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第3期がん対策推進基本計画踏まえ、都道府県がん対策も早急な見直しを―厚労省・健康局

2018.2.22.(木)

 厚生労働省は2月21日、全国健康関係主管課長会議を開催し、次年度(2018年度)における健康行政の重要事項を、都道府県などの担当者らに説明しました。

冒頭に挨拶した厚労省健康局の福田祐典局長は、重点事項として▼受動喫煙対策▼がん対策・肝炎対策▼感染症対策▼難病対策・小児慢性特定疾病対策―の4点を掲げ、都道府県担当者に協力を呼び掛けました。

2月21日に開催された2017年度の全国健康関係主管課長会議で挨拶を行った、厚生労働省健康局の福田祐典極長

2月21日に開催された2017年度の全国健康関係主管課長会議で挨拶を行った、厚生労働省健康局の福田祐典極長

がん診療連携拠点病院等、新要件を2019年4月からスタート

 このうち「がん対策」については、昨年(2017年)10月に新たな「がん対策推進基本計画」(第3期)が閣議決定されました。▼科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実▼患者本位のがん医療の実現▼尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築―によりがんの克服を目指す、ことを全体目標として掲示。目標実現のために、(1)がんの予防(2)がん医療の充実(3)がんとの共生―を重点分野に据えるとともに、「がん研究」「人材育成」「がん教育、普及啓発」という基盤整備を推進します(関連記事はこちら)。

厚労省健康局がん・疾病対策課の丹藤昌治がん対策推進官は、都道府県担当者に向けて「第3期がん対策推進基本計画に沿って、また地域のがん医療提供状況などを踏まえたうえで、可能な限り早期に、各都道府県の『がん対策推進計画』の見直しを進めてほしい」と要請しています。

第3期がん対策推進基本計画の概要

第3期がん対策推進基本計画の概要

 
 (2)のがん医療充実に関しては、▽ゲノム医療▽手術療法、放射線療法、薬物療法、免疫療法▽支持療法▽希少がん▽難治性がん▽がん登録―などの分野を充実していく方向が示されています。

このうちゲノム医療は、患者の遺伝子情報から「この患者に最適ながん医療」を導き出すものです。例えば「Aという抗がん剤がα遺伝子に変異のあるがん患者以外では効果が極めて小さい」という知見があれば、α遺伝子変異のない患者にはA以外の選択肢を探ることになります。こうした遺伝子情報を集積し、より効果的でかつ効率的ながん医療(患者に最適な医療)の実現を厚労省は目指しています。この一環として厚労省は、我が国のがんゲノムを牽引していく「がんゲノム医療中核拠点病院」を11病院しています(関連記事はこちら)。

がんゲノム医療は、医療機関や患者・国民、研究機関、企業などが参画する「コンソーシアム」(共同事業体)によって推進される

がんゲノム医療は、医療機関や患者・国民、研究機関、企業などが参画する「コンソーシアム」(共同事業体)によって推進される

 
 また、丹藤がん対策推進官は、がん医療全般の充実に向けて「がん診療連携拠点病院」と「小児がん拠点病院」の指定要件見直しについても説明しました。前者の「がん診療連携拠点病院」では、例えば診療実績などに応じて分類するほか、医療安全に関する要件の厳格化などを行います。いずれも今年(2018年)6月を目途に新指定基準を定め、来年(2019年)1-3月に指定を行い、4月以降は新基準に基づくがん医療・小児がん医療提供体制を構築してくことになります(関連記事はこちら)。

 さらに注目すべき点として「全国がん登録」情報の公開があげられます。全国がん登録は、我が国でがんと診断されたすべての患者の情報(がんの種別、ステージ、治療内容、予後など)を集積する仕組みで、2016年1月にスタートしました。

 巨大なデータベース(ビッグデータ)となり、ここから「ステージ●の◆がん患者には、■治療法と□治療法の組み合わせが好ましい」という重要なエビデンス構築を行うことなどが可能となります。

 福田健康局長は、今年末(2018年12月ごろ)に、初めて「全国がん登録に基づく診断症例データ」(2016年分)を公表すると明言。公表情報の利活用推進に向けた準備などを進めるよう、都道府県担当者に要請しています。

今年(2018年)末には、初めて全国がん登録のデータが公表されることになる

今年(2018年)末には、初めて全国がん登録のデータが公表されることになる

肝がん患者への医療費助成を2018年度からスタート

 「肝炎対策」については、2018年度からの新規予算事業「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業」が実施されます。

 この事業では、「B型・C型肝炎ウイルスに起因する肝がん・重度肝硬変の患者」の入院医療費について公費負担を行うもので、患者からの極めて強い要望に応えるものです。このうち事務費は国と地方で負担する(国50%、地方50%)ことになり、地方が財源を捻出できなければ、事業実施が行えません。福田健康局長は都道府県担当者に協力を呼び掛けています。

B型・C型肝炎ウイルスに起因する肝がん患者には医療費の助成が開始される

B型・C型肝炎ウイルスに起因する肝がん患者には医療費の助成が開始される

高齢者では免疫低下で結核発症リスクが高まる、検診の充実を

 感染症対策に関連して、我が国の結核について「高齢化により免疫が低下して発症するケースが多数を占めている」と福田健康局長は説明。「高齢結核患者の早期発見が重要となる。検診の見直し・工夫などを進めてほしい」と要請しています。

2018年度から新たな「難病医療提供体制」をスタート

 さらに難病対策と小児慢性特定疾病対策については、来年度(2018年度)から医療費助成の対象となる疾患が拡大されます(指定難病には特発性多中心性キャッスルマン病、小児慢性特定疾病には原発性リンパ浮腫など34疾病が追加される、関連記事はこちら)。

 また2018年度からは、新たな難病医療提供体制がスタートします。

 難病は罹患者が少ないため、「症例の集積が進まず、診断や治療法などの研究が難しい」といった特性があります。一方、研究機関・研究者も限られており、「1機関・1医師に患者が集積し、治療そのものが困難になっている」という問題もあります。

 そこで、厚労省は「早期に専門医療機関で鑑別診断を行う」「治療は身近な医療機関で受ける」という新たな難病医療提供体制を構築することとしています。具体的には、都道府県に▼難病全般の早期診断や専門治療を行う「難病診療連携拠点病院」を設置する▼拠点病院には、診療連携・調整の窓口となる「難病診療連携コーディネーター」を配置し、早期の鑑別診断、身近な医療機関で適切な医療を受けるための調整を行う—ことなどが柱となります。

 なお2018年4月より、指定難病患者への医療費助成事務などが、都道府県から政令指定都市に移譲されます。

 
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