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フレイル(虚弱)高齢者はカフェインやビタミンB3等の血中濃度低い、フレイル防止の食事・栄養指針に期待—都健康長寿医療センター研究所

2024.12.31.(火)

フレイル(虚弱)高齢者ではカフェインやビタミンB3等の食事由来の代謝物の血中濃度が低く、「食事や栄養がフレイルの発症や予防に関連している」可能性がある—。

今後、「より具体的な食生活の指針が明らかになる」ことに期待が集まる—。

東京都健康長寿医療センター研究所(東京都板橋区)が12月26日に、こうした研究成果を発表しました(研究所のサイトはこちら)。

カフェインやビタミンB3などの血中濃度が高い場合は「健康な高齢者」の可能性が高い

ついに2022年度から団塊世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が後期高齢者となります。高齢化の進展は「要介護者、要支援者の増加」につながるため、「介護予防」などが非常に重要となります。

要介護・要支援の原因は多種多様ですが、▼サルコペニア(加齢に伴って生じる骨格筋減弱症)やフレイル(虚弱)→(増悪)→▼要支援・要介護—という流れが1つ存在します。さらに高齢者では、「食欲の低下や食嗜好性の変化」→「タンパク質・エネルギー欠乏」→「サルコペニアやフレイルなどのリスクが高まる」ことも分かっています。

本邦における65歳以上高齢者はフレイル:8.7%・プレフレイル:40.8%・健康:50.5%とされ、約半数が「フレイルまたはプレフレイルの状態にある」ことが分かっています。

ところで、フレイルを含む加齢変化には個人差が大きく、生物学的に非常に複雑なプロセスであるため、代謝学的基盤はよくわかっていません。

今般、研究所の研究チームは「地域高齢者のフレイルに関連する代謝物」に関する研究を実施。年齢・BMI・既往歴などの背景因子を調整した上で、フレイル高齢者39名と健康な高齢者76名の血清サンプルを分析しました。

約500種類の代謝物を分析した結果、フレイル高齢者では次のような特徴が明らかとなりました。

▽全体的に代謝物濃度が低い傾向がある

▽とりわけ以下の7つの代謝物の濃度が有意に低く、その多くが「食事由来」である
・カフェイン
・カテコール(カフェインの代謝物の一種)
・パラキサンチン(カフェイン代謝物の一種)
・ナイアシンアミド(ビタミンB3の一種)
・5-ヒドロキシメチル-2-フロイ酸(代謝に関わる化合物)
・ダイゼイン(大豆イソフラボンの一種で、植物性化合物)
・シトシン(DNAやRNAを構成する塩基の一つ)

フレイル・健常者の血液代謝物の比較(都健康長寿医療センター研究所1 241226)



逆にカフェイン、カテコール、パラキサンチン、ナイアシンアミドの濃度が高い場合には「健康な高齢者である可能性が高い」ことも確認されました。

さらに、筋力低下、疲労、身体活動低下といった「フレイルの各表現型」と「代謝物」との仇には、個別の違いが認められました。

フレイルの表現型指標に関連する代謝物(都健康長寿医療センター研究所2 241226)



こうした研究結果から「食事や栄養がフレイルの発症や予防に関連している」可能性が示唆され、今後、「より具体的な食生活の指針が明らかになる」ことに期待が集まります。



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