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2024年度介護報酬改定で一本化した「介護従事者の処遇改善に関する加算」の効果、調査内容を決定―社保審・介護給付費分科会

2024.8.1.(木)

本年度(2024年度)の介護報酬改定では介護職員の処遇改善を行うための加算の一本化や加算率アップなどが行われた—。

この成果を見るために「介護従事者処遇状況等調査」を行い、介護従事者の給与や、介護職員処遇改善加算・特定処遇改善加算の届け出状況、給与引き上げ状況、職場環境改善状況などを調べる―。

7月31日に持ち回り開催された社会保障審議会・介護給付費分科会で、こういった調査内容が決定されました。「本年(2024年)10月に調査実施→来年(2025年)3月の結果公表」というスケジュールで進められます。

介護報酬改定の効果・成果を調査・検証

我が国人口の大きなボリュームゾーンを占める団塊の世代が2022年度から75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が75歳以上に到達します。また2025年度から2040年度にかけて高齢者の増加ペースそのものは鈍化するものの、▼現役世代人口が急速に減少していく▼85歳以上の高齢者割合が増していく—ことが分かっています。こうした「少子高齢化」の進行により、今後、介護保険制度の基板が非常に脆くなっていきます。

介護保険制度では、保険財政ももちろんですが、とりわけ「介護提供体制の確保」、すなわち「介護人材の確保・定着」が最重要テーマの1つとなっています。このため厚労省は「介護職員の処遇改善」に向けた加算や補助金を創設し、「賃金・給与の引き上げ」「賃金・給与以外の処遇改善」「職場環境の改善」を狙っています。

2024年度介護報酬改定では、介護職員の処遇改善に向けた加算について、「これまでの3加算(介護職員処遇改善加算、特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算)を【介護職員等処遇改善加算】に一本化し、加算率を引き上げる」などの大きな見直しが行われました。

【新加算I】(例えば訪問介護では加算率24.5%(現在の3加算合計22.4%よりも2.1ポイントの加算率アップ)、1か月の総請求単位数に上乗せする(以下同))
→下記の(新加算II-IV)の要件に加えて、「経験技能のある介護職員を事業所内で一定割合(例えば訪問介護では介護福祉士30%以上)以上配置する」ことを求める

【新加算II】(同じく訪問介護では22.4%加算率(現在の3加算合計20.3%よりも2.1ポイントの加算率アップ))
→下記の(新加算III、IV)の要件に加えて、「改善後の賃金年額440万円以上であるスタッフが1人以上」「職場環境の更なる改善、見える化」を求める

【新加算III】(同じく訪問介護では加算率18.2%(現在の3加算合計16.1%よりも2.1ポイントの加算率アップ))
→下記の(新加算IV)の要件に加えて、「資格や勤続年数等に応じた昇給の仕組みの整備」を求める

【新加算IV】(同じく訪問介護では加算率14.5%(現在の3加算合計12.4%よりも2.1ポイントの加算率アップ))
→「新加算IVとして得た収益の2分の1(1か月の総請求単位数×6.2%)を月額賃金で配分する」「職場環境を改善する(職場環境等要件)」「賃金体系等の整備、研修の実施」などを求める

処遇改善加算見直し概要1(社保審・介護給付費分科会(3)3 240122)

処遇改善加算見直し概要2(社保審・介護給付費分科会(3)4 240122)



こうした処遇改善の「効果」を検証し、課題があれば改善していくことも重要です。このため、▼介護報酬改定の年度に処遇状況調査を行う(定期調査)▼必要に応じて別年度に処遇状況調査を行う(臨時調査)—こととされており、本年度(2024年度)に「定期調査」が実施されます。

6月25日の社会保障審議会・介護給付費分科会「介護事業経営調査委員会」で調査内容が固められ、7月31日の親会議(介護給付費分科会)でその内容が了承・決定されました。「本年(2024年)10月に調査実施→来年(2025年)3月の結果公表」というスケジュールで進められます。

調査の大枠は次のとおりです(2021年度の前回定期調査に倣っている)。

(1)調査対象(20分の1から4分の1の抽出)
介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、訪問介護事業所、通所介護事業所(地域密着型含む)、通所リハビリ事業所、特定施設入居者生活介護事業所、小規模多機能型居宅介護事業所、認知症対応型共同生活介護事業所、居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)および当該施設・事業所に在籍する介護従事者等(介護療養が2023年度末で配置されたため、調査から除外)

(2)調査項目
▽施設・事業所に対して
→給与等の状況、旧加算(介護職員処遇改善加算など)の届け出状況(2023年度)、新加算(介護職員等処遇改善加算)の届け出状況(2024年度)、給与等の引き上げ以外の処遇改善状況など

▽従業者(介護職員)に対して
→性別、年齢、勤続年数、勤務形態、介護職員等特定処遇改善加算の状況、労働時間、資格の取得状況、兼務の状況、基本給の額、手当の額、一時金の額など(2023年9月と2024年9月の給与額などを調べる)

(3)調査・公表時期
今年(2024年)10月に調査し、来年(2025年)3月に公表(委員会や介護給付費分科会に報告)



上述のとおり「前回の定期調査(2021年度調査)」を踏襲した調査ですが、2024年度介護報酬改定における【介護職員等処遇改善加算】への一本化を踏まえて、例えば▼2024年度の「賃上げ促進税制」の適用予定の有無を調査する▼処遇改善の加算に関する新旧比較を行うために、2023年度における旧3加算(介護職員処遇改善加算、特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算)の取得状況を調べる▼「ベースアップ等による賃金増加」の状況を調べる▼加算の「2025年度ベースアップへの繰り越し・振り替え」状況を調べる▼新加算(介護職員等処遇改善加算)の取得区分・上位加算を取得しない理由を調べる—といった新調査項目も含まれています。

また調査対象者(介護事業者)の負担を軽減するため、▼コロナ感染症対応関連の調査項目を削除する▼特定処遇改善加算の詳細調査項目を削除する—などの簡素化も行われます。

●調査概要案はこちら
●調査票案はこちら

2024年度の処遇状況等調査では「2024年度介護報酬改定での加算一本化の影響」などが新たに調査される1(介護事業経営調査委員会1 240625)

2024年度の処遇状況等調査では「2024年度介護報酬改定での加算一本化の影響」などが新たに調査される2(介護事業経営調査委員会2 240625)



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