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診療報酬改定セミナー2022 新型コロナ対策

病院の患者数は戻ってきているが、7月から8月にかけて「回復度合い」は停滞気味―病院報告、2020年8月分

2020.12.7.(月)

病院の患者数を前年同月と比較した場合、今年(2020年)8月は前月に比べて「入院・外来ともに回復度合いは停滞」してしまっている。5月に底を打ち、徐々に患者数は増えてきたが、完全回復には至らず—。

厚生労働省が12月4日に公表した今年(2020年)8月分の病院報告から、こうした状況が明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

患者数を前年同期と比べると、8月は入院6.5%減・外来11.7%減で前月と変わらず

厚労省は、全国の病院における(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―を、毎月末に「病院報告」として公表しています(前月末の記事はこちら、前々月末の記事はこちら)。医療提供体制の実態をリアルタイムに、また経時的に把握することができ、地域医療の在り方を考える際に極めて重要な資料となります。

今年(2020年)8月末の(1)「1日平均患者数」は、病院全体で▼入院:115万7587人▼外来:115万4455人―となりました。

前年(2019年)の8月末と比較すると、入院では6.5%の減少、外来では11.7%の減少となりました。前年同期と比べた患者数の増減動向は4月以降、次のようになっています。

【入院】
▽4月:7.6%減

(2.4ポイント悪化)

▽5月:10.0%減

(2.0ポイント改善)

▽6月:8.0%減

(1.5ポイント改善)

▽7月:6.5%減

(増減なし)

▽8月:6.5%減

【外来】
▽4月:19.5%減

(5.7ポイント悪化)

▽5月:25.2%減

(16.6ポイント改善)

▽6月:8.6%減

(3.1ポイント悪化)

▽7月:11.7%減

(増減なし)

▽8月:11.7%減



入院に関しては、限られた医療資源を新型コロナウイルスに感染した重症患者に重点化・集約化するために「予定入院・予定手術の延期を検討する」ことが求められました。また外来に関しては、患者サイドが「新型コロナウイルス感染のリスクを低減するために、受診を控える」「非常に軽微な症状の場合には病院を受診しない」「衛生面の向上や他者との接触が減少したために他の感染症(ウイルス性腸炎など)が激減した」ことなどにより患者数は大きく減少しています。

各種調査によれば「患者減は5月に底を打ち、その後、患者数等は回復してきている」ことが報告されています。病院報告でも同様の状況を確認できています。

【新型コロナウイルス感染症の病院経営への影響調査等の関連記事】
●GHC分析7-9月7月6月 5月4月3月
●厚生労働省分析4-6月4-7月
●支払基金データ7月6月5月4月3月
●日病・全日病・医法協調査7-9月調査7月調査第1四半期追加報告最終報告速報
●全自病調査5月分調査4月分調査
●全国医学部長病院長会議調査8月分調査7月分調査4・5・6月分調査
●健保連調査9月分8月分7月分6月分調査4・5月分調査
●厚労省医療費の動向
4-7月分4-6月分



医療法上の病床種別に「入院患者数」と「前年同月からの変化」を見てみると、次のような状況です。7月からわずかに悪化していますが、同水準と見ることも可能でしょう。

▼一般病床:62万7843人(前年同月比8.1%減、前月に比べて0.2ポイント悪化)
▼療養病床:24万8646人(同8.1%減、前月に比べて0.1ポイント悪化)
▼精神病床:27万7321人(同2.1%減、前月に比べて0.2ポイント悪化)
▼結核病床:1424人(同6.5%減、前月に比べて1.0ポイント悪化)



また、感染症病床の入院患者数動向を見ると、次のようになっています。
▽今年(2020年)1月:79人

(76人・96%増)

▽2月:155人

(142人・92%増)

▽3月:297人

(408人・137%増)

▽4月:705人

(291人・41.3%減)

▽5月:414人

(238人・57.5%減)

▽6月:176人

(438人・248.9%増)

▽7月:614人

(1739人・283.2%増)

▽8月:2353人

増減の背景を詳細に分析する必要があるでしょう。

2020年8月に入っても、病院の患者数は回復度合いが芳しくない(病院報告2020年8月1 201204)



ところで、「社会保障審議会・医療部会」や、その下部組織である「医療計画の見直し等に関する検討会」「地域医療構想ワーキング」などでは、▼感染症蔓延によっても人口構造は大きく変わらず、中長期的な「疾病構造の変化」傾向も変わらないため、地域医療構想については考え方(例えば病床の必要量など)は維持し、実現に向けた動きを加速させていく▼新興感染症による一時的な医療ニーズの急増に対しては、医療計画の中に「感染拡大時の対応」を明確化して対処する(一般病床による感染症患者受け入れや、臨時増床など)―方針が固められつつあります。ただし、注目される「約440の公立病院・公的病院等に求められている再編・統合を含めた再検証」については、「期限などをどう設定するか」について意見集約は図られておらず、今後の検討会等の動きを見守る必要があります(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

在院日数は短縮と延伸を繰り返している

また(2)「平均在院日数」は、病院全体では27.8日で、前月から0.1日の短縮となりました。

病床種別に見ると、▼一般病床:16.1日(前月から増減なし)▼療養病床:140.3日(同0.3日延伸)▼介護療養病床:318.8日(同16.1日短縮)▼精神病床:279.2日(同9.2日延伸)▼結核病床:48.2日(同6.5日延伸)▼感染症病床:9.5日(同2.1日延伸)―となりました。在院日数については「短縮」と「延伸」を繰り返しており、まだ病院の現場が混乱していることが伺えます。

2020年7月から8月にかけて病院の平均在院日数をみると、増減が入り乱れている(病院報告20年8月3 201204)



とこで、Gem Medでは従前より「不必要な長期入院が院内感染のリスクを高めてしまう。すべての病床で可能な限り、平均在院日数の短縮に向けた取り組みを進めるべき」と指摘してきましたが、これが新型コロナウイルス感染症によって再確認されたと言えるでしょう。必要な入院が阻害されることがあってはなりませんが、例えば「経営のために在院日数を伸ばす(ベッドを埋めるために在院日数を調整する)」ようなことがあってはなりません。医療安全を阻害することとなり、病院の信頼を損ねてしまうことにつながります。

病床利用率も乱高下、現場は依然として混乱のさなか

さらに(3)「月末病床利用率」に目を移すと、病院全体では75.9%で、前月から0.1ポイント上昇しました。

病床種別に見ると、▼一般病床:69.9%(前月比0.2ポイント上昇)▼療養病床:84.5%(同0.1ポイント低下)▼介護療養病床:85.7%(同0.3ポイント低下)▼精神病床:85.0%(同0.1ポイント低下)▼結核病床:34.8%(同2.8ポイント低下)▼感染症病床:118.8%(同48.8ポイント上昇)―という状況です。こちらも「上昇」と「低下」を繰り返しており、混乱が収束していない状況を伺うことができます。新型コロナウイルス感染症という特殊要因が収束しておらず、一般病床の「平均在院日数」や「病床利用率」の動向を過去同月と比較・分析することは困難です。

2020年7月から8月にかけて、病院の病床利用率はやはり増減が入り乱れている(病院報告2020年8月2 201204)



なお、新型コロナウイルス感染症対策を考えるうえでも「地域における病院の機能分化・連携の強化」が非常に重要なことを失念してはなりません。

例えば「新型コロナウイルス感染症の重症患者、中等症患者、あるいは重症化リスクの高い患者を重点的に受け入れる病院」「新型コロナウイルス感染症患者は受け入れず、それ以外の救急患者を受け入れる病院」などの機能分化を進めておくことで、「円滑な入院調整」「院内感染リスクの低減」が期待でき、結果として「医療提供体制の逼迫・崩壊」を防止することに繋がります。

この点、「新型コロナウイルス感染症の重症患者、中等症患者、あるいは重症化リスクの高い患者を重点的に受け入れる病院」において負担が過重となり、スタッフの退職が相次いでいることを捉えて、「機能分化は誤っている」と指摘する方もいらっしゃいますが、そこは「人的な手当てがさらに必要なことが明らかになった」と前向きに捉えるべきでしょう。施策がうまく動かない場合には「その課題」を迅速に把握して、改善を行う、つまりトライアンドエラーを繰り返していくよりないのです。1つ1つの施策の成否を短期的に捉え、「●●は失敗、〇〇にすればよかった」と事後に批判することは簡単ですが、それでは課題・問題の解決にはなりません。



また、こうした機能分化を進めておくことは、▼地域医療構想の実現▼医師働き方改革の実現▼医師偏在の解消―にもつながります。医師働き方改革は「医師の健康・生命を維持」しながら、「地域医療提供体制の確保」を目指すもので、2024年4月から新たな時間外労働上限(原則960時間以内)がスタートします。

上述のとおり、社会保障審議会・医療部会などでもこうした点が確認されており、今後、議論を詰めていくことになります。



ぽんすけ2020MW_GHC_logo

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