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認知症初期集中支援チーム、実態把握のうえで「役割、在り方の再検討」を行う時期に来ている—社保審・介護保険部会

2022.9.13.(火)

認知症初期集中支援チームが全市町村で整備されているが、「十分に活動できていない」「重度者対応にシフトしている」などの指摘もある。実態を把握し、その在り方や役割を検討しなおすべき時期に来ているのではないか—。

地域包括支援センターの業務が課題であり、「地域住民の最初の相談窓口」機能が十分に果たせなくなることも懸念される。業務負担を軽減する必要があり、例えば「介護予防ケアマネジメントの外部委託」を行いやすくする、あるいは「介護予防ケアマネジメントを業務から外す」ことなども検討してはどうか―。

9月12日に開催された社会保障審議会・介護保険部会でこういった議論が行われました。

認知症初期集中支援チーム、在り方・役割を見直すべき時期に来ている

Gem Medで報じているとおり、2024年度からの新たな介護保険事業(支援)計画(市町村の介護保険事業計画、都道府県の介護保険事業支援計画)に向けた介護保険制度改正論議が介護保険部会で始まっています。今夏まで総論的な第1ラウンドを行って「現状と課題の抽出」などを行い、さらに秋から具体的な第2ラウンド論議に入っています。

【第1ラウンド論議の記事】
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【第2ラウンド論議】
介護ニーズとサービス量の齟齬解消に向け「エリア外の介護サービス利用」を柔軟に認めるなどの工夫をしてはどうか—社保審・介護保険部会



9月12日には、▼認知症施策▼家族を含めた相談支援体制▼地域における介護予防や社会参加活動の充実▼保険者機能の強化—などを議題にしました。

このうち「認知症対策」については、認知症施策推進大綱において「策定後3年を目途に施策の進捗の確認を行う」こととされている点を踏まえて、目標等の進捗状況を踏まえつつ施策を推進していく方針が確認されました。

認知症施策推進大綱は、2019年6月18日に閣議決定されました。「認知症患者との共生」と「認知症の予防(発症を遅らせる)」とを車の両輪で進めていく方針を示し、予防に関しては、長期的視点に立って、例えば「かかりつけ医と認知症サポート医との連携推進」「通いの場の参加率向上」などに取り組む必要があること、また、医療・介護スタッフの認知症対応力向上を目指し、研修などに参加しやすい環境を整えていく必要があることなどを打ち出しています(関連記事はこちら)。

このうち、介護保険部会委員からは「認知症予防の1手である『認知症初期集中支援チーム』の活用状況や効果を検証すべきではないか」との声が出ています。

認知症初期集中支援チームは、複数の専門家(専門医、保健師、看護師、リハビリ専門職など)で構成され、▼認知症が疑われる人▼認知症患者▼認知症患者の家族—のもとを訪問し、観察・評価を行った上で、家族支援等の「初期支援」を包括的・集中的に行うとともに、自立生活のサポートを行います。

認知症対応においては「初期対応」が極めて重要で、すべての市町村に設置されていますが、▼「対象者見つからない」「使い勝手悪い」などの指摘もあり、地域包括支援センターとの統合なども検討していくべき(粟田主一委員:東京都健康長寿医療センター研究所副所長)▼「機能的に動けているか」「ニーズが減っていないか」(地域包括支援センターでの認知症初期対応も進んでいる)などを確認し、今後の在り方を考えるべき(津下一代委員:女子栄養大学特任教授)▼地域でどのような活動を行っているかが見えてこない、あり方・役割を見直す時期に来ているのかもしれない(小泉立志委員:全国老人福祉施設協議会副会長)▼年々相談件数が減少し、「重度者対応」などに役割がシフトしてきているのではないか、在り方を見直すべき(江澤和彦委員:日本医師会常任理事)—といった意見が出ています。「認知症初期集中支援チームの実態を明確にし、役割が適切かを検証していく」ことが、今後の重要テーマの1つとなりそうです。

地域包括支援センターの業務負担軽減が重要課題

また、「家族を含めた相談支援体制」では、「家族が要支援・要介護状態になったのではないか」と考えた者が「最初に相談する窓口」ともなっている「地域包括支援センター」について「業務の見直し」「業務負担の軽減」を図るべきとの意見が多数出ています。

地域包括支援センターは、上記の相談支援のほか、▼介護予防ケアマネジメント(要支援者のケアプラン作成)▼要介護者等の権利擁護(成年後見制度の利用支援など)▼包括的かつ継続的なケアマネジメント(地域のケアマネジャー支援や、地域ケア会議の開催など)—など、極めて多様な役割を担い、また年々その業務負担が重くなってきています。この「地域包括支援センターの業務軽減」は従前から問題になっており、「介護予防ケアマネジメントの外部委託(地域の居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)に介護予防ケアマネジメント業務を委託できる)」を認めるなどしていますが、「委託料が安く、ケアマネ事業所が引き受けにくい」などの課題も指摘されています。

このため、9月12日の介護保険部会では、▼介護予防ケアマネジメントの外部委託をしやすくする(委託料の引き上げなど)、あるいは介護予防ケアマネジメント業務を地域包括支援センターの業務から外すことなども検討すべき(江澤委員)▼抜本的な業務の効率化・簡素化を行うべき(座小田孝安委員:民間介護事業推進委員会代表委員)▼介護予防ケアマネジメントの外部委託料を引き上げるべき(染川朗委員:UAゼンセン日本介護クラフトユニオン会長、濵田和則委員:日本介護支援専門員協会副会長)—などの声が出ています。業務負担が過重になれば「地域住民の最初の相談窓口」での対応が十分に行えなくなるという問題も出てしまいます。大鉈を振るう時期に来ているかもしれません。



このほか、▼総合事業における「多様なサービス」の参入促進を強力に図るべき(座小田委員、河本滋史委員:健康保険組合連合会専務理事)▼インセンティブ交付金(自立支援・重度化防止に積極的に取り組む市町村・都道府県に対する助成措置)の実効性を上げていくべき(河本委員、井上隆委員:日本経済団体連合会専務理事)▼認知症患者の家族の負担を考慮した「レスパイトケア」の充実を図るべき。グループホームはいっぱいであり、病院はレスパイト入院が行えない。また介護分野でも情報の利活用を推進すべき(橋本康子委員:日本慢性期医療協会会長)—などの意見が出ています。

橋本委員の指摘する「介護分野の情報利活用」については、同日(9月12日)に「健康・医療・介護情報利活用検討会 介護情報利活用ワーキンググループ」で議論がスタートしており、こちらは別稿で報じます。



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