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在宅医療の整備指標をより具体化せよ、医療機関間連携、医療・介護連携、地域性への配慮も必須視点―在宅ワーキング

2022.3.10.(木)

在宅医療ニーズが増加していく中で「在宅医療提供体制の整備」を計画的に行っていく必要がある。その際の目標について「在宅医療を提供する医療機関数」などにとどまらず、「訪問診療を受けられる患者数」などより具体的な指標を設定していく必要がある―。

また在宅療養患者の多くは、医療以外にも介護・福祉ニーズを抱えており、医療機関間連携や医療介護連携などの視点も極めて重要であり、その際には「地域性」(過疎地では医療・介護資源が乏しいなど)も考慮する必要がある―。

3月9日に開催された「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(第8次医療計画等に関する検討会の下部組織、以下「在宅ワーキング」)で、こういった議論が行われました(関連記事はこちら)。

3月9日に開催された「第2回 在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」

在宅医療、訪問看護などの整備目標を具体的に設定することが重要

2024年度から「第8次医療計画」がスタートします。医療計画には、▼5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)▼6事業(救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児救急を含む小児医療、新たに「新興感染症」医療)▼在宅医療—に関する医療提供体制、さらには▼基準病床数▼医療従事者の確保▼医療安全の確保▼施設整備目標―などを定め(医療法第30条の4第2項ほか)ます。

このうち在宅医療については、現在の新型コロナウイルス感染症流行に伴う「短期的な需要増」とともに、人口の高齢化に伴う「中長期的な需要増」が生じます。2017年の患者調査による受療率をベースに、将来の在宅医療ニーズを推計すると、▼訪問診療の1日当たり利用者数は2030年度にピークを迎え、その後も高止まりする▼多くの2次医療圏において訪問診療を受ける患者数のピークは2040年以降となる―ことが分かりました。

在宅医療ニーズは、多くの地域で2040年以降にピークを迎えるため、今後も増大していく(地域医療構想・医師確保WG(2)5 220302)



こうしたニーズ増に対応するために「在宅医療提供体制」を計画的に整備していくが求められ、医療計画には「整備量」の目標値を記載し、この達成状況を地域ごとに検証していくことが重要でしょう。この点、現在の医療計画(第7次計画、2018-23年度)では、整備量として「訪問診療を実施する医療機関の数」「在宅療養支援診療所・病院の数」「24時間対応体制のある訪問看護ステーションの数」などが指標として採用されていますが、「医療ニーズに適切に対応する」観点からは「1日あたりの訪問サービスが可能な患者数」など、より具体的な「医療ニーズをどれだけ充足できているか」という視点での整備量指標が必要ではないかとの指摘があります。

現行「第7次医療計画」における在宅医療の整備指標(在宅医療ワーキング1 220309)



3月9日の在宅ワーキングでも、「訪問診療等を提供可能な患者数」などの具体的な整備指標設定を推奨する意見が多く出ています。例えば鈴木邦彦構成員(日本医療法人協会副会長)は「医療圏ごとに『訪問サービス提供可能な患者数』などの現状を把握し、目標設定をしたうえでどう充足していくべきかを地域ごとに考える必要がある」旨を強調。

また関連して「訪問看護に関し、専門性の高い看護師の配置状況などを把握し、指標化する必要がある」との提案が田母神裕美構成員(日本看護協会常任理事)や高砂裕子構成員(全国訪問看護事業協会副会長)らから出ています。

訪問看護は、後述する「医療・介護連携」「地域包括ケアシステム」(要介護度が高くなっても可能な限り住み慣れた地域で生活できるよう、地域において▼医療▼介護▼予防▼住まい▼生活支援―の各サービスを整備し、それを有機的に結合する体制)の「要」となることが期待されています。

このため24時間・365日、医療ニーズの高い重度者に対応が可能(当然、一定以上の規模が必要となる)な「機能強化型」ステーションの整備が重要となります。ただし、一部の訪看護ステーションでは、スタッフの大部分を理学療法士などのリハビリ専門職が占め、平日・日中に(夜間対応、休日対応は行わない)、軽度者に対してリハビリのみを提供している実態もあります(関連記事はこちら)。

こうした点を考慮し、訪問看護ステーションの整備目標を一括りにせず、実際に果たしている機能・役割に注目していくことも重要でしょう。 

なお、大三千晴構成員(徳島県美波町福祉課長)からは「過疎地」などにも配慮した整備量設定を求める声が出ています。例えば「人口●万人に在宅医療提供する医療機関が■箇所」などの目標値が設定された場合、「独居高齢者が点在するような過疎地」では人口が少ないために「より広範な地域に、少ない数の在宅医療機関設定」となりかねません。こうした点への配慮を大三構成員は求めています。

医療機関間連携、医療・介護連携が必須の視点

また在宅医療提供体制を整備するにあたっては、医療機関間の役割分担や連携、バックアップの仕組み多職種連携、医療・介護連携などの点も考えなければなりません。

1医療機関ではマンパワーに限りがあることから、地域で継続的かつ手厚い在宅医療提供体制を構築しようとすれば、複数医療機関によるチーム作りが必要になってくるでしょう。

また在宅療養患者の病状が急性増悪した場合に備え、「入院対応可能な後方病床」をもつ病院や有床診療所との連携が必須と言えます。

さらに在宅医療と訪問看護とは「車の両輪」と言え、また在宅療養患者の多くは「介護ニーズ」「福祉ニーズ」を抱えるケースが少なくありません。このため在宅医療提供体制を考えるうえでは、「多職種連携」「医療・介護連携」も必須の検討要素となってくるのです。

3月9日の在宅医療ワーキングでも、例えば鈴木構成員から▼地域の在宅医療提供体制の中心となる「在宅医療拠点医療機関」を一定人口ごとに設置し、重症患者に対応するクリニックや広く在宅患者対応を行う在宅医療専門クリニックなどと連携する体制を整える▼「在宅医療を支える病院」を地域ごとに明確化し、地域医師会・市町村(介護保険者)・都道府県(医療提供体制の責任者)とともに、地域で「包括的な在宅医療・介護」提供体制を整える▼ICT技術を活用して多職種による情報共有・連携を図る―などの具体的な提案が出された点が目を引きます。

また、在宅医療・介護を支える診療報酬・介護報酬について次のようなコメントも出ており、中央社会保険医療協議会や社会保障審議会・介護給付費分科会にも伝達されることでしょう。

▽在宅医療提供の中心となっているクリニックでは「医師の高齢化」(病院医師の平均年齢は44.8歳だが、クリニックでは60.0歳。60歳以上医師の割合は病院では15%にとどまるが、クリニックでは50%である)が進んでおり、クリニックへの支援も検討する必要がある。また「初診、再診、往診、訪問診療」に占める往診・訪問診療割合が95%以上の在宅療養支援診療所における要件強化(看取り実績20件など)は、医療機関にとって厳しすぎ見直す必要がある(島田潔構成員:全国在宅療養支援医協会常任理事)

在宅医療割合が95%以上になると、在支診の施設基準が厳しくなる(在宅医療ワーキング3 220309)

クリニックでは医師の高齢化が顕著(在宅医療ワーキング4 220309)



▽2021年度介護報酬改定で「訪問介護における通院条項介助」が認められた(関連記事はこちら)が「病院の入り口」までの評価であり、「院内での受診介助」は評価されていない。後者の評価も考えていかなければ、「通院困難→在宅医療を受けざるを得ない」ケースが増加してしまう(長内繁樹構成員:大阪府豊中市市長)

2021年度介護報酬改定で「訪問介護による通院乗降介助」が認められた(在宅医療ワーキング2 220309)



なお、医療提供体制を構築するうえで、今後、最大の課題となるのが「マンパワーの確保」です。少子化の進展により生産年齢人口が減少する中で、医療従事者の新規人材確保が困難になっていくことは火を見るよりも明らかです。この点、角野文彦構成員(滋賀県健康医療福祉部理事)は「少なくとも70歳までは現役とカウントしてはどうか」と提案しています。2017年に日本老年学会・日本老年医学会が「10-20年前と比べて、高齢者の心身機能を5-10歳程度和悪なっている。高齢者の定義を65歳以上から75歳以上としてはどうか」との提言を行っており、同旨の考えと言えるでしょう。現役でいつづけることにより「心身の健康が保たれる」(老け込まない)とのメリットもあり、積極的に検討していくべき論点と考えられます。

また、松本吉郎構成員(日本医師会常任理事)からは▼医療的ケア児への在宅医療提供体制の充実▼在宅医療を提供する医師などの安全性確保(患者宅に少人数で向うため、トラブルに巻き込まれるケースが決して少なくなく、埼玉県で医師が殺害される痛ましい事件まで生じた)―なども今後の重要論点になる旨を強調しています。



在宅医療ワーキングでは、今夏(2022年夏)まで、いわば第1ラウンドに当たる総論論議を行い、秋から冬(2022年秋から冬)にかけて意見取りまとめ論議に入る予定です。



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