固形がんにおける「腫瘍遺伝子変異量検査」、悪性腫瘍遺伝子検査の「処理が複雑もの」(5000点)を算定可―厚労省
2022.2.3.(木)
D012【悪性腫瘍組織検査】の「1 悪性腫瘍遺伝子検査」のうち、「(ロ) 処理が複雑もの」(5000点)の中に、新たに「固形がんにおける腫瘍遺伝子変異量検査」を追加する―。
厚生労働省は1月31日に通知「『診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について』等の一部改正について」を示し、こうした点を明らかにしました。2月1日から適用されています(厚労省のサイトはこちら)。
腫瘍遺伝子変異量検査で、いわば「がんになりやすさ」を確認できる
今般の通知では、点数表の解釈通知である「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(2020年3月5日付)についてのみ、一部改正を行っています。
同通知では診療報酬の「算定要件」の詳細を明示するものです。例えばD004-2【悪性腫瘍組織検査】の「1悪性腫瘍遺伝子検査」は、次のように検査の特性に応じて点数が区分されています。
D004-2【悪性腫瘍組織検査】
1 悪性腫瘍遺伝子検査
イ 処理が容易なもの
(1)医薬品の適応判定の補助等に用いるもの:2500点
(2)その他のもの 2100点
ロ 処理が複雑なもの:5000点
(後略)
この点、どういった検査が「処理が容易なもの」なのか、「処理が複雑なもの」なのかなどは解釈通知(診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について)において、次のように示されています。
▽「イ」の(1)「医薬品の適応判定の補助等に用いるもの」とは、次に掲げる遺伝子検査をさし、使用目的・効果として「医薬品の適応を判定するための補助等に用いるもの」として薬事承認・認証を得ている体外診断用医薬品・医療機器を用いて▼リアルタイムPCR法▼PCR-rSSO法▼マルチプレックスPCRフラグメント解析法▼次世代シーケンシング―により行う場合に算定できる(経過措置あり)。
(ア)肺がんにおけるEGFR遺伝子検査、ROS1融合遺伝子検査、ALK融合遺伝子検査、BRAF遺伝子検査(次世代シーケンシングを除く)、METex14遺伝子検査(次世代シーケンシングを除く)
(イ)大腸がんにおけるRAS遺伝子検査、BRAF遺伝子検査
(ウ)乳がんにおけるHER2遺伝子検査
(エ)固形がんにおけるマイクロサテライト不安定性検査
▽「イ」の(2)「その他のもの」とは、次に掲げる遺伝子検査をさし、PCR法、SSCP法、RFLP法等により行う場合に算定できる
(ア)肺がんにおけるK-ras遺伝子検査
(イ)膵がんにおけるK-ras遺伝子検査
(ウ)悪性骨軟部組織腫瘍におけるEWS-Fli1遺伝子検査、TLS-CHOP遺伝子検査、SYT-SSX遺伝子検査
(エ)消化管間葉系腫瘍におけるc-Kit遺伝子検査
(オ)悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節生検に係る遺伝子検査
(カ)大腸がんにおけるEGFR遺伝子検査、K-ras遺伝子検査、マイクロサテライト不安定性検査(リンチ症候群の診断補助を目的とする場合に限る)
▽「ロ」の「処理が複雑なもの」とは、次に掲げる遺伝子検査をさし、使用目的・効果として「医薬品の適応を判定するための補助等に用いるもの」として薬事承認・認証を得ている体外診断用医薬品・医療機器を用いて次世代シーケンシング等により行う場合に算定できる(経過措置あり)。
(ア)肺がんにおけるBRAF遺伝子検査(次世代シーケンシング)、METex14遺伝子検査(次世代シーケンシング)、RET融合遺伝子検査
(イ)悪性黒色腫におけるBRAF遺伝子検査(リアルタイムPCR法)
(ウ)固形がんにおけるNTRL融合遺伝子検査
今般の通知では、「ロ」の「処理が複雑なもの」の(ウ)に、新たに「腫瘍遺伝子変異量検査」が盛り込まれました。結果、「ロ」の「処理が複雑なもの」の(ウ)は次のように見直されます。
(現行)
▽「ロ」の「処理が複雑なもの」
(中略)
(ウ)固形がんにおけるNTRL融合遺伝子検査
↓
(見直し後)
▽「ロ」の「処理が複雑なもの」
(中略)
(ウ)固形がんにおけるNTRL融合遺伝子検査、腫瘍遺伝子変異量検査
腫瘍遺伝子変異量検査では、言わば「がんになりやすさ」が分かります(遺伝子変異の量が多いとは、遺伝子変異の修復システムに異常が生じており、がんになりやすい状況にあると言える)。「がんの確定診断→適切な治療法の選択」の道を広げるもので、がん患者にとって朗報と言えるでしょう。
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