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新型コロナ感染・疑い患者への外来診療を評価する【院内トリアージ実施料】、再来患者でも算定可―厚労省

2020.4.15.(水)

新型コロナウイルス感染患者・疑い患者に対し、感染防止策を講じたうえで外来診療を提供する際には【院内トリアージ実施料】の算定が可能となるが、初診だけでなく、再来の患者(再診料・外来診療料を算定する患者)でも同実施料を算定できる―。

また新型コロナウイルス感染症患者を入院させたために、一時的に重症度、医療・看護必要度などの基準を満たせなくなったとしても、施設基準の変更届け出は当面不要で、従前からの入院料等の算定を継続できる―。

がん遺伝子パネル検査の結果伝達について、新型コロナウイルス感染を防止するために、電話や情報通信機器を用いて行うことを認める―。

厚生労働省は4月14日に事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その11)」を示し、こうした点を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)。

新型コロナ対策での院内トリアージ実施料、再来の患者でも算定可能

新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、厚労省は4月8日に事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その9)」を(関連記事はこちら)、4月10日に事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その10)」(関連記事はこちら)を示し、次のような診療報酬上の臨時的対応を行うことを明らかにしています。新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者を診療する医療現場の苦労・負担を経済的に評価するとともに、電話・情報通信機器を用いた診療を拡大することで「医療機関の直接受診による新型コロナウイルス感染を防止(医療従事者・患者の双方)する」ことが狙いです。

(1)新型コロナウイルス感染症への医療提供を診療報酬でもサポートするために、外来で新型コロナウイルス感染患者または感染疑い患者を診療した場合、施設基準を満たしていなくともB001-2-5【院内トリアージ実施料】(1回300点)の算定を可能とする。その際、院内感染防止等に留意した対応が求められる(4月8日付事務連絡)

(2)新型コロナウイルス感染患者(PCR陽性患者)を入院させた場合、当該患者が重症でなくともA205の1【救急医療管理加算1】(1日当たり950点)の算定を14日間認めるとともに、感染予防策を十分に講じている場合にはA210の2【二類感染症患者入院診療加算】(1日当たり250点)の算定を認める(4月8日付)

(3)新型コロナウイルス感染を防止するために、臨時特例的に「電話や情報通信機器による初診」を認め(4月10日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」)、その際の初診料は214点とする(処方料や処方箋料は通常の点数を算定可能)(4月10日付事務連絡)



今般の事務連絡では、【オンライン診療料】について「オンライン診療実施医療機関における1月当たりのオンライン診療料の算定回数割合の制限」(1か月当たりの再診料等(電話等再診は除く)・オンライン診療料の算定回数に占めるオンライン診療料の割合が1割以下)を臨時特例的に停止する(新規の届け出であっても、施設基準のうちこの要件は適用せず、また従前から届け出を行っていた場合に、この要件を満たせなくなっても変更の届け出は不要である)ことを明らかにするとともに、上記の診療報酬上の対応((1)-(3)など)に関するQ&Aを整理しています。



まず(1)の【院内トリアージ実施料】に関しては、初診料算定時のみならず「再診料等算定時」にも算定できることが明確にされました。

【院内トリアージ実施料】は、本来、「救急搬送患者へのトリアージ実施」を評価するものであることから、診療報酬点数表や関連通知によれば「初診料を算定する患者」に算定することとなっています。

ただし、今般の新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者への対応では、初診患者はもちろん、「生活習慣病等で定期的に当該医療機関に通院している患者が、発熱や呼吸器症状等があることから、新型コロナウイルス感染ではないかと考えて当該医療機関を受診する」ケースも出てくると考えられます。こうした患者は初診ではなく再来となり、200床以上病院では外来診療料を、200床未満病院や診療所では再診料を算定し、上述したように診療報酬点数表や関連通知に沿えば「【院内トリアージ実施料】は算定できない」ことになってしまいそうです。これでは、新型コロナウイルス感染防止策をとり、感染患者・疑い患者を受け入れる医療機関を評価するという柔軟化の趣旨を活かせなくなってしまうことから、今般の事務連絡で「再診料等を算定する患者でも【院内トリアージ実施料】を算定できる」ことが明確にされました。



このほか、次のような点も改めて確認されています。

▽(1)の【院内トリアージ実施料】(外来での新型コロナウイルス感染患者・疑い患者受け入れ)および(2)の【二類感染症患者入院診療加算】(入院での新型コロナウイルス感染患者受け入れ)算定の要件となる「必要な感染予防策」とは、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第1版」に従い、院内感染 防止等に留意した対応を行うことを意味し、とくに「5 院内感染防止」および参考資料「新型コロナウイルス感染症に対する感染管理(国立感染症研究所)」の内容を参考とする。診療に当たっては、患者・家族等に院内感染防止等に留意した対応を行っている旨を十分に説明する

▽新型コロナウイルス感染症であることを疑われる患者に対してのみ【院内トリアージ実施料】を算定する医療機関では、【院内トリアージ実施料】取得にかかる施設基準に届け出(例えば専任医師・救急医療経験3年以上の専任看護師配置など)は不要である

軽症新型コロナ患者受け入れで施設基準満たせずとも、従前からの入院料算定可

ところで、医療機関によっては「新型コロナウイルス感染症患者を受け入れたことなどにより、▼平均在院日数▼重症度、医療・看護必要度▼在宅復帰率▼医療区分2・3の患者割合―などの要件を満たさなくなってしまった」というケースも出てくると思われます。感染患者については「原則として入院とする」こととなっており、例えば「急性期一般1病棟(旧7対1)で、軽症の新型コロナウイルス感染症患者を受け入れざるを得ず、重症度、医療・看護必要度が下がってしまい、施設基準の『31%以上(看護必要度I)または29%以上(看護必要度II)』を満たせない」などの事態が生じるのです(ただし、患者数の急増を踏まえて、重症者や重症化リスクのある患者に入院医療を重点化するために、軽症者・無症状感染者の宿泊・自宅療養が進められている)。

この点、診療報酬の原則に従えば「施設基準を満たさない場合には、別の診療報酬への変更の届け出を行う」ことになりますが、これでは「新型コロナウイルス感染患者を積極的に受け入れる医療機関」の努力を無視することになってしまいます。

そこで厚労省は、今般の事務連絡で「新型コロナウイルス感染症患者の受け入れ等の前に施設基準を満たしていた医療機関において、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れたことなどにより、▼平均在院日数▼重症度、医療・看護必要度▼在宅復帰率▼医療区分2・3の患者割合―などの要件を満たさなくなった場合には、当面の間、施設基準の変更の届け出を行う必要はない」ことを改めて明確にしています。上記例で言えば、急性期一般1を既に届け出ていた病棟が、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れで看護必要度が31%未満・29%未満になってしまったとしても、当面「急性期一般2などへの変更の届け出」は不要であり、従前どおり急性期一般1の点数算定を継続できることになります。

がん遺伝子パネル検査結果、電話や情報通信機器を用いて患者・家族に伝達可能

このほか、診療報酬算定等に関し、次のような点も明らかにされています。他者との直接の接触を避けることを狙うもので、とりわけ抗悪性腫瘍剤を用いているがん患者では「感染した場合に重症化のリスクが高い」ことが知られており、新たな抗がん剤を模索する遺伝子パネル検査の結果を、感染リスクの低い手法で伝達することが柔軟に認められています。

▽【精神科訪問看護基本療養費】を算定する訪問看護ステーションの届け出基準の1つに「国、都道府県または医療関係団体等が主催する精神科訪問看護に関する研修」がある。「新型コロナウイルス感染症の拡大防止」の観点から、「国・都道府県または医療関係団体等が実施し、必要な内容が網羅されたもの」であれば、e-ラーニング等のWEB配信による受講でも良い(集合研修でなくとも良い)

▽D006-19【がんゲノムプロファイリング検査】の「2 結果説明時」(がんゲノム医療を実施する場合の「がん遺伝子パネル検査」の実施・結果説明に算定する点数、「1 検体提出時」に8000点、エキスパートパネル(専門家会議)による「2 結果説明時」に4万8000点を算定)について、関連通知では「『2 結果説明時』については、『1 検体提出時』で得た包括的なゲノムプロファイルの結果について、当該検査結果を医学的に解釈するための多職種(がん薬物療法に関する専門的な知識及び技能を有する医師、遺 伝医学に関する専門的な知識及び技能を有する医師、遺伝カウンセリング技術を有する 者等)による検討会(エキスパートパネル)での検討を経た上で患者に提供し、治療方針等について文書を用いて患者に説明する場合に、患者1人につき1回に限り算定できる」とあるが、来院による新型コロナウイルス感染の危険性や当該患者の疾患の状態等を考慮した上で、治療上必要と判断した場合に限り、電話や情報通信機器を用いて結果を説明した場合でも算定できる。ただし、治療方針等について記載した文書を後日患者に渡すこと

▽D006-19【がんゲノムプロファイリング検査】の「2 結果説明時」について、関連通知では、エキスパートパネル開催について「やむを得ない場合は、リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な情報通信機器を用いて参加することで出席と見做すことができる」とされているが、新型コロナウイルスの感染拡大防止策を講じるに当たり、情報通信機器などでリアルタイムの参加が困難となる場合に限り書面での参加も可能とする(リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な情報通信機器を用いて参加することが望ましい)



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