所者・ユニット数の合計数に基づいて職員数を算出する」ものとして差し支えないこととする。この際、ユニット型施設と従来型施設のそれぞれについて、1日平均夜勤職員数を算出し、合計が施設全体で「1以上」上回っている場合には夜勤職員配置加算の算定を認める(ただし、夜勤職員配置の偏りに配慮を)
▽【再入所時栄養連携加算】(施設入所者が入院し、経管栄養や嚥下調整食の新規導入など、入所時と大きく異なる栄養管理が必要となった場合、施設の管理栄養士が医療機関の管理栄養士と連携して、再入所後の栄養管理に関する調整を行った場合の評価)について、「嚥下調整食の新規導入」により再入所時栄養連携加算を算定した後に再入院し、「経管栄養が新規導入」となり、その状態で再々入所(二次入所)となった場合、改めて再入所時栄養連携加算を算定できる
▽【褥瘡マネジメント加算】【排泄支援加算】について、厚労省が示した「褥瘡対策に関するケア計画書」、「排せつ支援計画書」はひな形であり、これと同様の内容が判断できる項目が網羅されていれば、その様式を代用することができる
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