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ケアマネ自己負担、軽度者サービスの地域支援事業への移行など「給付と負担の見直し」で賛否両論—社保審・介護保険部会

2022.9.27.(火)

少子高齢化が進展する中で介護保険財政が極めて脆弱になってくる。このため「ケアマネジメントへの自己負担導入」「軽度者サービスの地域支援事業への移行」「利用者負担の原則2割化」「40歳未満への介護保険適用」などをどう考えていくべきか—。

9月26日に開催された社会保障審議会・介護保険部会でこういった議論が行われました。委員からは賛否両論が出ており、さらなる議論が待たれます。

少子高齢化の進展で介護保険財政は逼迫、現役世代の負担は限界に来ている

Gem Medで報じているとおり、2024年度からの新たな介護保険事業(支援)計画(市町村の介護保険事業計画、都道府県の介護保険事業支援計画)に向けた介護保険制度改正論議が介護保険部会で始まっています。今夏まで総論的な第1ラウンドを行って「現状と課題の抽出」などを行い、さらに秋から具体的な第2ラウンド論議に入っています。

【第1ラウンド論議の記事】
処遇改善やICT活用等の諸施策が「介護人材の確保・定着」にどれだけ効果を生んでいるのか検証を—社保審・介護保険部会
介護人材確保、医療介護連携や認知症対策の推進などが介護保険改革の重要な柱と再確認—社保審・介護保険部会
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2024年度からの第9期介護保険計画に向けた議論開始、人材確保と持続可能性確保が重要論点―社保審・介護保険部会

【第2ラウンド論議の記事】
認知症初期集中支援チーム、実態把握のうえで「役割、在り方の再検討」を行う時期に来ている—社保審・介護保険部会
介護ニーズとサービス量の齟齬解消に向け「エリア外の介護サービス利用」を柔軟に認めるなどの工夫をしてはどうか—社保審・介護保険部会



9月12日には、▼給付と負担▼要介護認定▼安全確保・リスクマネジメント▼虐待防止▼福祉用具—などを議題にしました。

今年度(2022年度)から、人口の大きなボリュームゾーンを占める団塊世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめており、2025年度には全員が後期高齢者となります。このため介護ニーズが今後急速に増大していきます。

その後2040年度にかけては、高齢者数の増加ペース自体は鈍化するものの、支え手となる現役世代人口が急速に減少していきます。

少なくなる一方の支え手(サービス提供者、費用負担者)で、増大する一方の高齢者(サービス利用者、受益者)を支えなければならず「介護サービス提供体制」とともに「介護保険財政」が極めて脆弱になっていきます。このため、▼給付費の伸びを我々国民が負担可能な水準に抑えていく方策▼特定の者に負担が集中させない方策―を考えていく必要があるのです。

9月26日の会合では、この点について次のような見直し論点に沿った議論が行われました。
(1)被保険者の範囲を広げるべきか(40歳未満にも介護保険料負担を求めるか)、受給者の範囲を狭めるべきか(「原則65歳硫黄」を「70歳以上」「75歳以上」などに引き上げるか)
(2)補足給付(低所得の施設入所者等に対する食費・光熱費・室料等負担への補助)の支給対象者(低所得者)について不動産保有状況などを勘案すべきか
(3)介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設の「多床室の室料」について、保険給付の対象外とすべきか
(4)ケアマネジメントについて利用者負担を導入すべきか
(5)軽度者(要介護1・2)の訪問介護、通所介護について、要支援者と同様に「市町村の行う地域支援事業(介護予防・日常生活支援総合事業(単に「総合事業」と呼ぶことも多い))へ移行すべきか
(6)2割負担を求める「一定以上所得者」、3割負担を求める「現役並み所得者」の判断基準見直しをすべきか(より多くの者に2割・3割負担を求めるべきか)

いずれの論点についても賛否両論が出ています。

賛成意見としては、例えば▼被保険者の範囲は「18歳以上」にまで拡大すべき(小林司委員:日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長)▼現役世代の負担は限界に来ており、給付と負担の見直しを行わなければ介護保険制度が破綻する。低所得者に配慮したうえで「原則2割負担」を導入すべき。「ケアマネジメントへの自己負担導入」も、他サービスとの均衡性確保、介護保険導入から20年以上が経過している点を踏まえ、導入を進めるべき(河本滋史委員:健康保険組合連合会理事)▼介護保険制度を維持するために「能力に応じた受益者負担」の考え方を推進すべき(岡良廣委員:日本商工会議所社会保障専門委員会委員)—などが目立ちます。

一方、反対意見・慎重意見としては、例えば▼地域支援事業は「介護予防」が中心であり、「軽度者サービスの地域支援事業への移行」を進めると初期認知症対応が手薄になり、重度化する恐れがある(粟田主一委員:東京都健康長寿医療センター研究所副所長)▼「軽度者サービスの地域支援事業への移行」について拙速は避け、まずは地域における「多様なサービス」の整備・充実を進めるべき(大西秀人委員:全国市長会介護保険対策特別委員会委員長、香川県高松市長)▼介護保険は、医療保険に比べて「長期間のサービス利用」を伴うケースがほとんどであり、所得に応じた負担増は慎重に考えるべき(座小田孝安委員:民間介護事業推進委員会代表委員)▼「ケアマネジメントへの自己負担導入」により、セルフプラン(利用者・家族によるケアプラン作成)などが増加し、ケアマネジャーの専門性が発揮できず、自立支援にそぐわない事態が生じかねない(染川朗委員:UAゼンセン日本介護クラフトユニオン会長)▼財政審などでは「地域支援事業への移行により、多様なサービスによる効率的・効果的なサービス提供が可能になる」と述べるが、それは机上の空論に過ぎない。「多様なサービス」は地域で充実していない(小泉立志委員:全国老人福祉施設協議会副会長)—などが注目されます。

双方の意見とも「頷ける部分」が大きく、議論の継続が必要でしょう。介護保険部会は25名のメンバーで構成され、ずいぶん前から「単に委員が、自身の考えを述べるだけ」の場になってしまっています(中には自団体事務局の用意したペーパーを読み上げるだけの委員もいる)。これでは、議論は全く深まりません。国民生活にとって極めて重要な制度を見直す場であり、「賛成派・反対派による議論の場」に発展していくことに期待が集まります。なお、賛成派・慎重派の双方とも「(1)から(6)のそれぞれについて賛成・反対を表明している」(つまり、必ずしも賛成派=(1)から(6)すべてに賛成、反対派=(1)から(6)のすべてに反対というわけではない)点にも留意が必要です。

このほか、▼被保険者(=費用負担者)の範囲を広げるに当たっては、若年者の納得が必要かつ重要である(津下一代委員:女子栄養大学特任教授)▼給付・負担の見直しに向けては「データ・エビデンスに基づいた議論」をすべき(佐藤主光委員:一橋大学国際・公共政策大学院、大学院経済学研究科教授、齋藤訓子委員:日本看護協会副会長)▼介護費の適正化には「寝たきりの防止」「要介護度の改善」が極めて重要であり、「要介護度の改善」に対するインセンティブの抜本的な充実を考えるべき(橋本康子委員:日本慢性期医療協会会長)▼今の介護サービスが自立支援・重度化防止に「効果的な否か」の検証を行う必要があり、そのために高齢者の機能を評価する適切な指標を開発すべき(東憲太郎委員:全国老人保健施設協会会長)▼利用者負担増の効果は小さく、保険料負担も限界に来ている。「公費増」に向けた国民的議論を進めるべき(江澤和彦委員:日本医師会常任理事)—といった異なる角度からの意見も出ています。

こうした意見も勘案し、年末の意見書とりまとめに向けて調整を進めていくことになります。



また、要介護認定については、市町村の認定事務負担軽減に向けて▼有効期間の上限(前回認定時と要介護度が同じ場合には36か月から48か月に拡大)をさらに延長すべきか▼認定審査の簡素化(1次判定結果が前回認定結果と同一である場合などには、認定審査会の簡素化が可能)をさらに推進すべきか—という議論が行われています。

「有効期間の延長」などに理解を示す委員も少なくありませんが、「要介護認定は介護保険の入り口であり、必要な負担と言える。安易な簡素化は好ましくない」(江澤委員)、「エビデンスに基づいた議論(有効期間の延長が、実際の要介護度変化に問題なく対応できるのかなど)をすべき」(佐藤委員)といった意見も出ています。要介護度の変化に適切に対応できなければ、「要介護度が重くなった場合には、利用者が十分なサービスを受けられなくなってしまう」「軽くなった場合には、不適切なサービス利用を放置してしまう」という問題が出てきます。データに基づく議論が必要でしょう。



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