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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

2020年4月からの初期臨床研修医、大学病院での研修がついに4割を切る―厚労省

2019.10.29.(火)

来年度(2020年度)からの初期臨床研修に向けた今年度(2019年度)のマッチング結果を見ると、東京など6都府県を除く道県での内定割合は横ばいとなっている。また大学病院以外の臨床研修病院での内定割合は61.1%で、ついに大学病院での研修が4割を切り、臨床研修病院での研修が6割の大台に乗った―。

このような状況が、厚生労働省が10月23日に公表した、今年度(2019年度)の「医師臨床研修マッチング結果」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら(マッチング結果の概要)こちら(マッチング協議会による結果発表資料)こちら(マッチング協議会による大学別状況)こちら(マッチング協議会によるプログラム別マッチング結果))(前年度マッチング結果の記事はこちら)。

2019年度(2020年4月研修開始分)の初期研修内定者は9042人

2004年度から新たな臨床研修医制度がスタートし、「臨床現場に立つためには、医師は2年間以上の初期臨床研修を受ける」ことが必修化されています。「私は◯◯科の医院を継ぐので、他の診療科のことは知らなくて良い。当該科の専門医師が対応すればよい」と行動することは許されず、将来、どの分野を専門とするかに関わらず、多くの診療科について基本的な診療能力を身につけた医師の養成を目指すものです。

新臨床研修制度は、▼研修医が研修先病院の希望を出し、公的なマッチング機構で研修先病院を決める▼基本的な診療能力を身につけるために、複数の診療科での研修を必須とする―ことなどが、旧来の仕組みと大きく異なる点です。もっとも、医療現場の実態とマッチさせるために、新制度の見直し(都道府県別の募集定員に上限を設ける、小児科、産婦人科、精神科に重点を置いたプログラムを認めるなど)も逐次、行われています。

今年度(2019年度)には、「来年(2020年)4月から初期臨床研修をスタートする」医学生等のマッチングが行われており、募集定員1万1109人(前年度から144人減)に対し、採用内定者9042人(同160人減)で、内定率は92.4%(同1.3ポイント低下)となりました。

地方での研修医採用は「横ばい」状態

内定状況を都道府県別に見ると、大都市を抱える東京都・神奈川県・愛知県・京都府・大阪府・福岡県の6都府県における内定者数は3758人(同63人減)、それ以外の41道県における内定者数は5274人(同97人減)となりました。

全内定者に占める割合は、大都市を抱える6都府県が41.6%(同0.1ポイント増)、それ以外の51道県が58.4%(同0.1ポイント減)となっています。「6都府県以外で初期研修を受ける医師」の割合は、前々年度(2017年度)が過去最高で、若干下がってきましたが、「横ばい」と見ることができるでしょう。

地方での初期研修比率はここ数年横ばいである(2019年度マッチング結果1 191023)



初期臨床研修においては、大都市よりも地方を選択する医学生が増加する傾向が概ね続いています(現状は横ばい)。その背景には、「都道府県別の募集定員上限」設定があると考えられます。従前は「臨床研修医が大都市に集中している」との批判があり、都道府県別の定員上限(シーリング)を設け、「地方へ初期臨床研修医を分散させる」という流れが生まれました。この定員上限は、大都市においてはより厳しく設定いくため、初期臨床研修医は今後、さらに地方へ移動していくことになると思われます。

その後の新専門医研修(後期研修)では、再び「東京都などの大都市に医師が集中した」ことから、2020年度には、「都道府県別・診療科別」の必要医師数を踏まえた新たなシーリングが設定されており、これらが「医師偏在の解消」にどれだけの効果・影響を与えるのか、中長期的に見ていく必要があるでしょう(医師偏在対策の関連記事はこちらこちらこちら)。


なお、前年度に比べて内定者数が増えた県としては、▼滋賀県(2018年度:92人 → 2019年度:104人、13.0%増加)▼大分県(2018年度:81人 → 2019年度:90人、11.1%増加)▼岡山県(2018年度:184人 → 2019年度:204人、10.9%増加)▼青森県(2018年度:84人 → 2019年度:93人、10.7%増加)▼栃木県(2018年度:131人 → 2019年度:143人、9.2%増加)—などです。青森県や大分県では、2017年度・18年度・19年度と内定者数が増えています。厚労省の分析によれば、「臨床研修を受けた都道府県で、研修修了後も勤務する医師が多い」ことが分かっており、こうし研修医が地元に定着していくよう、魅力的なキャリアパス構築などが期待されます。

大学病院での研修が38.9%と4割を切り、臨床研修病院での研修が61.1%と大台に乗る

新臨床研修制度の実施前(旧臨床研修制度)には、卒業した医学部の附属病院で研修を受ける医師が圧倒的多数(大学病院での研修が7割超)を占めていました。

しかし、新制度では、大学病院以外の病院が「魅力ある研修プログラム」「研修医の処遇充実」などを打ち出し、「大学病院以外での研修」を希望する医学生が増加しています。「大学病院で研修を受ける医師」と「臨床研修病院(大学病院以外の病院)で研修を受ける医師」の比率は、新制度がスタートした2004年度には55.8対44.2になり、翌05年度には49.2対50.8と、臨床研修病院で研修を受ける医師のほうが多くなりました。

その後、2011年度からは臨床研修病院で研修を受ける医師の割合がさらに増加傾向を強まり、今年度(2019年度)は大学病院:38.9%(前年度に比べて1.8ポイント減)、臨床研修病院61.1%(同1.8ポイント増)となりました。ついに臨床研修病院での研修を受ける医師の割合が「6割」の大台に乗った格好です。

大学病院での初期研修比率がついに4割を切ってしまった(2019年度マッチング結果2 191023)



なお、この点について全国医学部長病院長会議等では「地方の大学病院における臨床医不足が、関連病院、つまり地域の病院等における医師の不足・偏在を招いている」とし、初期臨床研修制度の「抜本見直し」の検討が必要と指摘しています。

 
 
 
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