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通所系事業所等で歯科・管理の専門職と連携し「口腔状態の改善→肺炎の予防、栄養状態の改善」を実現した好事例—都健康長寿医療センター研究所

2025.4.16.(水)

通所介護事業所等で歯科・管理の専門職と連携することで、介護報酬の加算算定が可能となるとともに、利用者の「口腔状態の改善→肺炎の予防、栄養状態の改善」を実現できる—。

東京都健康長寿医療センター研究所(東京都板橋区)が4月10日に「高齢者の口腔ケア・栄養ケア事例集—通所事業所編—」を公表し、こうした点への留意を求めました(研究所のサイトはこちら)。

リハビリ・口腔管理・栄養管理の一体的取り組みで重度化防止・自立支援を推進

2022年度から、人口の大きなボリュームゾーンを占めるいわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、今年度(2025年度)には全員が後期高齢者となります。高齢者の急増は「要介護者、要支援者の増加」につながるため、介護予防や重度化防止などの取り組みが非常に重要となってきます。

そうした中で「食べ物を飲み込む際の、喉からの情報によって甲状腺につながる副交感神経が活性化する反射が起こり、健康にとって重要なホルモンであるサイロキシンとカルシトニンの分泌が高まる」など、「口から栄養を摂取する」ことの重要性が科学的に明らかにされてきています(関連記事はこちら)。

昨今の介護報酬改定・診療報酬改定でもこの点が強く意識され、リハビリテーション・口腔管理・栄養管理の一体的取り組みに対する評価が行われています。

例えば2021年度の介護報酬改定では通所系サービス等(通所介護、地域密着型通所介護、療養通所介護、(介護予防)認知症対応型通所介護、(介護予防)通所リハビリテーション、(介護予防)小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、(介護予防)特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、(介護予防)認知症対応型共同生活介護)において、利用者の口腔機能低下を早期に確認し、適切な管理等を行うことによって口腔機能の低下予防、維持、回復等につなげるために、介護職員等が実施可能な口腔スクリーニングと栄養スクリーニングとを一体的に評価する【口腔・栄養スクリーニング加算】の新設が行われました(関連記事はこちら)。

口腔・栄養スクリーニング加算の創設(2021年度介護報酬改定)



今般の事例集では、通所サービス等の利用者の肺炎発生や死亡の低下に向けて、「リハビリテーション・口腔管理・栄養管理の一体的取り組み」が極めて重要であることをデータ(オーラルフレイルの発生が4年後の死亡率を4倍に高め、栄養状態の低下が30か月後の死亡率を10%高めてしまう)で確認するとともに、【口腔・栄養スクリーニング加算】などの介護報酬上の加算の詳細(意義・目的、算定要件など)を丁寧に解説。

口腔・栄養管理を怠ると、一定期間後の死亡率が増加する

口腔・栄養スクリーニング加算の運用

口腔・栄養スクリーニング加算により口腔・栄養状態改善効果が得られる



あわせて、▼歯科衛生士や管理栄養士などの専門職が連携し、通所系事業所の口腔・栄養ケアを強化した事例▼事業所における口腔ケア連携によって「肺炎の減少」「早期の歯科受診」につながった事例▼近隣病院の管理栄養士と連携し、通所系事業所の栄養アセスメントを強化した事例▼地域栄養士会の「栄養・ケアステーション」と連携し、通所系事業所の栄養アセスメントを強化した事例▼法人で管理栄養士を雇用し、通所系事業所の栄養改善に向けた取り組みを強化した事例▼近隣の歯科医療機関と連携し、通所系事業所の口腔ケア・栄養ケアを強化した事例—など「10の実事例」を紹介しています。

このうち口腔ケア連携によって「肺炎の減少」「早期の歯科受診」につながった事例を見ると、通所事業所等で雇用している歯科衛生士・管理栄養士が、かかりつけの歯科医療機関の歯科医師と連携して、すべての利用者に対し「口腔状態」のスクリーニングを実施。リスクの高い利用者には個別ケアプランの作成・食事形態の工夫・口腔衛生(歯磨きなど)の指導強化などを行うことによって、▼事業所利用者の「肺炎による入院ゼロ」を実現▼体重・BMIの改善(栄養状態の向上)▼ケアマネジャーとの連携強化(情報のフィードバック)—などが実現できています。

上記のような加算算定による「経営状態の改善」にとどまらず、何よりも「利用者の状態改善」が実現できており、各事業所において、事例集を参考に事業所内専門職や近隣歯科医療機関(歯科医師会も含む)、近隣の栄養・ケアステーション(栄養士会も含む)との連携強化を模索することに期待が集まります。



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