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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

肺がん患者の複数遺伝子変異を検出し、多数の抗がん剤の効果判定を一括して行える新検査方法を保険適用―厚労省

2022.1.7.(金)

肺がん患者の遺伝子変異を一括して検出し、多数の抗がん剤の効果判定を行える新検査方法を保険適用し、要件を満たせば1万点の算定を可能とする―。

肺炎クラミジア感染の診断を補助する新検査方法を保険適用し、要件を満たせば360点の算定を可能とする―。

厚生労働省は昨年(2021年)12月28日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出し、こうした点を明らかにしました。今年(2022年)1月1日から適用されています。

複数の遺伝子変異を一括して検出し、多数の抗がん剤の効果を事前に一括判定

昨年(2021年)12月8日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、(1)がん組織の遺伝子変異を検出し、抗がん剤の効果(適応)を事前に判定する新検査方法(2)肺炎クラミジア感染の診断を補助する新検査方法―の保険適用が了承されました(厚労省のサイトはこちら(中医協資料))。この決定を受け、今般「保険診療の中で、これら検査を行う場合の留意事項(算定ルール)」を厚労省が明確にしたものです。

まず(1)は、がん細胞について次の「遺伝子変異→抗がん剤の適応判定」を一括して行える新検査方法です。

▽EGFR遺伝子変異
→非小細胞肺がんへのゲフィチニブ(イレッサ錠ほか)、エルロチニブ塩酸塩(タルセバ錠)、アファチニブマレイン酸塩(ジオトリフ錠)、オシメルチニブメシル酸塩(タグリッソ錠)の適応判定補助

▽ROS1融合遺伝子
→非小細胞肺がんへのクリゾチニブ(ザーコリカプセル)の適応判定補助

▽ALK融合遺伝子
→非小細胞肺がんへのクリゾチニブ(ザーコリカプセル)、アレクチニブ塩酸塩(アレセンサカプセル)、ブリグチニブ(アルンブリグ錠)の適応判定補助

▽BRAF遺伝子変異(V600E)
→非小細胞肺がんへのダブラフェニブメシル酸塩(タフィンラーカプセル)・トラメチニブジメチルスルホキシド付加物(メキニスト錠)の併用投与の適応判定補助

▽MET遺伝子エクソン14(METex14遺伝子)スキッピング変異
→非小細胞肺がんへのテポチニブ塩酸塩水和物(テプミトコ)の適応判定補助



この新たな検査手法の保険適用に伴い、D004-2【悪性腫瘍組織検査】について算定ルールの見直しが行われました。

まず、肺がん患者に上記の遺伝子検査を一括して行う場合(▼EGFR遺伝子検査▼ROS1融合遺伝子検査▼ALK融合遺伝子検査▼BRAF遺伝子検査▼METex14遺伝子検査―をリアルタイムPCR法により同時に実施した場合)には1万点を算定できることが明示されました。D004-2【悪性腫瘍組織検査】の「1 悪性腫瘍遺伝子検査」の「イ 処理が容易なもの」の「(1)医薬品の適応判定の補助等に用いるもの」(2500点)×2、D004-2【悪性腫瘍組織検査】の「1 悪性腫瘍遺伝子検査」の「ロ 処理が複雑なもの」(5000点)を合算した点数を準用するものです。

また、新検査の保険適用に伴い次の見直しも行われています。BRAF遺伝子検査・METex14遺伝子検査について「次世代シーケンシング以外の検査」は2500点(「処理が容易なもの」の「医薬品の適応判定の補助等に用いるもの」)を、「次世代シーケンシングによる検査」は5000点(処置が複雑なもの)を算定するという区分けを明確にするものと言えます。

▽D004-2【悪性腫瘍組織検査】の「1 悪性腫瘍遺伝子検査」の「イ 処理が容易なもの」の「(1)医薬品の適応判定の補助等に用いるもの」(2500点)について、新たに肺がんにおける▼BRAF遺伝子検査(次世代シーケンシングを除く)▼METex14遺伝子検査(次世代シーケンシングを除く)―を追加する

▽D004-2【悪性腫瘍組織検査】の「1 悪性腫瘍遺伝子検査」の「ロ 処理が複雑なもの」(5000点)の対象となっている「肺がんにおけるBRAF遺伝子検査、METex14遺伝子検査」について、「肺がんにおけるBRAF遺伝子検査(次世代シーケンシング)、METex14遺伝子検査(次世代シーケンシング)」と改める(関連記事はこちら

肺炎クラミジア感染の診断補助を行う新検査、360点を算定可能

また(2)の肺炎クラミジア感染の診断補助を行う新検査方法の保険適用に伴い、D023【微生物核酸同定・定量検査】に、新たに「肺炎クラミジア核酸検出」の項が設けられました。

肺炎クラミジア感染の診断を目的としてLAMP法によって「肺炎クラミジア核酸検出検査」を実施した場合は、D023【微生物核酸同定・定量検査】の「10 百日咳菌核酸検出」(360点)を準用して算定することになります。

なお、本検査(肺炎クラミジア核酸検出)と▼D012【感染症免疫学的検査】の「9 クラミドフィラ・ニューモニエIgG抗体」(70点)▼同じく「10 クラミドフィラ・ニューモニエIgA抗体」(75点)▼同じく「26 クラミドフィラ・ニューモニエIgM抗体」(156点)▼D023【微生物核酸同定・定量検査】の「17 ウイルス・細菌核酸多項目同時検出」(963点)―を併せて実施した場合は「主たるもの」のみの算定が認められます。



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