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産休・育休中の看護職員等は処遇改善評価料の計算対象に含めず、コロナ手当廃止等は処遇改善と矛盾せず—【看護処遇改善評価料】疑義解釈2

2022.9.30.(金)

厚生労働省が9月27日、事務連絡「看護職員処遇改善評価料の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(その2)」を示しました(厚労省サイトはこちら)。

今回は、▼評価料計算の基礎となる「看護職員等の数」▼評価料取得で求められる「他の賃金水準を低下してはならない」—点について医療現場の疑問に答えています。

「処遇改善の一方で他手当を下げる」ことは許されないが、業績変動手当てはこの限りでない

この10月(2022年10月)から、2022年度診療報酬改定の一環として【看護職員処遇改善評価料】が実施されます。

昨冬に後藤茂之前厚生労働大臣と鈴木俊一財務大臣との間で「看護職員について、賃上げ効果が継続される取り組みを行うことを前提として、収入を3%(月額1万2000円)程度引き上げる診療報酬上の対応を行うことが合意されたことを受け、次のような【看護職員処遇改善評価料】が新設されました。「新型コロナウイルス感染症と闘う看護職員に報いる」とともに、「今後の医療等従事者の処遇改善の嚆矢」となることを目指すものです。

看護職員処遇改善評価料の詳細(1)

看護職員処遇改善評価料の詳細(2)



(A)【看護職員処遇改善評価料】の概要
▽後述の要件を満たし、看護職員等の賃金改善をルールに沿って行う医療機関で、入院患者について、毎日、各医療機関の看護職員数・入院患者数に応じた【看護職員処遇改善評価料】を算定できる

▽評価料は「最低1点」(評価料1)から「最高340点」(評価料165)に設定され(165種類の評価料(評価料1・評価料2・評価料3・・・・評価料164・評価料165)を設定)、個々の病院が下記(B)の計算方法に則って自院にマッチする評価料を請求する

2022年10月から【看護職員処遇改善評価料】を設ける(中医協総会(2)1 220810)



(B)【看護職員処遇改善評価料】の計算方法
▽各病院で、「看護職員等の賃上げ必要額」(当該医療機関の看護職員等数×1万2000円×1.165(社会保険料相当))÷「当該保険医療機関の延べ入院患者数×10 円」で計算した値【A】をもとに、165種類の評価料の中から「自院にマッチする評価料」を選択し、請求する(看護職員数・延べ患者数などは申請が必要であるが、根拠資料は「適切に院内に3年間保管」していればよく提示までは求められない)

【看護職員処遇改善評価料】の計算方法と、点数選択基準(中医協総会(2)2 220810)



(C)対象医療機関(施設基準)
(a)次のいずれかに該当する
(i)【救急医療管理加算】を届け出ているおり、救急搬送件数が年間200件以上
(ii)「救命救急センター」、「高度救命救急センター」、「小児救命救急センター」のいずれかを設置している



(D)算定要件(賃金改善ルール)
(a)当該医療機関に勤務する看護職員等(保健師、助産師、看護師、准看護師(非常勤職員を含む)をさす、以下同)に対して、【看護職員処遇改善評価料】算定額に相当する賃金(基本給、手当、賞与等(退職手当を除く)を含む。以下同)の改善を行う
賃金改善は、基本給、手当、賞与等のうち対象を特定して行うとともに、特定した項目以外の賃金項目(業績等に応じて変動するものを除く)の水準を低下させてはならない

(b)賃金の改善措置の対象者は、当該保険医療機関に勤務する看護職員等のほか、視能訓練士、言語聴覚士などのメディカルスタッフ(補助金と同様に規定)も職種も対象に加えることができる

(c)安定的な賃金改善を確保する観点から、【看護職員処遇改善評価料】による「賃金改善合計額の3分の2以上」は、基本給または決まって毎月支払われる手当の引き上げにより改善を図る(一時金は3分の1未満としなければならない)
→ただし、「看護職員等処遇改善事業補助金」(2022年2-9月)が交付された病院については、「本年度(2022年度)中は、同補助金に基づくベースアップ等水準を維持する」ことで足りる

(d)【看護職員処遇改善評価料】の見込額、賃金改善の見込額、賃金改善実施期間、賃金改善を行う賃金項目、方法などを記載した「賃金改善計画書」を毎年4月に作成し、毎年7月に地方厚生局長等に提出する

(e)毎年7月に、前年度の取り組み状況を評価するため「賃金改善実績報告書」を作成し、地方厚生局長等に報告する



このうち、(B)【看護職員処遇改善評価料】の計算方法における「当該医療機関の看護職員等数」について、今般の疑義解釈では次のような点を明らかにしています。

▽▼産前産後の休業(産休)▼育児休業▼介護休業—などを取得中の看護職員は計算に含めない



また、(D)算定要件(賃金改善ルール)の(a)では「賃金改善は、基本給、手当、賞与等のうち対象を特定して行うとともに、特定した項目以外の賃金項目(業績等に応じて変動するものを除く)の水準を低下させてはならない」旨が規定されています。「基本給を1万円上げる」一方で、「他の手当てを1万円下げる」などの事態があれば、実効性のある処遇改善が行えなくなってしまうためです(基本給を1万円アップ、他手当てを5000円ダウンでも、都合5000円アップにとどまるため認められない)。この点、今般の疑義解釈では次のような考え方を明確にしました。

▽例えば「新型コロナウイルス感染症対応を行った場合における手当」について、感染状況を踏まえて減額・廃止する場合は「業績等に応じて変動するもの」(上述の水準低下NGの手当てから除外される)として、賃金項目の水準低下には当たらないものと考えてよい



別稿で詳しく報じていますが、今後も、医療現場の疑問解消に向けた疑義解釈が適宜示される見込みです。



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